「動けばいい」で済ませがちなUI。でもそれ、ユーザーには伝わってないかもしれません。
エンジニアの皆さん、機能開発に集中するあまり、UIが後回しになっていませんか?
コードとして正しく動いていても、ユーザーが使いにくいと感じたら、それは失敗です。どれだけロジックがスマートでも、UIが原因で「なんか使いづらい」と思われてしまうと、全体の評価も下がってしまいます。
この記事では、エンジニアがついやりがちなUIデザインのミスとその回避法を紹介します。共感あり、学びありで、読後すぐに「ちょっとUI直してみようかな」と思える構成を目指しました!
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UIデザインにおける「やりがちミス」って?
実装に夢中で、ユーザーを置いてけぼりにしていませんか?
「とりあえず機能が動くように作ったし、UIは後から整えればいいよね」と思ったこと、ありませんか?
実際、多くのエンジニアはバックエンドやロジックの完成度に意識が向きがちで、UIはどうしても「最後にちょっとCSSを整えるだけ」になってしまいがちです。
でも、ユーザーはコードの中身なんて見てません。見えるのはUIだけ。
「押しても反応ない」「何をすればいいか分からない」そんな体験は、どんな優れた機能も帳消しにしてしまいます。
「デザイン=センスが必要」と思っていませんか?
「自分はセンスないから」「美術は苦手だったし」って、デザインから逃げていませんか?
安心してください。UIデザインに“センス”は必要ありません。
必要なのは、「基本のルールを知っていること」と「ユーザー目線で考える力」だけです。
例えば、
- ボタンは「押せそうな見た目」にする
- 色には意味がある(赤は警告、青は安心感、など)
- 同じ役割のものは同じデザインにする
これらは全部、センスではなく知識と習慣の問題です。
つまり、学べば誰でも「そこそこ整ったUI」を作れるようになるんです。
この記事もその第一歩になるはずです!
1. ボタンっぽく見えないボタン
テキストにほんの少し影をつけただけ。
CSSのcursor: pointer;
もついてるし、クリックできるってわかるでしょ?
…実はそれ、ユーザーには全然伝わっていません。
特に、テキストだけのボタンやアイコンだけのボタンは、“押せる”というサインがないと見逃されがちです。
デザインをミニマルにしたい気持ちは分かりますが、UIにおいて「押せそうに見えること」はとても大事です。
✅ 解決法
「ボタンは押せる見た目に」これが基本です。
- 角丸・影・立体感などのビジュアル表現を使って「押せそう感」を演出
- ホバーやフォーカス時の反応で「インタラクティブです」と知らせる
- 同じプロダクト内でボタンの見た目に一貫性を持たせる
ユーザーは「見た目のルール」を学習しながら操作します。見た目と機能を一致させるのが、気持ちのいいUIの第一歩です。
2. 色だけで状態を伝えてる
「赤だからエラー、緑はOKでしょ!」
色分けで状態を表現するのは一見わかりやすそうですが、色だけに頼るのはNGです。
世界には色覚異常(特に赤緑色弱)の人が相当数います。彼らにとっては、「赤と緑の区別がつかない」ことも珍しくありません。
また、モノクロ印刷・プロジェクタ表示など、色が正確に伝わらない場面もあります。
✅ 解決法
色+αで伝えるようにしましょう。
- アイコン(✔・✖)、ラベル(例:「成功」「エラー」)を併用する
- 色の意味が分からない場面でも情報が失われないように設計する
- アクセシビリティツール(例:WCAGのコントラスト比)を活用して色設計を見直す
UIは全ての人に届いてこそ価値があります。「色だけで伝わる」設計から卒業しましょう。
3. スクロールしないと分からない重要な情報
「この画面、スクロールすると次のステップがあるんだけどなあ…」
そう思っても、ユーザーはスクロールしてくれるとは限りません。
特に「決定ボタン」「次へ進む」など重要なアクションが画面の外にあると、それに気づかずページを離脱してしまうことも。
作っている側は全体を知っているので気づきにくいのですが、初見のユーザーは意外と上から下まで見ません。
✅ 解決法
- 最重要なアクションや情報は、ファーストビュー(画面を開いた瞬間に見える範囲)に配置
- どうしてもスクロールが必要な場合は、矢印やグラデーションなどで誘導
- スマホでは特に、「親指が届く範囲」を意識した配置を
ファーストビューの設計で、UIの使いやすさは大きく変わります。
4. モーダル地獄
1つモーダルが開いて、閉じたと思ったらまた別のモーダルが…
そして「戻る」ボタンも効かない。「今自分がどこにいるか分からない!」
これは典型的なモーダル地獄です。
モーダルは確かに便利です。ですが、何重にも開くと現在位置がわからなくなる上に、「閉じても元の状態に戻るとは限らない」危険があります。
✅ 解決法
- モーダルは1階層まで。それ以上の分岐が必要なら別画面にしましょう
- 複雑な設定やフォームはスライドパネルやウィザード形式で分割
- モーダルを開くときは「元の画面に戻れる」設計に
ユーザーの“位置感覚”を大事にすると、ストレスの少ないUIになります。
5. テキスト多すぎて読む気失せる
「丁寧に説明しよう」と思って、ついつい長文を書きすぎてしまう。
気づいたら、UIがマニュアルみたいになっていませんか?
