
映画界に新風を吹き込み、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』や『ムーンライト』といった数々の傑作で観客を魅了してきた米インディーズ映画配給会社「A24」。
ある日、彼らの公式Instagramに投稿された1つの動画が、映画ファンと音楽ファンの間で波紋を広げた。
そこに添えられていたのは「A24 Music. Stay tuned.」という短いメッセージ。写っていたのはヴィンテージのレコードをかたどったアートだった。
レーベル立ち上げの憶測広がるも……
その真意は「新たなソーシャルチャンネル」
後日発表されたところによると、先の投稿の真意はレーベルの立ち上げというより「音楽部門の新たなソーシャルチャンネル」をローンチするというものらしい。
では、この「A24 Music」というソーシャルチャンネルは、具体的にどのような役割を担っていくのだろうか。考えられるのは、限定コンテンツの配信、映画音楽制作の舞台裏の公開、あるいはA24がキュレーションするプレイリストの提供など多岐にわたるだろう。
ブランディングにおいて、A24はミニマルでありながら強い印象を残すアートワークや、ファンとの独特な距離感を保つコミュニケーション戦略で知られる。この「A24 Music」も、そうした彼らならではの美学が貫かれた、洗練された情報発信の場となることが期待される。
この新しい音楽部門では、音楽そのものを起点とした映像作品の制作も視野に入っている。たとえば、Charli XCXが主演する『The Moment』では、音楽がドラマの展開と強くリンクするというし、John MalkovichやNile Rodgers、The-Dreamらが出演する『OPUS: The Moretti EP』といった実験的な試みも進行中だ。
映画スタジオが自ら音楽をプロデュースし、独自に発信する動きは、従来の業界構造に風穴を開ける可能性を秘めている。
A24は、その映像美とストーリーテリングで評価を受けてきただけでなく、海外では“新世代のカルチャー・ブランド”として位置づけられている。そんな彼らが音楽という領域でどのような表現を生み出すのか、多くのファンが注目している。
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