土曜日, 6月 7, 2025
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ホーム音楽活動セッション定番曲その215:While My Guitar Gently Weeps by George HarrisonKohji Yoshida

セッション定番曲その215:While My Guitar Gently Weeps by George HarrisonKohji Yoshida

🧠 概要:

概要

この記事は、ジョージ・ハリスンの「While My Guitar Gently Weeps」についての分析と解説を提供しています。この曲は、ビートルズの中でも特にセッション向きで、ギターの表現力が際立っています。歌詞の背景や音楽的要素、そして曲の構造に関する詳細が述べられています。

要約(箇条書き)

  • セッションの定番曲: 「While My Guitar Gently Weeps」はロックセッションに適した曲。
  • レコーディングの背景: 1968年に録音されたこの曲は、エリック・クラプトンがリードギターを担当。
  • アコースティックバージョン: 初期のデモ録音はアコースティックギターによる穏やかなもので、静かな曲調が特徴。
  • 歌詞の影響: ジョージ・ハリスンは東洋思想に影響を受け、その影響が歌詞に表れている。
  • 歌詞のテーマ: 整理整頓を必要とする愛情や、社会的な制約に対する考察が含まれる。
  • 曲の構成: 基本的な構成はAパートがマイナーキー、Bパートがメジャーキーで、感情の起伏を巧みに表現。
  • さまざまなバリエーション: 他のアーティストによるカバーも紹介され、異なる解釈やスタイルが聴かれる。

この記事は、曲の深い分析と、聴き取るべきポイントを提供しています。

セッション定番曲その215:While My Guitar Gently Weeps by George HarrisonKohji Yoshida

ロックセッションの定番曲。ロック的な展開の分かりやすい曲で、ギターの活躍の余地もあるので、The Beatlesの曲の中ではセッション向きです。「ギターがすすり泣いている」というタイトルに沿ったギターの音色で弾きたいですね。
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。

ポイント1:The Beatles

1968年録音、George Harrisonの作品。リードギターは当初はクレジットされておらず、急にGeorge Harrisonが上手くなった?Paul McCartneyってチョーキング上手かったっけ?と話題になったけど、音色からしてEric Claptonですね。メンバー間の軋轢/無関心を緩和する為と変化を期待して参加を依頼したようです。実際には出来上がりを聴いたGeorgeは「もっとThe Beatlesっぽくしたい」としてリードギターの音にも手を加えたらしいです。

まとまりの無い作品も多かった「(通称)ホワイトアルバム」の中では傑出した出来。

ポイント2:初期のアコースティックバージョン

アコースティックギターによるゆったりしたデモ録音。こういう静かな曲調をイメージして元々は書かれた曲かもしれません。

ポイント3:歌詞の背景

この頃、東洋思想に被れていたGeorge Harrisonですが、その影響が歌詞にも表れていると言われています。どっぷり「東洋思想」の真っ只中で生きている我々日本人にはその差異がピンと来ないところではありますが・・・。

歌詞の流れを最初に考えるというより、偶然に目にした印象的な言葉(←それには何らかの必然性があるのだろう)を散りばめていき、抽象的な物語に仕上げていく。それによって自分の無意識が反映された「世界観」が表現される、という感じ。

いずれにしても、この時期の欧米人の東洋思想解釈は眉唾ものとして見た方がいいです。「進歩、発展」「科学的根拠」「(一神教的)真理」みたいなものだけを信じて生きてきた彼らが、真逆の「自然との共存」「偶発性の尊重」「正解の無い世界」「自分自身の中にある真理と平穏の探究(その過程に意味がある)」という思想に触れた時、世界の底が抜けたような感覚に陥って大混乱を起こして、必死に受け容れようとしたのでしょう。本を読んだり時々ヨガをしたりしても、日常生活の中で感じられるものが無ければなかなか深く理解出来るものではありませんね。

ポイント4:歌詞のポイント

I look at you all, see the love there that’s sleeping
While my guitar gently weeps
I look at the floor and I see it needs sweeping
Still, my guitar gently weeps

「泣く」の種類にも色々あって、辞書を引くと「cry」「sob」「weep」「wail」「whimper」「bawl」などなど。その中で「weep」は割と感情を抑えて静かに泣く場合に用いられます。Eric Claptonのリードギターを聴くと、もっと感情を剥き出しにして「泣き叫んでいる」感じですけどね。ギターのチョーキング(ベンディング)の音は「むせび泣く」と形容されることも多いですね。

「my guitar gently weeps」が最初に思いついたフレーズだと言われています。激しく掻き鳴らすのではなく、優しく心の奥底に届くような音色。それが主人公の心象風景な訳です。

