木曜日, 5月 15, 2025
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コピペでOK!ChatGPTの出力精度が上がる「FAIR構文」でプロンプト最適化 #LLM – Qiita


はじめに

ChatGPTを活用している人向けに、 簡単に出力品質を高める プロンプト構文「FAIR」を紹介します。

何度か検証を続けてきましたが、「プロンプト末尾に4行追加するだけ」で、ChatGPTの応答が実用的で品質が高い出力になるという効果が出ました。

ChatGPTの出力構造を改善するため、既存のプロンプト設計手法(深津式やReActなど)との比較評価を行う中で、この構文の有効性も再び検証しました。以降、FAIRとは何か、そしてその原理と実験結果を紹介します。

FAIRとは何か?

FAIRは、以下の4要素で構成されています。

コピペ用テンプレート


Focus:
Analysis:
Integration:
Response:

ChatGPTに渡すプロンプトの 末尾 に、この構文を貼り付けるだけです。

使用例

今度、「光る額縁」を商品化するのでマーケティング戦略を考えて。

Focus:
Analysis:
Integration:
Response:

なぜ効果が出るのか?

FAIRが効果を発揮する理由は、ChatGPTの出力生成プロセスと整合しているからです。

1. 暗黙的プロンプト構造との整合

ChatGPTは、出力を生成する際に内部で段階的推論を行っています。FAIRはその思考段階(目的→分析→統合→出力)を明示的に与えるため、モデルが自律的に情報を整理しやすくなります。

2. 出力の「自然性」と「構造性」の両立

基本的にFAIRでは貼り付けるだけで、「内容の分解 → 整理 → 統合 → 最終提案」というプロセスを経て出力を促します。

3. 曖昧性の排除と情報の強制分解

「Focus」で目的を限定し、「Analysis」で観点を明示、「Integration」で判断軸を統合することで、ChatGPTは曖昧なまま応答を開始できなくなります。結果として、出力内容の情報密度が高くなります。

4. ChatGPTの特性に適している

ChatGPTは段階的な明示的指示に対して安定的に応答を生成しやすい性質があります。FAIRはまさにこの特徴に最適化されており、出力品質のばらつきを抑え、再現性の高い応答を引き出すことができます。


各要素の意味と役割

英語の要素名 日本語訳 役割
Focus 焦点/目的の明示 何について考えるのか、問いや課題の中心が何かを最初に定める
Analysis 分析/観点の列挙 問題をどう分けて考えるか、検討すべき要素・軸・条件を明示する
Integration 統合/全体整理 複数の観点を踏まえて判断の方向性や全体像を整理・統合する段階
Response 応答/提案提示 最終的な出力として、判断・結論・具体的な行動や提案を提示する

各プロンプト記法の違い

構文 傾向と適性の理由
FAIR 分解→整理→統合→提案の明示することで、出力を安定化し、実用精度と再現性が高い
ReAct 「考える→行動→観察」の枠で試行錯誤や思考の痕跡を示せる構造。結論保留型の問いに強い
深津式 Markdownベースで自由度が高く、条件指定によるカスタマイズ性が高い。ただし設定と記述の手間はあるため習熟が必要

FAIRを付けることによってChatGPTの応答は段階的な推論を経て構成され、情報の精度が高まるという仮説のもと、実出力を比較し再現性を次に示す出力例で検証しました。


検証:FAIR vs 他プロンプト構文

使用モデル:GPT-4o
注:スクリーンショットを見やすくするため、ブラウザの拡張機能でカスタムCSSによりUIを一部変更しています。

1回目:スタートアップはSEOとSNSどちらを優先?

元のプロンプト:

スタートアップが広告費を抑えながら見込み客を集めたいとき、SEOとSNSどちらを優先すべきか、実践的に比較して。

▲ FAIR(1回目)

▲ ReAct(1回目)

▲ 深津式(1回目)

▲ 無し(1回目)

方式 特徴
FAIR SEOとSNSの比較にあたり、費用対効果・見込み客の質・時間軸・拡散性・継続性・運用リソースなど、6軸以上で整理されている。単なる二択でなく「短期=SNS/長期=SEO」という時間軸での分離と、相互送客の並行した戦略が提示されている点は実践的。導入企業が実際にとりうる手順(SNS→SEO構築→連携)も段階的に記述され、具体的な行動計画として機能する。
ReAct “Thought / Action / Observation”の構造で情報整理され、流れが整理されている。SEOとSNSのコスト・即効性・継続性などが網羅され、結論に至るまでの思考過程が明文化されている。弱点としては、行動提案が抽象的で、SNSとSEOの具体的に何をすべきかの例がやや薄い。
深津式 網羅的に用語を使って丁寧に説明されている。形式的に整っているが、他と比較すると情報の整理が散らかっていて戦略もスタートアップに対する特有のものが若干薄い。
無し 実行指針としてSNS→SEOへの流れが提示されている。比較は詳細だが相対化が多く平坦で読みづらい。他の回答と比べるとSEOとSNSの比較が一般論的で深みがやや浅い。SNSにやや好意的で、長期的視点があまり触れられていない。

2回目:スタートアップはSEOとSNSどちらを優先?

