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概要
この記事では、Grover Washington, Jr.の名曲「(In The) Winelight」について解説されています。この曲はファンクとR&Bのセッション定番曲であり、1980年代のスムースジャズ文化における重要な作品です。曲の特徴、歌詞の内容、アレンジ、さらには影響を受けたアーティストについて詳しく述べられています。
要約の箇条書き
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曲の紹介
- Grover Washington, Jr.の「(In The) Winelight」はファンク/R&Bの定番曲。
- 有名な「Just The Two Of Us」と同じく、心地よいサックスの音色が特徴。
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アーティストの影響
- Washingtonは1980年代のスムースジャズの流行を導いた。
- 様々な腕利きミュージシャンが参加している。
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Kurt Ellingのカバー
- Kurt Ellingがこの曲に歌詞をつけて歌った。
- 歌詞には凝った部分があり、アレンジが独特。
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歌詞の特徴
- 主に雰囲気を重視した内容で、陳腐なフレーズが多い。
- 恋愛の雰囲気を表現しているが、具体的な意味は薄い。
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文化的背景
- 1980年代のアメリカでは明るくキラキラした文化が流行していた。
- この曲はその時代のノスタルジーを呼び起こす。
- さまざまなバージョン
- 様々なアーティストによるカバーが存在し、それぞれ異なるアプローチが見られる。
ファンク/R&Bセッションの定番曲。Grover Washington, Jr.というとあの曲が有名ですが、これも名曲です。歌もあります。
(歌詞は最下段に掲載)
和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。
ポイント1:Grover Washington, Jr.
「Just The Two Of Us」が有名過ぎて、アルバム単位で聴かれることは少ないかもしれませんが、1980年代にスムースジャズ/クワイエットストームを流行らせたミュージシャンのひとりです。ひたすら心地よいサックスの音色、グルーヴィーだけどファンキーになり過ぎないリズムなど、FMラジオに乗りやすい音楽を生み出したのは現在に至るまで影響が大きいと思います。
この曲も、オシャレな夜の一場面を連想させる覚えやすいメロディ、少し凝ったキメ、なによりも耳に優しいサックス、よく聴くと凝ったリズムアレンジ、と聴き応えがあります。いかにもクリード・テイラーの「CTI」サウンド。Eric Gale, Marcus Miller, Steve Gadd, Richard Tee, Ralph MacDonald などの腕利きが参加していて、誰もがちゃんとアンサンブルに徹しているのがいいですね。
ポイント2:Kurt Elling
「何でも歌っちゃう人」のひとりKurt Ellingが歌詞を付けて歌っています。細かいキメの部分に歌詞がうまく乗っています。私はこの人の歌を上手いと思ったことはないのですが、アレンジの才能は認めています。
最初は「こんなの歌えるの?」という感じですが、慣れてきてキメ部分が上手くハマると楽しい曲です。
ポイント3:歌詞のポイント
In the wine light, livin’ lovin’s soft delights
Smooth and mellow, feelin’ how we move so right
We’re lettin’ the time go, and takin’ it nice and slow
割と雰囲気だけの歌詞です。
「livin’ lovin’s soft delights」「Smooth and mellow」「nice and slow」などいかにもの陳腐なフレーズ満載。これを照れずに歌うのがポイント。
「Smooth」の語尾の発音は「th」の濁った音なのですが、いずれにしろ日本語の「ズ」のような強い音ではありません。特に後に他の単語が続いて発音される場合には濁りが弱くなる傾向があります。
In the wine light, lazyin’ through this all night flight
Higher and higher, baby, touchin’ you with second sight
We’re over the rainbow, it’s time to let it flow
ふたりで(おそらくはベッドの上で)過ごす時間を「空を飛ぶこと」に例えています。「Higher and higher」とか露骨ですね。
「We’re over the rainbow」はあの名曲を連想させますが、何か意味のある比喩でもなさそうです。
「let it flow」は「流れに任せよう」という感じ。
Baby, you’re my lover, no other I’d ask to stay
And make a hideaway with me
Dreaming in Burgundy
「Burgundy」はブルゴーニュワイン、あるいはその色。
どこまでも雰囲気だけの歌詞ですね。
ポイント4:1980年代の米国文化
1980年代の米国文化は、音楽も映画も文学も建築・インテリアも、全部「明るくキラキラしたもの」が流行りました。細かい悩みとか忘れて夜通しパーティーしよう的な。これを後に反映したのが日本の「バブル期(80年代後半〜90年代初頭)」の文化だった訳です。
この曲(特に歌入り)を聴くとそんな時代のイメージがパッと広がる気がします。女の子は口説く為にいる、男の子は従える為にいる。
ポイント5:様々なバリュエーションを聴いてましょう
Amanda Sneddon、2012年録音
スムースジャズ的な、ほとんど雰囲気だけの演奏にのった可憐な歌声。歌詞の雰囲気に合っていますね。
Misha、2020年録音
少し速めのテンポでの演奏と歌唱。コーラスがいい感じです。
Tony Adamo、2007年録音
渋い声での歌唱。ちょっと演歌っぽい?
Rob Croin、2024年録音
なんか強烈に訛っているので英語圏の人ではないですね。ゆったりとしたテンポでの歌唱。
Paul Brown、2005年録音
心地よいスムースジャズ
◼️歌詞
In the wine light, livin’ lovin’s soft delights
Smooth and mellow, feelin’ how we move so right
We’re lettin’ the time go, and takin’ it nice and slow
In the wine light, lazyin’ through this all night flight
Higher and higher, baby, touchin’ you with second sight
We’re over the rainbow, it’s time to let it flow
Baby, you’re my lover, no other I’d ask to stay
And make a hideaway with me
Dreaming in Burgundy
Lookin’ out the window at the universe’s starry array, we can say
“Everything’s OK, you see” as long as you’re here with me
We can leave the world or make it go
We can lose it in the undertow
If you say it’s true, then we can push it away
As long as you stay
Whatever you say
Please, baby, just stay
And let this wine light, colour every look tonight
Feel the love grow, and let our spirits reunite
We never will let go, until we overflow
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