🧠 あらすじと概要：
あらすじ
『ボサノヴァ～撃たれたピアニスト』は、1964年に唯一のリーダーアルバムを残して失踪した天才ピアニスト、テノーリオ・ジュニオルを描く作品です。監督のフェルナンド・トルエバは、アニメーションを通じて彼の生きざまとラテンアメリカの光と影を表現しています。物語は、ジャーナリストがランダムに旅をしながら明らかにするラテンアメリカの歴史と抑圧をテーマにしています。実在のミュージシャンたちも登場し、ボサノヴァの美しさとその裏に潜む暗い歴史を浮き彫りにします。
記事の要約
映画『ボサノヴァ～撃たれたピアニスト』のアニメーション化には、CIAの陰謀やラテンアメリカの政治的背景が大きな影響を与えています。トルエバ監督は、フランソワ・トリュフォーの影響を受け、アニメーションがアーティストの実像に最適だと考えました。ボサノヴァの陽気さの裏にある歴史的な弾圧と自由の抑圧が描かれ、愛にまつわるドラマも展開されます。また、実際のミュージシャンたちの貴重なインタビューも作品の見どころとなっています。この映画は、ボサノヴァの魅力と、その背後にある複雑な社会的問題を同時に探求しています。
『ボサノヴァ～撃たれたピアニスト』（2023年/スペイン、仏、蘭、ポルトガル/カラー/シネスコ/1h43/DCP）監督:フェルナンド・トルエバ、ハビエル・マリスカル 声の出演:ジェフ・ゴールドブラ
稀代のジャズ通でグラミー賞受賞歴もある映像の魔術師と現代スペインアートを代表する巨匠が映画の舞台をリオデジャネイロに移し、再びタッグを組んだ『They Shot the Piano Player（原題）』が2023年のトロント国際映画祭でお披露目された。トルエバ監督が敬愛するフランソワ・トリュフォー監督の『ピアニストを撃て！』(60)からタイトルのインスパイアを受けた本作は、「生身のアーティストとしてのテノーリオ・ジュニオルを描くにはアニメーションこそが最適だった」とトルエバ監督が語る通り、1964年に唯一のリーダーアルバム『Embalo(原題)』を残して失踪した天才ピアニストを巡る、スリリングで重厚な、ラテンアメリカ光と影の旅に観るものを誘っていく。トルエバ監督の盟友であり、ハリウッドの名優ジェフ・ゴールドブラムを語り部のジャーナリスト役に、ヴィニシウス・ヂ・モライス、アントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルトら、テノーリオと同時代を生きたブラジル音楽の伝説がビッグスクリーンに蘇る。
ジャーナリストの旅を通して次第に明らかにされるラテンアメリカの不都合な真実。奇しくも2025年は日本とブラジルの修好130周年の節目の年を迎えるが、世界で最もボサノヴァ愛好家が多いと言われる、この国で、邦題『ボサノヴァ～撃たれたピアニスト』として、待望の劇場公開となる。
アニメにした意味は、CIAの陰謀があったからヤバそうなので主演する役者がいなかったとか。実在するミュージシャンは出てくるのでそうでもないのか？ドキュメンタリーでも面白かったと思うが、あえてアニメにしたのは、やはりトリュフォーの『ピアニストを撃て！』に影響されたからだろうか。
アニメも今は質が良くなっているから。ボサノバのピアニストが暗殺されるなんて意外な出来事なのだが、当時のラテンアメリカでは、革命の世界があってそれを阻止しようとするアメリカの赤狩りというようなものがあり、CIAが右翼政権を指導して独裁化が進んだという話はチリのアジェンデ政権のドキュメンタリー（パトリシオ・グスマン監督の『チリの闘い』）で描かれていた。
そういう独裁政権による自由に対する弾圧によって、無実の罪の人が拷問を受けて殺されるのは日常茶飯事だったようだ。「ボサノヴァ」のイメージからはほど遠いのだが。アルゼンチンというのが、またナチスの残党が潜んでいて、『オオカミの家』でも描かれていた（これもチリだった）。
ボサノヴァの明るさの裏に潜む暗い影、それはトリュフォー監督がアメリカ禁酒法時代のジャズを描いたのと共通するのか、試みとしてはアニメの明るい世界の向こうに暗澹たる世界があり興味深かかった。それに愛を巡るドラマでもあったようだ。
実際にミュージシャンが数多く出演するのだが、そこは実際のインタビューだったのだろうか？アントニオ・カルロス・ジョビンとか貴重なインタビューだよな。
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