木曜日, 5月 22, 2025
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インドは、アップルの脱中国依存を支援できるか―独メディア


独ドイチェ・ベレの中国語版サイトは18日、インドは米アップルの脱中国依存を支援できるかとする記事を掲載した。

記事はまず「製品の生産を中国の工場に大きく依存してきたこのテクノロジー大手は現在、インドでの生産を大幅に増強する計画を立てている」とし、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が5月初め、「米国で販売されるiPhoneの大部分はインドが原産国となり、米国で販売されるiPad、Mac、Apple Watch、AirPodsのほぼすべてをベトナムが生産することになる」と語ったことに触れ、「この決定は、トランプ米大統領による関税政策がこのテクノロジー大手のサプライチェーンや売上高、利益率に与える影響を軽減することを目的としている」と伝えた。

その上で、インド国立財政政策研究所の上級エコノミスト、レカ・チャクラボルティ氏が「アップルがiPhoneの生産の一部をインドに移転することは、大きなチャンスだけでなく、いくつかの潜在的な試練ももたらす。中国に対するコスト競争力、労働市場の硬直性、サプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性など、潜在的な課題が詳細な分析により明らかになった」とし、「部品のコストが高く、工場の効率が比較的悪いため、インドでiPhoneを生産するとコストが5~10%が高くなる」と強調した上で、「さらに、この投資の財政的影響については、特に税収、インフラ投資、補助金の可能性などについて慎重に検討する必要がある。リスクを軽減し、利益を最大化するため、調整された政策アプローチが不可欠となるだろう」と付け加えたことを紹介した。

記事は、現時点ではiPhoneの約20%がインドで生産されていると推計されること、米ブルームバーグによると、アップルは2025年3月までの1年間で220億ドル(約3兆1900億円)相当のiPhoneをインドで生産し、これはその前の1年間と比べて60%増であること、同社は26年までにインドで年間6000万台超のiPhoneを生産する計画で、現在の生産量を倍増させインドの電子機器製造部門を大幅に強化すること、インドでは、iPhoneの組み立ては主にフォックスコン、ペガトロン、そしてタタ・グループの傘下企業(旧ウィストロン)によって行われていて、うちフォックスコンが3社の中で規模が最も大きくインドにおけるiPhone生産の大部分を担っていることを紹介した。

また、インド政府がこのほど、国内の電子機器製造エコシステムの強化を目的とした新たな政策を発表したことにも触れ、「この生産拠点の移転は、従来製品の生産を中国の工場に大きく依存してきたアップルにとって大きな変化を意味する」と伝えた。

記事は「しかし、トランプ大統領の対米輸入品に対する高額な関税、特に中国との報復関税の応酬により、アップルは困難な立場に立たされ、戦略の見直しを迫られた」とし、トランプ氏がその後、スマートフォンや半導体を含むハイテク製品への関税の一時停止を認め、米国と中国が先ごろ、関税紛争を90日間一時停止することで合意したことに触れた。

さらに、コンサルティング会社LegalWiz.inの創設者シュリジェイ・シェス氏の話として、「インドがアップルにとって真に独立した生産拠点へと移行するには、インフラ、技能、テクノロジーに多額の投資をする必要がありる。インドにとってはビジネス面で大きな勝利であり、ビジネスに優しい立地を求める企業にとって好ましい立地先としての地位を高めることになるが、すでに不安定なインドと中国の関係にさらに一層の複雑さを加えることになる」と伝えた。また同氏が、生産の大部分を中国からインドに移転することは、技術と専門知識の移転の面で障害に直面する可能性が高いとし、現在の地政学的状況、特に中国が製造業の雇用の大きな源泉を失う状況下で、中国の専門知識や技能移転、生産機械が必要な速さでで移転されると期待するのは甘い考えで、経済状況、熟練労働力、そしてサプライチェーンの再構築方法を考慮すると、どのような結果になるかは大きな問題だとの認識を示したことを紹介した。

記事はまた、半導体と組み込みシステムを専門とするIndieSemicの共同設立者兼CEO、ニクル・シャー氏が「インドは将来的にiPhoneの需要をすべて満たす能力があると考えているが、エコシステムを強化する必要がある」との認識を示し、「iPhone生産の増加はインドに世界の電子機器製造ネットワークにおける役割を拡大する機会を与えることになるが、その成功は、歴史的に製造業の競争力を制限してきた根強いインフラと政策上の制約に対処できるかどうかにかかっている。これは『メイク・イン・インディア』構想に合致し、インドを世界的な電子機器製造拠点に変貌させる可能性を秘めているが、同時に、単一の多国籍企業への過度の依存や潜在的な地政学的圧力といったリスクももたらす」と述べたことも紹介した。(翻訳・編集/柳川)



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編集部の感想:
インドがアップルの生産拠点としての役割を拡大することは、製造業の発展にとって大きなチャンスである一方、コストやインフラの不安定さといった課題も抱えていることが指摘されています。特に、技術と専門知識の移転が円滑に進むかどうかが成功のカギになるでしょう。地政学的なリスクも考慮する必要があり、戦略的なアプローチが求められます。

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