ユーザーは操作中に“全部読む”ことはほぼありません。
むしろ、長文があると「読むのが面倒」と感じてしまい、操作をやめてしまうことも。
✅ 解決法
- 文章は最小限で端的に。1文で伝わらない情報は別の場所に逃がす
- 詳細が必要なら、ツールチップや「もっと見る」に分ける
- 行間や余白をしっかりとることで、視認性を確保
文章量よりも、“一瞬で理解できること”が大事です。
6. ローディングが無言
保存ボタンを押したのに、何の反応もなし…。
画面が動かないから、「あれ?バグった?」と何度もクリックしてしまう…。
これは、ローディング中なのにそれが伝わっていないパターンです。
ユーザーは今「処理中」なのか、それとも「バグっている」のか判断がつきません。
そのまま離脱されるリスクもあります。
✅ 解決法
- ローディング時にはスピナー・進捗バー・スケルトンスクリーンを表示
- ボタンを一時的に非活性化し、二重クリックを防止
- 処理が長くなる場合は、「あと◯秒で完了」など期待値の明示を
反応があるだけで、ユーザーの安心感は段違いです。
7. エラーが「失敗しました」だけ
エラーメッセージが「送信に失敗しました」だけ…。
何がダメなの?もう一回押せばいい?入力が悪いの?それともサーバー?
これではユーザーはどう行動すればいいか分からなくなってしまいます。
✅ 解決法
- エラーは「何が」「なぜ」「どうすればいいか」の3点を明記
- 入力エラーは入力欄の近くに、リアルタイムで表示
- システムエラーはリトライ可能か/サポート案内も入れる
ユーザーの混乱を減らし、“ちゃんと対処できるUI”が信頼につながります。
8. スマホで崩れる
PCで確認したときは完璧。でもスマホで開いたら…
「あれ?ボタンがはみ出してる」「スクロールできない!」という悲劇。
これは、モバイル表示を想定していないレイアウト設計の典型例です。
近年では、アクセスの大半がスマホからというサービスも少なくありません。
にもかかわらず、レスポンシブデザインを後回しにしていると、致命的な使いにくさになります。
✅ 解決法
- モバイルファーストで設計。まずスマホで使えるUIを考えてから、PCに展開
-
flex
,grid
,media queries
を活用してレイアウトを柔軟に - 実機テストをサボらずに!エミュレータだけじゃ気づけない操作感もあります
見た目が整っていても、使えなければ意味がない。どの画面でも快適に使えるかが勝負です。
9. フォームが使いにくい
フォーム入力中に「ここって何を入れるの?」「エラー出たけど、どこがダメ?」と迷ったことありませんか?
フォームはユーザーがサービスと対話する重要な窓口。
そこでつまずくと、「もういいや」と離脱されてしまいます。
よくある問題は、
- ラベルがどこにあるか分からない
- 入力欄が細すぎて文字が見えない
- エラー表示が遅い or 謎に遠い位置に出る
などなど。
✅ 解決法
- 入力欄には必ずラベルを。プレースホルダだけだと空になったとき不便です
- エラー表示は該当欄のすぐ下に明示的に表示
- 複数ステップがある場合は、現在地や進捗も示す
「何をすればいいか」が直感的に分かるフォームは、そのままUIの信頼感にもつながります。
10. リンクだと思ったらテキストだった
青くて下線がついてるからクリックした…あれ?何も起きない。
逆に、ただの黒文字にカーソルを合わせたらクリックできた…。
こういう視覚と機能が一致していないUI、意外と多いです。
ユーザーは「見た目=機能」で行動します。なので、「リンクらしく見えるけどリンクじゃない」「リンクなのに全然そう見えない」という状態は、ユーザー体験を大きく損ないます。
✅ 解決法
- リンクはリンクらしく。青+下線が基本。できればホバーで色変化も
- ボタンや操作可能な要素には一貫したスタイルを持たせる
- 見た目だけでなく、アクセシビリティ的にもリンク要素であることが重要(
タグを使う など)
UIの一貫性は、ユーザーとの信頼関係でもあります。
11. アニメーションが過剰
最近のUIはどれもアニメーションがかっこいい。でも、
フェードイン3秒 × ページ遷移ごとに入っていたらどうでしょう?
さすがに「早くしてくれ…」ってなります。
アニメーションは派手にすればするほど良いわけではなく、“意味があるときにだけ”使うのが正解です。
✅ 解決法
- アニメーション時間は0.3~0.5秒が目安
- 頻繁に出る要素には、最小限か省略を検討
- 「なぜこの動きが必要か?」を意識して設計する
アニメーションはスパイスです。効かせすぎると苦くなるのでご注意を。
12. ホバーしないと出ない情報
PCでは便利なホバー表示。マウスを乗せると説明が出てきたり、ボタンがアクティブになったり。
でもスマホでは?
