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概要
アジア最大のPR会社であるベクトルの2025年3月期の業績が発表され、増益が見込まれている。費用構造の改善や株売却益が寄与し、営業利益や経常利益は二桁増加した。PR TIMESなどの関連事業も好調だが、純利益は前年の一過性利益の消失により減少した。今後はデジタル領域の深化とグローバル展開が焦点となる。
要約の箇条書き
- 2025年3月期の業績は以下の通り:
- 売上高:592億5,400万円(前年比+0.1%)
- 営業利益:80億2,900万円(+15.7%)
- 経常利益:76億5,500万円(+11.4%)
- 当期純利益:41億9,500万円(▲10.5%)
- 費用構造の改善で営業利益と経常利益が増加。
- PR・広告事業は売上高324億9,300万円(▲6.1%)も、営業利益は36億3,600万円(+39.2%)で増益。
- PR TIMES事業は売上高80億300万円(+17.1%)で過去最高。
- ダイレクトマーケティング事業は売上高135億2,000万円(+5.3%)も、営業利益は減少。
- HR事業は29億7,700万円(+6.8%)で黒字継続。
- 投資事業は売上高25億4,000万円(+3.3%)で過去最高益を更新。
- 2026年3月期以降はデジタル化の深化やグローバル展開が重要な課題。
2025年3月期の日本経済は、インバウンド回復や雇用・所得環境の改善で緩やかな回復を見せた一方、海外経済の不透明感や地政学リスクは継続した。その中で、戦略PRやデジタルを軸に特定業界に依存しない収益構造を築いており、景況感悪化の影響は限定的とされる。
連結業績は以下の通りです。
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売上高:592億5,400万円(前年比+0.1%)
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営業利益:80億2,900万円(+15.7%)
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経常利益:76億5,500万円(+11.4%)
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親会社株主に帰属する当期純利益:41億9,500万円(▲10.5%)
収益性は改善したものの、純利益は前年の一過性利益の剥落等により減益となりました。
【セグメント別動向】
◆ PR・広告事業(売上構成比:約55%)
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売上高:324億9,300万円(▲6.1%)
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営業利益:36億3,600万円(+39.2%)
デジタル化の進展やM&Aによる体制強化が進む一方、子会社譲渡や自社完結型SNS施策の増加により減収。ただし費用構造改善で大幅増益。
◆ プレスリリース配信事業(PR TIMES)
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売上高:80億300万円(+17.1%)
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営業利益:18億7,700万円(+7.5%)
「PR TIMES」が過去最高売上を達成。企業利用が10万8,000社を突破。地方企業への浸透や広告投資が奏功。
◆ ダイレクトマーケティング事業
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売上高:135億2,000万円(+5.3%)
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営業利益:7億4,700万円(▲35.4%)
健康食品の風評被害を背景に販促投資を一時抑制し前半は減益。しかし後半に投資再開し、通期では過去最高売上を達成。
◆ HR事業
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売上高:29億7,700万円(+6.8%)
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営業利益:7,400万円(▲23.3%)
主力の「あしたのチーム」は黒字継続。採用動画サービス「JOBTV」は赤字幅を縮小。FINDAWAYの子会社化で拡大を図る。
◆ 投資事業
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売上高:25億4,000万円(+3.3%)
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営業利益:16億9,400万円(+27.8%)
評価損はあったものの、保有株式の売却益が寄与し過去最高益を更新。出資先2社(ハッチ・ワーク、ROXX)がグロース市場に上場。
【総括】
2025年3月期は、ほぼ横ばいの売上に対し、費用改善と利益率の向上により営業・経常利益が2桁増益となる良好な決算となった。広告市場ではデジタルシフトが加速し、当社の「FAST COMPANY」戦略やM&Aの成果が利益面で顕在化した。PR TIMESや投資事業が好調だった一方、DMやHRは成長余地と課題を残している。2026年3月期以降は、デジタル領域のさらなる深耕やグローバル展開が重要な焦点となる見込み。
ネットキャッシュ(13986百万円)、ネットキャッシュ比率(0.325)。
引用
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