土曜日, 5月 24, 2025
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シンドラーのリスト観てケンケンの晴耕雨読

🧠 あらすじと概要:

あらすじ

『シンドラーのリスト』は、第二次世界大戦中のナチス・ドイツによるホロコーストを背景に、ポーランドの実業家オスカー・シンドラーがユダヤ人を救うため尽力する姿を描いた映画です。シンドラーは、自己の利益を追求する中で、ユダヤ人労働者たちの命を救うために積極的に行動し、彼らを強制収容所から支援します。彼の活動は数多くの命を救ったものの、その代償として彼自身にも精神的な苦痛が伴います。

記事の要約

この記事は、映画『シンドラーのリスト』を鑑賞した感想を述べており、戦争が兵士やその周囲の人々に与える精神的な影響について深く考察しています。著者は、兵士たちが命令に従い他者を殺すことで精神が蝕まれていく様子を描写し、その行為がどれほど厳しい罪の意識を伴うかを強調しています。戦争によって生じる苦しみや、名もなき善人たちの存在についても言及し、戦争が勝者と敗者の間に生み出す「共通の痛み」に焦点を当てています。結論として、戦争によってもたらされるのは単なる勝敗ではなく、心の中に生き続ける無惨さであると指摘しています。

シンドラーのリスト観てケンケンの晴耕雨読

ケンケンの晴耕雨読

2025年5月24日 07:33

「哀れだな」と思った。それは、銃撃や砲弾に倒れた人々に対してではない。むしろ、何の罪もない人々に銃口を向け、命令に従って引き金を引いた兵士たちに対してだ。戦場において、兵士が人を殺すという行為は、その人間の精神を蝕む。上官の命令に従って人を撃ち殺す兵士は、ある意味で、すでに死んでいる。彼らの身体は生きていても、心はもはや以前の姿を保っていない。そんな兵士たちが哀れで、死者が生者を殺しているような、そんな異様な光景が戦場では日常になる。地上戦では、敵味方の区別が曖昧になることが多い。実際、戦傷・戦死者の半数は味方の誤射によるという話もある。恐怖に満ちた空間で、銃を手にし、気配に反応して反射的に引き金を引く。倒れたのは味方だった。撃つ瞬間に「違うかもしれない」と思っても、その一瞬の迷いが自分の死につながる。そんな極限状態では、判断よりも生存本能が先に働く。果たして、そのような経験を経た人間が、再び平穏な日常に戻れるのだろうか。映画『ビルマの竪琴』では、戦後に帰国せず、その地に残って僧侶となり、亡くなった兵士たちの魂を弔う道を選んだ男が描かれている。彼の選択は、単なるフィクションではなく、実際にあった話だという。また、小説『永遠のゼロ』の主人公の祖父は、「生きて帰れ」と語り続ける反面、戦場で大切な仲間たちを次々に失い、ついには精神を病み、自ら帰国を拒む。命を守るために人を殺さず耐えた男が、最後には心に深い傷を負ってしまうのだ。私が子供だった1960〜70年代の日本では、町に傷痍軍人の姿があった。肘までしかない腕、膝から先のない脚。それが戦争の痕跡であるとは知らず、私たちはただその姿を無言で見つめるだけだった。市営住宅の敷地に毎日のように立っていたあの男性は、なぜ、いつも子供たちをじっと見ていたのだろう。その視線は温かくも冷たくもなく、ただ深く静かだった。誰も、あの人たちが何者であるかを教えてくれなかった。戦争の記憶は語られることなく、私たちはただ無知のまま通り過ぎた。そして、50歳を過ぎた頃に、ようやく私は、彼らが傷痍軍人だったのだと気づいた。戦争は終わっても、兵士たちの中で終わることはない。彼らは帰国しても「生きたまま戦場に取り残された」ままだ。体の傷は癒えても、失った手足は戻らず、ましてや心の傷は、後悔や自責の念に一生つきまとわれる。私は日本人として生まれたが、それは自ら選んだことではない。誰も、生まれる国や家庭を選ぶことはできない。偶然にその国の兵士となり、命令に従って戦場へ向かう。ただそれだけのことだ。だからこそ、戦場で受けた傷は、勝者であろうと敗者であろうと、同じように深く、重い。それは兵士たちが戦場から持ち帰る「共通の痛み」だ。そして、歴史に埋もれた名もなき善人たち――シンドラーのような存在もまた、多くが評価されることなく、あるいは命を落としていったのではないか。

戦争がもたらすのは勝敗ではなく、魂の死のまま生き続ける無惨さなのだ。

ケンケンの晴耕雨読

YouTubeチャンネル-ケンケンの晴耕雨読では、日曜大工など物作り。YouTubeチャンネル-大阪図鑑では、大阪の催事-祭事、夜景や町景色などを公開しています。また、創作文章も習作中。使用している写真は、すべて筆者が撮ったオリジナルです。イラストなどはAIで作成しています。



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