タップしない限りホバー効果は見えません。
つまり、スマホユーザーにはその情報が“存在しないのと同じ“になってしまいます。
✅ 解決法
- ホバーに依存せず、タップでも情報が見えるように
- ヘルプアイコンなどを常に表示しておく設計にする
- 特に重要な情報やアクションは、常時見える形で提供
どんなデバイスでも「見える・伝わる」を意識しましょう。
13. ステータス表示がどこか分からない
ファイルアップロードやデータ処理など、何か時間がかかる操作をしたとき…
「…今どうなってる?終わった?エラー?どこで確認できるの?」
こうなってしまうのは、ステータスの視認性が低いからです。
✅ 解決法
- ステータスは操作した場所の近くに表示
- 色、アイコン、文字の組み合わせで一目で分かるように
- 状態ごとにアニメーションや効果音(控えめに)でフィードバックを与えるのも効果的
ユーザーが「いま自分が何を待っているのか」を感じられることは、安心感と信頼につながります。
14. フィードバックが遅い
ボタンを押してもすぐに反応しないと、ユーザーは
「押せてないのかな?」
と不安になり、連打して二重送信なんてことも…。
これは、操作に対する即時フィードバックが欠けている例です。
✅ 解決法
- ボタンを押したら即座に視覚的反応(色変化やローディング状態)を出す
- 非同期処理中はボタンを一時無効化し、重複クリックを防止
- 完了時も「成功しました」「保存完了」など、明示的な終了サインを表示
操作に反応があるだけで、ユーザーの安心感は段違いです。
15. コンポーネントに一貫性がない
画面Aでは角丸の青いボタン、画面Bでは角ばった赤いボタン…。
入力欄のデザインや間隔もページによってまちまち。
これは、UIコンポーネントのスタイルに一貫性がない状態です。
バラバラの見た目は、ユーザーに「毎回使い方を覚え直させる」ことになります。
さらに、メンテナンスする開発者にとっても負担が大きくなります。
✅ 解決法
- デザインルールを明文化する(スタイルガイド)
- ボタン、フォーム、カードなど再利用可能なコンポーネント化を徹底
- チーム内でデザインシステムを導入するのも非常に有効
一貫したUIは、それだけで「なんかちゃんとしてる感」が出ます。プロダクト全体の信頼感がアップします。
「15個も失敗例を見たら、なんだか不安になってきた…」
そんな気持ち、すごくよくわかります。
でも、心配しないでください。
完璧なUIをいきなり作る必要はないし、ちょっとした意識と行動でUIはどんどん良くなります。
ここでは、明日からできる小さな改善アクションを紹介します。
🛠 小さなUI改善のススメ
✅ ホバーしたら反応するようにする
リンクやボタン、ちゃんと反応していますか?
色が変わる、少し浮き上がる…それだけでも「押せそう!」と思ってもらえます。
✅ 入力欄にラベルをつける
プレースホルダだけじゃ足りません。
入力中やエラー時に消えてしまうと、何を入れる欄だったか分からなくなります。
✅ ローディングには何か表示する
スピナー、プログレスバー、テキストでもいい。
「ちゃんと動いてるよ」のサインは、ユーザーのストレスを大きく減らします。
✅ カラーユニバーサルデザインを意識する
赤と緑だけで状態を区別しない。
WCAGのコントラスト比チェックツールを使うだけでもグッと良くなります。
👥 デザイナーと仲良くなろう
「UIってエンジニアの仕事じゃないでしょ?」と壁を作ってしまうと、
せっかくのアイデアや修正も、チームに届かず終わってしまいます。
でも、逆に言えばエンジニアからもUIに関心を持つだけで、プロダクト全体の質が上がるんです。
- 「このボタン、もうちょっと押せそうな感じにできるかな?」
- 「スマホで見るとちょっと操作しづらい気がするんだけど…」
こんな風に、素朴な観察を共有するだけで、デザイナーは喜んで改善提案に乗ってくれます。
「作る人」ではなく「届ける人」として、UIにも一歩踏み込んでみましょう!
UIはただの“見た目”ではなく、ユーザーとのコミュニケーションそのものです。
いくら裏側のロジックが完璧でも、
「押せるかわからない」「反応がない」「今何が起きてるかわからない」
そんなUIでは、ユーザーは迷い、離れていってしまいます。
この記事では、
- よくあるUIの失敗例
- それぞれの背景にある落とし穴
- 今日からできる改善法
を紹介してきました。
もし一つでも「これ、自分もやってたかも」と思ったなら、
次の開発から一つでも取り入れてみてください。
UIの良さは、目立たずとも気持ちよく操作できる“気配り”の積み重ね。
その一歩が、プロダクト全体の完成度を引き上げ、ユーザーの「また使いたい」を生むはずです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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一緒に、もっと使いやすいプロダクトを作っていきましょう!
弊社Nucoでは、他にも様々なお役立ち記事を公開しています。よかったら、Organizationのページも覗いてみてください。
また、Nucoでは一緒に働く仲間も募集しています!興味をお持ちいただける方は、こちらまで。
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