メモ

by TED Conference

近年はAI開発企業によるウェブサイトのクローリングや、AIトレーニングに著作権で保護されたコンテンツを用いることに対する懸念が高まっており、企業やクリエイターによる訴訟にも発展しています。そんな中、Twitter(現X)の共同創業者である実業家のジャック・ドーシー氏が、「すべての知的財産法を撤廃せよ」とXに投稿して物議を醸しています。


Jack Dorsey and Elon Musk would like to ‘delete all IP law’ | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/04/13/jack-dorsey-and-elon-musk-would-like-to-delete-all-ip-law/

Intellectual Property in the Age of AI – by Mike Brock
https://www.notesfromthecircus.com/p/intellectual-property-in-the-age

ドーシー氏が2025年4月12日に投稿した「すべての知的財産法を撤廃せよ」という主張は、多くの人々からさまざまな反応を呼びました。Xやテスラのオーナーであるイーロン・マスク氏は、これに「同意します」とリプライしています。


弁護士兼起業家であるニコール・シャナハン氏は、「知的財産権の専門家として、NOと言います。知的財産法は人間の創造物とAIの創造物を区別する唯一のものです。もし改革したいのであれば、話し合いましょう!」とリプライ。これに対しドーシー氏は、「現在の私たちを隔てているのは創造性であり、現状のシステムはそれを制限し、支払いの分配を公正でないゲートキーパーに委ねています」と反論しています。


また、クリエイターの権利を尊重するAIトレーニングの実践を認定する非営利団体・Fair TrainedのCEOであるエド・ニュートン・レックス氏は、ドーシー氏とマスク氏のやり取りのスクリーンショットを添付して「生涯をかけて作り上げた作品が利益のために略奪されることを望まないクリエイターに対し、テック企業の幹部らが全面戦争を宣言した」と投稿しました。ドーシー氏はこの投稿へのリプライで、「クリエイターに支払うための、はるかに優れたモデルが存在します。現在のモデルはクリエイターからあまりにも多くのものを奪っており、利益追求にしか役立っていません」と述べています。ドーシー氏はいくつかの反応に対し、クリエイターに還元するもっと優れた何かしらのモデルがあると主張していますが、そのモデルがどのようなものかは説明していません。


テクノロジー系メディアのTechCrunchは、「これらのコメントにつながったものが正確に何なのかは不明ですが、OpenAI(マスク氏が設立し、競合し、法廷で異議を唱えている)を含む多数のAI開発企業が、モデルをトレーニングするための著作権を侵害したとする多数の訴訟に直面している時期に出されました」と指摘。近年のAI開発と著作権を巡る問題に反応したものではないかと推測しました。

元テクノロジー企業幹部のマイク・ブロック氏は自身のブログで、「トランプ政権以前のアメリカであれば、ドーシー氏とマスク氏のやり取りは単なるシリコンバレー側の挑発として片付けられたかもしれません。しかし、マスク氏が政府効率化省(DOGE)を通じて政権に組み込まれた今、そのような何気ない空想は検討を必要とする重みを持っています」と述べ、ドーシー氏の呼びかけは精査に値するとしています。

テクノロジー業界に身を置いていたブロック氏は、オープンソースソフトウェアとクリエイティブコモンズのアプローチを支持しており、これらのモデルがイノベーションとコラボレーションを促進するのを目の当たりにしてきたとのこと。しかし、これらのアプローチが効果を発揮するのは、知的財産権の枠組みに反するのではなく枠組みの中で機能する時であり、クリエイターが特定の条件で権利を共有するかどうかを選択できる状態に依存していると主張。人間の創造性のユニークな価値を認める法的枠組みがなければ、人々の創造的な仕事は無限に再生産可能な材料となってしまい、固有の価値も保護もない世界に突入してしまうと警鐘を鳴らしています。

ブロック氏が特に問題としているのが、ドーシー氏が「現在の欠陥がある知的財産法を維持するか、知的財産法を撤廃して不特定の『より良いモデル』を通じて『クリエイターに適正な報酬が支払われる』という曖昧な未来を支持するか」という誤った二元論を提示している点です。そもそも、クリエイターが何らかの形で知的財産権を保有していなければ、個々のクリエイターがプラットフォームに働きかけて報酬を得ることは不可能です。

ブロック氏は、「私たちが目撃しているのは、創造の自由を求める勇敢な姿勢などではなく、人間の創造性を別の資源に変え、技術システムによって収穫・処理・収益化するプロジェクトの最終段階です」と指摘しました。

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