▲ FAIR(2回目)

▲ ReAct(2回目)

▲ 深津式(2回目)

▲ 無し(2回目)

方式 特徴
FAIR 文字数は少ないが、内容は短期SNS+中長期SEOを段階的に提示し、XやLinkedIn活用からLP連携まで具体策を含む。構成が安定しており、KPIや見込み客の質にも言及。
ReAct Thought→Action→Observationで構造整理されているが、用語が抽象的で曖昧になりやすい。実行ガイドとしてはこれから何をすべきかが分かりづらい。
深津式 B2B/SNSといった業種別判断が明確で、3段階フェーズ(初期SNS→中期SEO→長期SEO)の流れも整理されている。内容は少し一般論的だが情報が整っている。
無し 情報量が多く構成はされている。汎用性はあるものの、スタートアップ戦略への踏み込みが足りず、内容が薄くなりがち。

1回目:非同期処理をわかりやすく説明して

元のプロンプト:

JavaScriptの非同期処理を、初学者にもわかりやすく説明して。Promiseとasync/awaitの違いも含めて。

▲ FAIR(1回目)

▲ ReAct(1回目)

▲ 深津式(1回目)

▲ 無し(1回目)

方式 特徴
FAIR 非同期処理の必要性明示してからPromise→async/awaitへ展開。構文の違いや用途、エラー処理の扱いなど網羅的。初心者に向けた学習ステップを明示。
ReAct 情報のまとめとしては良い。コードで同期処理の場合の例がなく、やや抽象的な表現が多くなりがち。
深津式 優しい語調で親しみやすい。そのため非同期処理の説明がたとえ話的でもう一歩踏み込めない。言葉は優しいが技術的理解を促す点では弱い。
無し 網羅性が高く整ってはいるが、非同期処理の学習としては焦点が散漫。初心者がどこを理解すべきかが分かりづらい。

2回目:非同期処理をわかりやすく説明して

▲ FAIR(2回目)

▲ ReAct(2回目)

▲ 深津式(2回目)

▲ 無し(2回目)

方式 特徴
FAIR Focus/Analysis/Integration/Responseの段階で構成。非同期処理の定義と導入理由を最初に明示。コード例・比較・導入順いずれも整理されている。
ReAct 理由と流れがよく整理されている。抽象的・比喩的表現が混じりやすく、表現はやや遠回り。回答精度としては質が高い。
深津式 親しみやすく説明が丁寧。非同期処理の背景や使いどころの明示がやや弱く、平たい内容で書き方の説明になりがち。
無し 網羅的で実務ではどれを使うかを明示。ただし、内容はいまいち整理されていない。初心者向けには焦点が定まらない内容。

1回目:取引先へのアポイントメールを作って

元のプロンプト:

取引先の担当者様に「新商品について話がしたい」と、ビジネスマナーを守って、礼儀正しくて、要点が分かりやすくて、とても丁寧で印象がいいアポイントメール文面を出力して。

▲ FAIR(1回目)

▲ ReAct(1回目)

▲ 深津式(1回目)

▲ 無し(1回目)

方式 特徴
FAIR 要点と丁寧さのバランスがとれ「お目にかかれることを楽しみにしております」など丁寧ながらも親しみある表現。候補日提示・調整の明示もあり、テンプレートとして実用性が高い。
ReAct 抑えるべきところを押さえている。やや硬めで、形式的。堅い文章の方が好まれる相手や場所によってはこのシンプルさは向いている。
深津式 提案内容が具体的で伝わりやすいが、ややテンプレート的。「事業にお役立ていただける」など表面的な営業的表現が強い。
無し 目的のアピールが弱い。候補日の提示も相手の候補日に合わせて対応すると明示していないのでやや弱い。提案の姿勢が薄い。

2回目:取引先へのアポイントメールを作って

▲ FAIR(2回目)

▲ ReAct(2回目)

▲ 深津式(2回目)

▲ 無し(2回目)

方式 特徴
FAIR 件名に「アポイントのお願い」とあり、目的が明瞭。柔軟な日程提示と手段の選択肢も含む。ただし、末尾の署名は堅めで汎用性は落ちる。
ReAct 柔らかく配慮があり、応用性も高い。丁寧な文面で実用性とカスタマイズ性が高い。
深津式 内容としては汎用性高くアピールが強い。ただし、候補日時提示がなく、受信者への配慮に一歩届かない。
無し 最もシンプルで、文面が事務的。形式的丁寧さに留まる。

出力傾向まとめ

構文 出力傾向の特徴
FAIR 段階的構造で安定性が高く、出力が整理されやすい。実用・再現性に強い。
ReAct 思考・行動・観察の順で探索的に展開。過程の可視化は強いが結論はぶれやすい。
深津式 条件など補足指示を自分で最適化する必要あり。今回は最適化が足らず、各質問に対する回答の品質が不安定だった。
通常 モデル依存でばらつきが大きい。内容は流動的、再現性は低め。

おわりに

実際に比較を通して、FAIRが応答の整理や安定にどれだけ影響するかを示しました。ChatGPTの出力品質を制御・安定化できる可能性が確認いただけたかと思います。

FAIRは、命令型プロンプトや対話形式と比べ、段階的な推論を促すことで、最終的な出力を簡潔で要点を押さえた出力に整理できます

誰でも ChatGPTでFAIRの効果をすぐに比べられる ので、みなさんもぜひ試してみてくださいね。

FAIRの他にも、プロンプトの研究でパーソナライズメモリ機能による内部制御を行った成果の記事もあるのでチェックしてみてください。こちらはそのうちどうやって作るのかを紹介していきたいと思っています。

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