月曜日, 5月 19, 2025
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セッション定番曲その212:Desperado(ならず者) by EaglesKohji Yoshida

🧠 概要:

概要

この記事は、Eaglesの名曲「Desperado」に焦点を当てています。この曲は魅力的なボーカルと普遍的なテーマを持ち、アレンジの余地がほとんどないものの、セッションでよく歌われる曲です。歌詞や音楽の構成について分析し、Eaglesのメンバーや他のアーティストによるカバーについても触れています。

要約の箇条書き

  • 曲の特徴: 「Desperado」はアレンジが難しく、歌い切りでの演奏が一般的。
  • Don Henleyの役割: 彼の印象的なボーカルが曲の魅力を引き立てている。シングルカットはされていないが人気。
  • Linda Ronstadtのカバー: Eaglesのメンバーが彼女のバックバンドを務めていた経歴があり、彼女の歌唱も印象的。
  • アルバムの背景: 2ndアルバム「Desperado」は多様な音楽スタイルを含むコンセプトアルバムで、1970年代アメリカンロックの傑作とされる。
  • 歌詞のテーマ: 孤独感や失望、友情、老いと貧困を描写し、現代においても共感される内容。
  • カバーのバリエーション: 他のアーティストによる多様なアレンジが存在し、各々の解釈が楽しめる。

セッション定番曲その212:Desperado(ならず者) by EaglesKohji Yoshida

Kohji Yoshida

2025年5月19日 14:16

ボーカルセッションの定番曲。実はアレンジしようがなく、歌い切りでアドリブを挟む余地も無いので、あまりセッション向きではないのですが・・・
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。

ポイント1:Don Henley

1stアルバムでも「Witchy Woman」で陰のある印象的な歌声を聴かせてくれていたドラマーのDon Henleyですが、本格的にリードボーカリストとして地位を獲得したのはこの曲から。歌そのもので勝負するバラードです。1973年録音。イントロのピアノは明らかに「Georgia on My Mind」のパクリですね。少しハスキーで色気のある声、中音域も魅力的ですが高音域まで伸びるセツナい歌声が唯一無二です。歌えるメンバー揃いのEaglesの中でも武器のひとつでした。

シングルカットはされていませんが人気曲で、セッションイベントでリクエストされることも多いです。いま聴いても全然古い感じがしないのが根強い支持の理由かもしれません。

原曲通りに歌い切りで演奏されることが多く、Eaglesのライブでもそのままでした。私も色々とアレンジを試したのですが、どうもしっくり来ない感じで、演奏者にとってはあまり面白くない曲かもしれません。

ポイント2:Linda Ronstadt

1973年録音。個人的に原曲と同じくらい印象に残っているのはこの歌唱。Eaglesのメンバーはもともと彼女のバックバンドを務めていた時期があって、そこで意気投合してバンド結成に至りました。明るく伸びやかな歌声。ピアノ伴奏で始まり、徐々にストリングスが加わり盛り上がっていきます。彼女の声はマイクにのりやすいというか、どんな伴奏にも負けないヌケの良い歌声。

彼女もEaglesと同様にカントリー(ロック)から始めて、徐々にポップス/ロックへと路線変更していきました。1960年代末〜1970年代のアメリカの音楽の流行の変遷にうまくのった感じでした。

ポイント3:アルバム「Desperado」

Eaglesの2ndアルバムが西部開拓時代をテーマにした「Desperado」でした。カントリーバラード、カントリーロック、ハードロック、ワルツ、ロックンロール、など様々な曲調の組曲/コンセプトアルバム。それがグリン・ジョーンズのプロデュース、イギリス録音で、乾いた音で収録されているのが特徴。これは本当に1970年代のアメリカンロックの傑作のひとつで、私の個人的「無人島に持っていきたいアルバム」の一枚です。未聴の方はぜひ。

この頃はまだバンド内の民主性が保たれていて、全メンバー(4人)がそれぞれ作詞作曲を手掛けていて、リードボーカルも分け合って、バランスが取れた作品になっていたと思います。周辺のJackson BrowneやJ.D. Southerなども制作に参加していて「米国西海岸コミュニティ」の作品という感じでした。その後は徐々にバランスが崩れていき、大ヒット作を生み出した裏でバンドとしては崩壊に向かう訳ですが。

ポイント4:歌詞と発音のポイント

Desperado, why don’t you come to your senses?You’ve been out ridin’ fences for so long nowOh, you’re a hard one, but I know that you got your reasons

These things that are pleasin’ you can hurt you somehow

「Desperado」は「デスペラード」とカタカナ表記されることもありますが「pe」は日本語の「」のような明確な音ではなく「」というちょっと籠った音です。「ォ」と「ェ」と「ゥ」の中間みたいな発音。歌い出しは大事なので頑張りましょう。

「ならず者」っていうと何かヤクザみたいですが、アメリカ西部開拓時代の荒くれ者のカウボーイを想像しましょう。ここでは彼に呼びかけているので、友達をわざと「Dude」と呼んだり、黒人同士でわざとNワードで呼びかけている感覚かもしれません。「よお」と。

おいおい、そろそろ正気を取り戻したらどうだい?牧場の柵の見回りをずっと続けている(自分の殻に閉じ籠っている)じゃないかお前が頑固で自分の考えを曲げないのはよく知っているよ

でも、自分では気に入っているものが時には自身を傷つけることにもなるよ

と諭しています。

西部の厳しい暮らしの中でいつしか心を閉ざしてしまった友達。アドバイスをしても聞く耳持たず。それでも気になる存在です。元の歌詞には「you」や「your」がやたら出てくるのがその証拠。日本語に訳す時にはしつこくなるので略してしまいますが、そのニュアンスを汲み取って歌いましょう。

