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(2025年4月26日 13:07 GMT +09:00 時点 - 詳細はこちら価格および発送可能時期は表示された日付/時刻の時点のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、購入の時点で当該の Amazon サイトに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます。)

ビデオゲームに秀逸なシナリオが盛り込まれ、それを読み解くことも遊びの一部として受け止められるようになった現代……本連載記事では、古今東西のビデオゲームを紐解き、優れたゲームシナリオとは何かを考えていきます。第25回は『サガ フロンティア2 リマスター』を取り上げます。
※『サガフロンティア2 リマスター』のネタバレが含まれています。ご注意ください。

当連載でもたびたび取り上げてきた『サガ』シリーズ。独特なセリフ回しや、頭を捻る戦闘、フリーシナリオやひらめきといったユニークなシステムなど、国産RPGのなかでも一際輝く個性を持ったIPです。
リマスターされたサガはすべてプレイしてきた筆者も、ついに『サガ フロンティア2』をプレイすることが叶いました。以前から「サガフロ2のシナリオは良いぞ……」とアツい布教を受け続けてきたので、遊ぶ前から体が震えるほど楽しみでした。

本作は、王族に生まれながらアニマ(あらゆるものに宿る気や魂のようなもの)を持たず、追放されてしまった王子ギュスターヴと、両親の死の真相を巡り、やがて“エッグ”という邪悪な存在を破壊する定めを負うことになるウィル・ナイツという青年の物語を、同時並行で追いかけていくゲームです。

のっけからギュスターヴが可哀想すぎて見ていられません。「石ころ以下」と邪険にされて、母親とともに各地を転々とするギュスターヴの姿が、連続したカットシーンで描かれます。「人間なのよ、ギュスターヴ!!」 「泣いてるの、ギュスターヴ?」と、開始数分で名言が乱れ雪月花です。
ギュスターヴと似た境遇ゆえに子分を続けてしまうフリン、やさぐれていくギュスターヴをちゃんと叱る勝気な女の子レスリー、すでに貴族としての自覚を持っているケルヴィンや、病に倒れていく母ソフィーなど、もう人物配置が完璧すぎます。逆にこれで更生しないわけがないでしょ?という布陣です。

いくつかのイベントを乗り越え、人間として成長していったギュスターヴはやがて人の上に立つようになります。術不能者として生きることを決意した彼は、戦乱が巻き起こる世界に飛び込んでいくのです。
これがまたヒストリーチョイスというシステムと相性が良く、平気で数か月から数年単位で物事が飛ぶので、誰も彼もがすぐ大人になっていきます。そして、わざわざ状況や人間関係をつらつらと説明しないセリフ回し(河津節)が、時の経過を良い感じに演出しています。ステータス画面でキャラクターたちの年齢を確認して「ああ、何年か経ったんだな……」と感慨に耽るのがまた良いんです……。

そんな具合に貴族や軍師たちが権謀術数を巡らせている裏で、ナイツ家の物語も大きく動いていきます。新米のディガー(古い遺跡を巡って宝を掘り当てる冒険者)として歩み始めたウィル・ナイツは、両親の死の真相を追いかけていくうちに、邪悪な存在“エッグ”との戦いに身を投じることになっていきます。それも、親子三代に渡って……。
ギュスターヴと違って術の才能に溢れている人物が多いナイツ編は、そのシナリオの流れも相まってか「ジョジョの奇妙な冒険」のような展開を見せていきます。

強大な力を与える代わりに精神を支配する古代の遺物“エッグ”に魅入られた人々を倒すために、ナイツとその仲間たちはあらゆる場所で戦いを繰り広げます。エッグ自体との戦いはシンプルな勧善懲悪に見えますが、味方サイド・敵サイド問わず、舞台に登場してくるキャラクターたちは、サンダイル中でギュスターヴたちが起こしている戦争に少なからず関係しています。このわずかな交錯が世界観に深みを与え、歴史の重みを感じさせてくれるのです。
しかしながらそこにわざとらしさや必要以上のプロットはなく、キャラクターたちはその都度彼らの判断で世界を行き来しています。自らを縛る家を抜け出す者、冒険に憧れている者、世界を恨んでいる者……どれもこれも人間臭く、ひとりとしてつまらないキャラクターはいません。

ひとつひとつのシナリオは、マンガやドラマでは見たことのあるベタな展開ではあります。しかし、水彩画のグラフィックを背景に、表情の読めない3等身くらいのキャラクターがまるで人形劇のように丁々発止のやりとりをしているのを見ると、これでしか得られない感動が確かにあるのです。きっと今このキャラクターは人生で一番辛い目に遭っているんだろうな……と思うと、セリフを送る手が止まってしまい、しばらく一緒に泣いてあげるしかなくなるわけです。

流石はPlayStationを代表する傑作RPGと言われるだけの濃密さがありました。では、エンディングも観終えたところなので、ギャラリーモードから浜渦さんの音楽と小林さんのイラストをじっくり堪能させていただきます……!