米エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、同社の高性能半導体が中国市場に流出している証拠はないと述べ、取引先に対する信頼を表明した。
フアンCEOは17日、台北でブルームバーグ・ニュースに対し、エヌビディアのハードウエアは大きいため、国境を越えて密輸するのは容易ではないと指摘。同社の顧客は輸出規制を理解しており、自主的に監視していると語った。
ジェンスン・フアン氏
Photographer: David Paul Morris/Bloomberg
同社の最新の主力製品は、最大72個の画像処理半導体(GPU)と36個のプロセッサーを搭載する数百万ドル規模の統合システムとして販売されている。バイデン政権下では、人工知能(AI)関連技術の中国への流出を防ぐため「AI拡散ルール」が導入されたが、トランプ大統領はこれを撤廃することを決定した。
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「AI半導体流出の証拠はない。これらは巨大なシステムだ。『グレース・ブラックウェル』システムは重さが2トン近い。ポケットやリュックサックに入れて持ち出せるようなものではない」とフアン氏(62)は指摘。
「重要なのは、われわれの販売先の国々や企業が、横流しは許されないことを理解しており、エヌビディアの技術を今後も購入し続けたいと考えていることだ。そのため彼ら自身が非常に慎重に監視している」と語った。

米エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、同社の高性能半導体が中国市場に流出している証拠はないと述べ、取引先に対する信頼を表明した
Source: Bloomberg
バイデン政権時代の規制の撤廃によってアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアがエヌビディアの最先端技術をさらに導入し、AI分野の能力を高めることが可能になると見られている。
中東の顧客を優先する必要があるのかとの質問に対し、 「適切な予測により、われわれは全顧客に必要な技術を提供できるだろう」とフアン氏は答えた。
シンガポール当局は、マレーシアに輸出されたサーバーに、中国への輸出が禁止されているエヌビディア製半導体が搭載されていたかどうかを調べている。
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フアン氏は貿易制限に対する反対の立場をあらためて表明。「米国の技術を世界中で制限するのは、まさに誤った方針だ」と述べ、トランプ氏の新方針を歓迎。「米国の技術を世界中で最大限に活用すべきだ」と語った。
原題:Nvidia CEO Sees No Evidence of AI Chip Diversion Into China (1)(抜粋)
🧠 編集部の感想:
エヌビディアのフアンCEOが中国への半導体流出の証拠がないと強調したことは、同社の信頼性を示す重要な発言です。高性能な半導体は物理的に持ち出すことが困難で、輸出先の企業が十分に管理を行っているとのことも安心材料です。しかし、今後の規制や国際的な貿易環境の変化には注視が必要です。
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