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概要
この記事は、スティーヴィー・ワンダーの「Jesus Children of America」という曲についての分析と解説を提供しています。曲は1973年に録音され、アメリカの子供たちに対するメッセージが含まれており、ファンクとゴスペルの要素を持っています。また、他のアーティストによるカバーや影響も紹介されています。
要約
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曲の背景:
- スティーヴィー・ワンダーの1973年の作品で、彼の絶頂期の一部。
- メッセージ性が強く、先進的な音楽スタイルを目指していた。
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キーな要素:
- Stevie Wonder: 自由な音楽作りを追求し、様々な楽器を使った革新的な録音技術を取り入れた。
- Robert Glasper ExperimentとLalah Hathaway: ニューヨークのジャズシーンからの影響を受けた現代的なアプローチ。
- BeBe Winans: ゴスペルの影響を感じさせるパフォーマンス。
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歌詞の解釈:
- 幼い子供たちに神の存在と意志について考えるよう呼びかけている。
- 「アメリカ」という文脈が重要で、メッセージは普遍的なものと関連している。
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多様なアレンジ:
- 様々なカバーやアレンジが紹介されており、各アーティストによる独自の解釈が感じられる。
- 曲のメッセージ:
- 神への信仰を問う内容が含まれ、宗教や哲学的なテーマが絡み合っている。特に瞑想の重要性が強調されている。
このような構成で、歌の意義や多様性、そしてアートとしての価値が浮き彫りにされている。
ボーカル/ファンク・セッションの定番曲。「American」でも「Jesus Children」でもない我々にはちょっと歌いにくい曲ではありますが・・・
(歌詞は最下段に掲載)
和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。
ポイント1:Stevie Wonder
1973年録音、Stevie Wonder絶頂期の作品です。まだ23歳でしたが、既に16枚目のアルバム(少年時代を含む)。その大半はレベール(モータウン)側から指示されたポップな曲を集めたもので、その中でも天才性は見せていましたが当人はもっと自由に先進的な音楽をやりたいと、ストレスを溜めていたようです。1970年代に入ってからはMarvin Gayeなどとも呼応しながら、ちゃんとメッセージ性のある歌詞、ファンク志向、最新楽器を使用した録音に突き進みます。ギターに対抗出来るクラビネット、ベースを代替出来るシンセサイザー、音を重ねて録音出来る電子ピアノ、など。Stevie Wonderはドラムも叩けるのでデモ録音〜本番録音も可能で、自分の頭の中にある音楽をイメージ通りにカタチにすることが出来ました。
争い事の嫌いな彼なりのメッセージをこめたメロウファンク曲で、歌も工夫してそれまでになかったような節回しで歌っています。コーラスが入る後半部からはゴスペルを感じさせるアレンジ。低音部をちゃんと歌えるかがポイント。
ポイント2:Robert Glasper Experiment, Lalah Hathaway
2013年録音。ループ的なアレンジの音の渦の中で Lalah Hathawayが歌っています。2010年代のニューヨークJazzシーンをリードしたRobert Glasperの魅力満載の一曲。21世紀に入ってからは声高なメッセージが届きにくくなっていることもあって、リスナーの耳に穏やかに囁くようにして、歌にこめられたメッセージを届けるような手法が増えました。歌に続いてポエトリーリーディングが加えられています。
ポイント3:BeBe Winans
2019年ライブ録音。ゴスペルベースのR&Bグループ「Winans」の一員である彼は見かけからしてプリーチャーの雰囲気があって、分厚いコーラスにのってトランス状態で熱唱すると、まるでゴスペル教会内のミサのようです。
ポイント4:歌詞のポイント
Hello Jesus, Jesus children
Jesus loves you, Jesus children
Hello children Jesus loves you of America
Are you hearing, What He’s saying?
Are you feeling, What you’re praying?
Are you hearing, praying, feeling
What you say inside?
You’d better tell, Your story fast
And if you lie, It will come to pass
Stevie Wonderはキリスト教徒ですが、「キリスト教」に固執している訳ではなく、もっと普遍的な「神の存在とその意志」を信じている印象です。もともとキリスト教自体は内部の「異端者」や「神の存在を認めていない文化」に対しては厳しいですが、異教徒を完全否定している訳ではなく、共存・棲み分けを模索してきた歴史もあります。
ここでは「Jesus(救世主)」と「その子供達」に対して呼びかけています。
彼の言葉に耳を傾けよう、自分の気持ちを伝えよう、と。
なんで殊更に「America」なのか疑問はありますけど。
Tell me holy, Holy roller
Are you standing, Like a soldier ?
Are you standing for everything you talk about ?
「Holy roller」は狭義には「礼拝中に熱狂的に興奮するペンテコステ派」を指す(なかば揶揄した)言葉のようですが
ここではもっと広義に「熱狂的なキリスト教信者」を指すのかと思います。
自分の主張することに本当に信念を持っているのか、と。
Transcendental, Meditation
Speaks of inner, Preservation
Transcendental meditation gives you peace of mind
「超自然的なもの」「瞑想」「心の声」「(自己)保存」と宗教/哲学用語が並びます。瞑想を重視しているあたりは伝統的なキリスト教の実践内容とも異なりますね。
いずれにしても軽々しく歌える内容ではないですね。
ポイント5:様々なバリュエーションを聴いてみましょう
Jeff Golub、2002年録音
爽やかなギターインスト
Michele Thomas、2012年録音
ストレートなファンク・アレンジで歌っています
Sheila E., Israel Houghton、2019年録音
Berklee Gospel & Roots Choir、2013年録音
声と手拍子のみ
Edwin Hawkins Singers、1974年録音
Richard Tee、1979年録音
Hello Father by Mary J. Blige、2018年録音
Jesus Children Of Americaをサンプリングした曲
◼️歌詞
Hello Jesus, Jesus children
Jesus loves you, Jesus children
Hello children Jesus loves you of America
Are you hearing, What He’s saying?
Are you feeling, What you’re praying?
Are you hearing, praying, feeling
What you say inside?
You’d better tell, Your story fast
And if you lie, It will come to pass
Tell me holy, Holy roller
Are you standing, Like a soldier ?
Are you standing for everything you talk about ?
Transcendental, Meditation
Speaks of inner, Preservation
Transcendental meditation gives you peace of mind
You’d better tell, Your story fast
And if you lie, It will come to pass
Tell ‘em, Don’t lie to ‘em
Don’t tell lies
Tell ‘em, Tell ‘em Jesus
Tell me junkie, If you’re able
Are you playing your cards, On the table
Are you happy when you stick a needle in your vein
Jesus died on, Cross for you
Mary is just, Looking at you
Mother Mary feels so much pain
You’d better tell, Your story fast
And if you lie, It will come to pass
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