英エネルギー大手シェルは、英BPの買収を検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。BPの株価や原油価格がさらに下落するのを見極めた上で正式な買収提案に踏み切るかどうかを判断する方針だ。
非公開情報だとして匿名を条件に述べた関係者によれば、シェルはここ数週間、BP買収の実現可能性やメリットについて、アドバイザーとの協議を本格化させている。
最終的な判断は、BP株が今後も下げ続けるかどうかに左右される公算が大きいという。ここ1年でBP株は約3割下落。再建計画が投資家の支持を得られず、原油値下がりも重なった。
シェルとBPの統合が実現すれば、石油業界史上最大級の買収案件となり、長年にわたり議論されてきた英エネルギー大手同士の合併が現実のものとなる。
関係者の一部によると、シェルはBP側からのアプローチや他社が買収提案に動くのを待つ可能性もあり、今回の準備はそうした状況に備える狙いもある。
協議はまだ初期段階で、シェルが大型合併ではなく、自社株買いや小規模な買収を優先することもあり得るという。他の大手エネルギー企業もBPへの買収提案を検討しているとも関係者は話している。
シェルの広報担当者は「これまで繰り返し述べてきたように、業績や規律、業務の簡素化に集中し続けることでシェルの企業価値を高めるよう力を注いでいる」と電子メールで説明した。BPの担当者はコメントを控えた。
かつて両社は規模やグローバルな影響力がほぼ同等のライバル関係にあったが、ここ数年はそれぞれ異なる道を歩んでいる。
ロンドン市場でシェルの株価はここ1年で約13%下落し、現在の時価総額は1490億ポンド(約29兆円)。BPの時価総額は560億ポンド。
BPは長期的な業績不振に苦しんでいる。アクティビスト(物言う株主)の米エリオット・インベストメント・マネジメントはBPの株式5%を保有していると公表し、同社に対しより抜本的な対策を講じるよう圧力を強めている。
原題:Shell Is Said to Study Merits of BP Deal as Rival’s Stock Slumps(抜粋)
(アクティビストの動きなどを追加して更新します)
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