「you」には複数形が無いので、その補完として「you gays」とか「you all」とかが使われます。

君たちを見ると、愛が存在しているはずなのに眠ってしまっているみたいだ
それはとても残念なことかもしれないね(僕のギターは泣いているよ)
君たちの家を見てみたら、床が埃まみれで何とかしなきゃいけないね
本当はきれいな家なのに(僕のギターは涙を流しているよ)

sleeping」と「sweeping」は韻を踏んでいて、ここは意図的に選ばれた言葉ですね。

I don’t know why nobody told you
How to unfold your love
I don’t know how someone controlled you
They bought and sold you

「unfold」は「fold」を解くこと、つまり解放して広げること

君(たち)に「愛を拘束して閉じ込める」ことをすすめたヤツがいる
君(たち)を洗脳して奴隷みたいに扱ったヤツがいる
それに君は気づかないまま

この「ヤツ」は特定の恋人でもあり、もっと広義には「社会、世間」でもあります。見えない牢獄に囲まれている囚人は、その状況に気が付かないまま。そこでの解決方法はニュースを見たり本を読んだりすることではなく、まず目を閉じて静かに自分の心の内を見つめ直すこと。

I look at the world and I notice it’s turning
While my guitar gently weeps
With every mistake, we must surely be learning
Still, my guitar gently weeps

あらためて世界を眺めてみると、同じところには止まっていないで、変化が起き続けているはずだ
僕もそのことに気づいたよ(僕のギターは泣いているよ)
失敗はしても、それを糧に学ぶことが出来るじゃないか
僕はそのことに気づいていたよ(僕のギターは泣いているよ)

「it’s turning」は普通に考えれば惑星の自転ですが、地動説を信じて闘った科学者達の根底にあったのは「地球は世界は、変化し続ける場所なはずだ」という信念。昨日と今日は違う日。1960年代後半の欧米社会はまさに価値観の変化、社会構造の変化、若者文化の勃興期にありました。変化を感じ受け容れること、次の時代に向けて自ら変化を起こすこと。変わり続けることこそがしっかりと立って留まり続けること、という思想。

I don’t know how you were diverted
You were perverted, too
I don’t know how you were inverted
No one alerted you

diverted」「perverted」「inverted」「alerted」という少し聞き慣れない言葉が続きます。これらは韻を踏むと同時に、歌詞に耳を傾けることを促しています。

君(たち)はいつのまにか「道」を逸れてしまい、欲に溺れてしまい
あるべき姿とは正反対になってしまった
それを促した誰かがいるはずだ
それなのに誰もそのことを教えてくれなかったんだね

冒頭の歌詞から推測すると「君」はずっと複数形で、何人かの仲間に語り掛けています。いつの間にか志とはズレてしまった仲間。原因は周りの環境でもあるし、それぞれのエゴでもある。

まさに当時のバンドの人間関係を示唆しているとも解釈出来ます。絆を繋ぐ最後の手段は共鳴するギターの音。それを敢えてメンバー外のEric Clapton(当時のギターゴッド)に弾いてもらうことで、伝えたい思いがGeorgeにはあったのでしょうね。

深読みは置いておいて、単純に男女間の愛情関係(の歪み)を歌ったものという解釈も可能です。

ポイント5:曲の構成

冒頭の4小節でベース音が下がっていくのが古典的ではありますが特徴的。Aパートはマイナーキーで物悲しいメロディ、Bパートはメジャーキーに変わり夢見るようなメロディーに。その切り替えが見事な構成ですね。

リードシート(途中まで)

ポイント6:様々なバリュエーションを聴いてみましょう

Peter Frampton、2003年録音
ブルージーなイントロの後は原曲に忠実なカバー

Santana, Indie.Arie, Yo-Yo Ma、2003年録音
「すすり泣くギター」といえばこの人ですね

Jeff Healey、1990年録音
盲目のギタリストJeff Healeyの特殊奏法

Yngwie Malmsteen、2019年録音
殿下は良い意味で何も変わっておらず、お腹いっぱい

Lucinda Williams、2024年録音

Carmen Cuesta, Chuck Loeb、2014年録音
意外と良い出来です


Holy Piby
、2013年録音
レゲエバージョン

◼️歌詞

I look at you all, see the love there that’s sleeping
While my guitar gently weeps
I look at the floor and I see it needs sweeping
Still, my guitar gently weeps

I don’t know why nobody told you
How to unfold your love
I don’t know how someone controlled you
They bought and sold you

I look at the world and I notice it’s turning
While my guitar gently weeps
With every mistake, we must surely be learning
Still, my guitar gently weeps

I don’t know how you were diverted
You were perverted, too
I don’t know how you were inverted
No one alerted you

I look at you all, see the love there that’s sleeping
While my guitar gently weeps
(I look) Look at you all
Still, my guitar gently weeps



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