スイスの富裕層向け資産運用会社ジュリアス・ベア・グループは、不動産開発融資で再び大規模な損失を被る見込みだ。同社は破綻した欧州不動産大手シグナ・グループへの投融資が原因で危機に陥り、ようやく立ち直りつつあるところだった。
事情に詳しい関係者によれば、ジュリアス・ベアは信用ポートフォリオを検証する作業の一環で、ドイツ・ハノーバー市の不動産プロジェクトがデフォルト(債務不履行)寸前に陥っていることに鑑み、関連融資の減損処理を検討している。別の不動産開発案件でも損失が発生する見込みだという。
これらのプロジェクトによる損失などで、ジュリアス・ベアは約1億3000万スイス・フラン(約230億円)の貸倒引当金計上を迫られる見通しだと、関係者は述べた。関係者は非公表の情報だとして匿名を要請した。
ジュリアス・ベアはコメントを控えた。
上場する資産運用会社としてスイス2位のジュリアス・ベアは2023年終盤、オーストリアの大物実業家レネ・ベンコ氏が創業したシグナ・グループ向けの融資が焦げ付き、5億8600万スイス・フランの貸倒損失を計上。プライベートデット業務からは撤退した。
これを受けて新たな最高経営責任者(CEO)に指名されたゴールドマン・サックス・グループ出身のステファン・ボリンジャー氏、新会長となった元HSBCホールディングスCEOのノエル・クイン氏は、就任早々に人員削減と取締役会メンバーを15人から5人に減員すると発表するなど、大なたを振るっている。
原題:Julius Baer Said to Face $156 Million Loan Loss Charge(抜粋)
🧠 編集部の感想:
ジュリアス・ベアの再びの大規模損失は、信用リスク管理の不備を浮き彫りにしています。特に不動産融資が影響を及ぼしているため、今後の戦略見直しが急務です。新CEOのリーダーシップの下、再建が成功するか注目です。
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