
他人の顔を無断で使用するディープフェイクポルノの問題は、高精度な画像合成AIの登場によって有名人だけでなく一般人を標的にしたディープフェイクの作成を請け負うビジネスも存在するほど世界的に深刻化しています。ディープフェイクポルノ産業で特に悪名高いサイトとして知られる、月間アクセス数は数百万に上る「Mr.Deepfakes」が、永久閉鎖し再開しないことを2025年5月に発表しました。
Mr. Deepfakes, the Biggest Deepfake Porn Site on the Internet, Says It’s Shutting Down for Good
https://www.404media.co/mr-deepfakes-the-biggest-deepfake-porn-site-on-the-internet-says-its-shutting-down-for-good/
World’s largest non-consensual deepfake site shut down, but the scars remain
https://techissuestoday.com/mr-deepfakes-website-shutdown/
Mr.Deepfakesは世界で広がるディープフェイクポルノの中心にあるサイトとして注目されていました。ドイツの公共放送局であるARDとZDFが共同で資金を提供しているプロジェクト「STRG_F」と、オランダの調査報道機関・Bellingcatが共同で実施したディープフェイクポルノに関する調査によると、Mr.Deepfakesは2018年2月から2024年12月までに5万8123本の動画がアップロードされ、累計で20億回以上閲覧されていたとのこと。
65万人の登録ユーザーを抱えるディープフェイクポルノ共有サイト「MrDeepFakes」の背後には何者がいるのか? – GIGAZINE
Mr.Deepfakesはディープフェイクポルノ動画をユーザーがアップロードし、視聴者が動画を購入できるほか、リクエストを送ってディープフェイクポルノを制作するコミュニティも形成されていました。また、フォーラムではディープフェイクポルノを作成するための新しい技術を開発したり、役立つアプリやツールへのリンクが共有されたりすることで、ディープフェイクポルノを制作する人のための重要なリソースともなっていました。
そんなMr. Deepfakesは2025年5月4日から、サイトにアクセスするとディープフェイクポルノの動画一覧の代わりに、以下の画像のようなメッセージが表示されるようになっています。メッセージには、「重要なサービスプロバイダーがサービスを永久に停止しました。データ損失により、運用を継続できなくなりました。再開する予定はありません。この件(Mr. Deepfakesの再開)を主張するウェブサイトはすべてウソです。このドメインはいずれ期限切れとなり、今後の使用については責任を負いません。このメッセージは約1週間後に削除されます」と記載されています。
Mr.Deepfakesがどのプロバイダーから停止されたのか、なぜデータが失われたのかは、記事作成時点では不明です。
カリフォルニア大学バークレー校の教授で、デジタル加工画像の世界的権威であるハニー・ファリド氏は404mediaの取材に対し「Mr.Deepfakesの永久閉鎖は、ディープフェイクポルノの被害者にとって重要な勝利ですが、あまりにも少ない勝利で、あまりにも長い道のりでした。Mr.Deepfakesのようなサイトから利益を上げ、それを支援しているテクノロジー、金融、広告サービスは、ディープフェイクポルノの作成と流通における自らの役割について、より一層の責任を負わなければなりません。今回の削除は良いスタートですが、同じような事例は他にもたくさんあります。ここで立ち止まってはいけません」と語っています。
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