トレーダーはカナダ・ドルに対しここ15年で最も強気になっている。カーニー加首相が就任後初めてトランプ米大統領と会談したタイミングと重なった。
約280億カナダドル(約2兆9100億円)規模のデリバティブ市場で、米ドルとカナダ・ドルの1カ月物リスクリバーサルはマイナス約8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、カナダ・ドルに対し2009年後半以来最も強気な水準となった。リスクリバーサルはコールオプション(買う権利)とプットオプション(売る権利)の価格差に基づいて市場参加者のセンチメントを測る主要指標。
6日にホワイトハウスで行われた会談で、カーニー首相がカナダの主権を守る考えを示したのに対し、トランプ氏は米貿易相手国・地域に対する関税水準は自らが決めると重ねて表明。大統領執務室で両首脳が発言した際にカナダ・ドルは1米ドル=1.3751カナダドルと年初来高値を記録した。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)の市場戦略グローバル責任者、ウィン・シン氏は会談について「友好的な雰囲気だった」と指摘した。ここ1カ月に米ドルの支持線だった1.38カナダドルを抜けたことで、「カナダ・ドルは一段高が見込まれる」とも語った。

年初の時点ではカナダ・ドルに関する市場の見方ははるかに弱気だった。投資家は、トランプ政権が貿易相手国・地域に関税を課すことでカナダ・ドルが低迷すると予想していた。だが1月から米ドルは下落基調にあり、カナダ・ドルは今年これまでに4%超上昇。米経済政策への懸念を受け、米資産から資金を引き揚げる動きが加速している。
一部のストラテジストは、カナダ・ドルに対する強気な見方に伴い、デリバティブ市場でヘッジファンドがショートスクイーズ(踏み上げ)を余儀なくされる可能性に言及している。
スコシアバンクのチーフ外国為替ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏はカナダ・ドルのさらなる上昇で、弱気派の投資家は「調整やポジション解消を迫られるリスクがある」と、6日の顧客向けリポートで分析した。
原題:Traders Most Bullish Loonie Since 2009 as Carney, Trump Meet (1)(抜粋)
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