日曜日, 5月 4, 2025
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シナリオライターが遊ぶ『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』起立!礼!戦闘開始!クセの強いキャラクターたちと織り成す青春防衛(照れ隠し)ストーリー | Game*Spark


ビデオゲームに秀逸なシナリオが盛り込まれ、それを読み解くことも遊びの一部として受け止められるようになった現代……本連載記事では、古今東西のビデオゲームを紐解き、優れたゲームシナリオとは何かを考えていきます。第26回は『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』を取り上げます。

※『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』のネタバレが含まれています。ご注意ください。

『ダンガンロンパ』シリーズの小高和剛氏と『極限脱出』シリーズの打越鋼太郎氏がタッグを組んで制作された『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』。本作は人類に仇なす侵校生から、最終防衛学園という学校施設を100日間守り抜くというサバイバル&タワーディフェンス風味なADV×SRPGです。

主人公は東京団地というコロニーに住む少年・澄野拓海(すみのたくみ)。幼馴染の柏宮カルアとともに平和で退屈な日々を送っていましたが、街が謎の怪物に襲われてしまいます。そこに現れたSIREIというロボットの手引きで我駆力(がくりょく)という力に目覚めた彼は、怪物を退けたものの意識を失ってしまいます。

次に目覚めたのは最終防衛学園という学校施設。そこで彼は似たような境遇の若者たちと出会い、共同生活を送ることになります。彼らに課せられた使命は、侵校生(しんこうせい)という外敵から学校を100日間守り通すこと。そしてもしも任務が失敗したら、人類が滅んでしまうのでした……。

そんなこんなで突如として始まった謎の共同生活。侵校生と渡り歩くために彼らが手にした武器は、突然発現した謎の力「我駆力(がくりょく)」です。胸に我駆力刀を突き刺すと、体中の血が渦となって巻き上がり、学生鎧に身を包んで学生兵器(クラスウェポン)を装備することができます。鉄板の異能力バトルですね。

自分たちの身に起きた奇跡に「かっけぇー!」と感動したり、仲間と同じ釜の飯を食ったりしながら楽しく過ごす一方で、絶望的な戦いを強いられ、何度も挫折しそうにもなります。このあたりはなかなか王道で素晴らしく、少年漫画的なアツい展開の連続に胸躍りました。

加えて、全員が全員ヘンに個性的で、一度見たら忘れられない見た目(と名前)をしています。やたら昭和臭いギャグを連発する女子プロレスラーから、九九すらできないおバカの忍者侍拷問に性的な快楽を覚えている殺し屋の少年から、曲がったことが大嫌いな典型的ヤンキーまで、無くて七癖にもほどがある面子です。これだけアクが強い人たちのドラマでもちゃんと泣けるんだから、さすが小高&小松崎節!

とはいえ、そんなアクの塊みたいな彼らでも、中身はまだまだ不安定なハイティーン。100日間も戦線を張り続けるなんて、いくらなんでもちょっと重すぎる任務です。

本作は学校と軍事のフレーバーが外連味たっぷりに混ぜ込まれており、そして同時にどこまでもミスマッチなのです。大人たちの都合によって戦争へと駆り立てられていく彼らの姿は、悲痛であるとともに、物語の裏に隠された度し難い歪みをほのかに感じさせます。

そんな過酷で邪悪な世界のなかにいながら、都合良く利用される兵士として扱われていることを自覚しつつ、しかし幼馴染との約束を果たすという芯はぶらさず、SIREIや仲間をも疑ってかかり、己の道を突き進む澄野君は……昨今稀に見るほど男前なキャラクターです。(まあ、そんな固い決意を嘲笑うようなエゲつないプロットを平気で用意するのが小高氏なわけですが……)

「俺たちは何のためにここにいるのか?」「侵校生とは何なのか?」という大きな謎を縦軸にして引っ張り、横軸では仲間との多種多様なイベントを用意することで、長大なADVパートを飽きさせないようにしているのはなかなかに骨が折れる作業ではないかと思いました。

極めつけは、100種類ものエンディングです。ヤケクソかと思いきや、これがなかなか味わい深いものばかり。筆者は真相を含め何個か見ましたが、どれも有り得たかもしれない未来として、彼らの結末をしっかりと描き切っていました。

開発元のトゥーキョーゲームスは、too+狂(狂いすぎ)というニュアンスが含まれているそうです。

たしかに100個のエンディングを用意したと言われると正気ではないように感じますが、ただプレイヤーを虚仮威し(こけおどし)に付き合わせるのではなく、自然と長時間読み込んでしまうだけの起伏と感動のあるストーリーを緻密に書き上げているという意味では、むしろ誠実な開発姿勢なのでは?とすら思いました(SRPGパートには結構早い段階で飽きてしまいましたが……)。

それはまるで、クセの強いキャラが息を吐くように下ネタを連発し、露悪的な展開で読者を鼻白ませておきながら、その実本当に読ませたいところはティーンエイジャーが本音でぶつかりあったり、自らの幼稚さを克服したりする瞬間という、このゲームの照れ隠しみたいなストーリーテリングと相似しているようにも感じました。

本当はベタがお好きなんでしょ?とニヤニヤしながら訊ねたくなるような一本でした。ちなみに筆者の推しは凶鳥狂死香ちゃんです。



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