Don’t you draw the queen of diamonds, boyShe’ll beat you if she’s ableYou know the queen of hearts is always your best betNow it seems to me some fine thingsHave been laid upon your table

But you only want the ones that you can’t get

ここではカードゲームを例えに使っています。

「the queen of diamonds(ダイヤのクイーン)」は「気高く金持ちの美女」「the queen of hearts(ハートのクイーン)」は「情熱的な美女」

というイメージ。

自分と不釣り合いな高嶺の花の女に夢中になるのはもうやめなよ酷い目に遭うのは目に見えているからお前にお似合いなのは心からお前を慕ってくれる娘だろ欲しいものはもう目の前に並んでいるのに

手に入らないものばかり追いかけてどうするんだ?

無い物ねだり」は普遍的な話で、それは男女とも同様。恋愛だけじゃなくて人生全般そんなものですね。

このパートでも「you」「your」「me」とかが沢山出てきますね。

Desperado, woah, you ain’t gettin’ no youngerYour pain and your hunger, they’re drivin’ you homeAnd freedom, oh, freedom, well, that’s just some people talkin’

Your prison is walkin’ through this world all alone

なぁ、お前ももう若くはないんだし、これから歳をとる一方だよ身体は痛いし、腹は減るし、気持ちが弱くなって故郷に戻りたくなる「自由がなにより大事だ」っていう奴も沢山いる

でも自分の牢獄を背中に背負って孤独のまま彷徨いてどうするんだ?

歌い手はおそらく同年代の、似たような環境の友達に歌いかけているので、列記しているネガティヴな話は実は自分自身も感じていることなのでしょう。冒険と一攫千金を求めてフロンティアに向かったものの、一時凌ぎの酒場や博打になけなしの金を使う日々。労働は単純で辛いし、いつまでも出来るものではないのは近くにいる年老いたカウボーイ連中を見れば分かる。

「故郷」をキリスト教的に「最後に行くべき約束の地」とする解釈もあるようです。

「you ain’t gettin’ no younger」は否定の強調表現です。

Don’t your feet get cold in the wintertime?The sky won’t snow and the sun won’t shineIt’s hard to tell the nighttime from the dayYou’re losin’ all your highs and lows

Ain’t it funny how the feelin’ goes Away?

さらに過酷な環境の描写は続きます。これらは外部環境のようでいて、実は心の中の描写でもあります。

なぁ、冬場は足元が凍えるよな空はずっと灰色で、真っ白な雪も降らないし、太陽も見えないいったい今が夜なのか昼間なのか、感覚が麻痺してしまう気分のいいことも落ち込むことも無くなってしまう

お前の心は一体どこに行っちまったんだ?

Desperado, why don’t you come to your senses?Come down from your fences, open the gateIt may be rainin’, but there’s a rainbow above youYou better let somebody love you (Let somebody love you)

You better let somebody love you before it’s too late

ここで冒頭の「そろそろ正気を取り戻したらどうだい?」という呼びかけに戻ります。心の扉を開けて、変化を受け入れろよ、と。雨の後には虹が掛かることもあるよ、と。

歌詞の内容としてはアメリカ西部開拓時代のカウボーイ同士のやり取りに終始していますが、時代を現代に置き換えても通用する「孤独感」や「喪失感」「友情(余計なお世話)」「老いと貧困、失望への恐怖」などを描いていて、それがこの曲が歌われ続けている要因だと思います。

ポイント5:様々なバリュエーションを聴いてみましょう

あまりアレンジの余地が無いのが分かりますね。

Carpenters、1975年録音。
どんな曲を歌っても自分のものにしてしまうカレンの歌声。まさに緩急自在という感じです。

Diana Krall、2014年録音。
歌い上げるタイプの人ではなく、しっとりと歌っています。自分でピアノを弾く歌手ならではの細かいニュアンスの付け方。

Kenny Rogers、1977年録音。
オトナな雰囲気で穏やかに歌っています。面白みはありません。

The Petersens、2022年録音。
カントリー音楽楽器を加えた演奏で、原曲でもこういうアレンジもあり得たのではと想像させてくれます。

Westlife、2019年録音

レゲエアレンジ

ボサノバアレンジ

◼️歌詞

Desperado, why don’t you come to your senses?You’ve been out ridin’ fences for so long nowOh, you’re a hard one, but I know that you got your reasonsThese things that are pleasin’ you can hurt you somehowDon’t you draw the queen of diamonds, boyShe’ll beat you if she’s ableYou know the queen of hearts is always your best betNow it seems to me some fine thingsHave been laid upon your tableBut you only want the ones that you can’t getDesperado, woah, you ain’t gettin’ no youngerYour pain and your hunger, they’re drivin’ you homeAnd freedom, oh, freedom, well, that’s just some people talkin’Your prison is walkin’ through this world all aloneDon’t your feet get cold in the wintertime?The sky won’t snow and the sun won’t shineIt’s hard to tell the nighttime from the dayYou’re losin’ all your highs and lowsAin’t it funny how the feelin’ goesAway?Desperado, why don’t you come to your senses?Come down from your fences, open the gateIt may be rainin’, but there’s a rainbow above youYou better let somebody love you (Let somebody love you)

You better let somebody love you before it’s too late

Kohji Yoshida

音楽好きの多ジャンル・シンガーです。自分の知っている範囲で、海外の有名曲の歌詞の解説と歌い方のコツなどを書いていきます。参考になれば嬉しいです。



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