金曜日, 5月 23, 2025
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“やりたい”がわからない私と“人が来ない”現場の半日邂逅たなか つばさ@仕事旅行社

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概要

この記事は、仕事旅行社の田中翼が、やりたいことが見つからずに悩む若者と人手不足に悩む建設現場の出会いを描いた物語です。半日の体験を通じて、参加者間で新たな可能性が見いだされる様子が描かれています。実際のデータ管理や現場改善に向けた具体的な提案が交わされ、双方にとって有意義な体験となります。

要約

  • プロローグ: 完全リモートの事務職に息苦しさを感じている春菜みちるが、半日体験に応募。
  • 熊谷の役割: 人手不足に悩む現場責任者・熊谷が春菜を迎え入れる。
  • 共通の焦り: いずれも現状に不満を持ち、変化を求めている。
  • 現場での学び: コンクリートの危険予知や測定の重要性を体感。
  • 具体的な改善: スマホアプリを利用し、業務の効率化を提案。残業時間を大幅に削減。
  • エピソード: 昼食中にSNSに投稿し、体験の成果が注目される。
  • 新たな役割の提供: 熊谷が春菜にデータ管理の仕事を依頼し、双方の関係が深まる。
  • エピローグ: 春菜は学びを続ける意欲を持ち、熊谷は新しい出会いの重要性を感じる。
  • 結論: 半日で得られた経験が、両者に新たな可能性をもたらすことを示している。

“やりたい”がわからない私と“人が来ない”現場の半日邂逅たなか つばさ@仕事旅行社

たなか つばさ@仕事旅行社

2025年5月23日 12:12

こんにちは。仕事旅行社の田中翼です。
私は今、「仕事探訪」という1日仕事体験のサービスを運営しています。今回は、やりたいことがつかめずモヤモヤしている人と、人手不足に悩む現場が出会った半日の物語をお届けします。

※本記事はフィクションです。実在の人物・団体・出来事とは関係ありません。こんにちは。仕事旅行社の田中翼です。

プロローグ

曇り空の朝8時前、首都圏郊外の土建屋「丸吉工業」前に降り立ったのは春菜みちる(29)。完全リモートの事務職を続ける彼女は、1日400歩ほどしか動かない生活に息苦しさを感じ、「まずは半日だけ現場を味見してみよう」とSNSで見つけた“半日体験+謝礼1万円”に軽い気持ちで応募しました。

迎えに出たのは現場代理人の熊谷圭一(47)。従業員40名を抱え、ここ1年で求人広告を3度出したものの応募ゼロ。「広告では伝わらない熱量がある。直接現場を見せて、気になる人と話すしかない」と考え、仕事探訪へのホスト登録を決めたのでした。

二人の動機は異なりますが、共通していたのは「このままでは変わらない」という焦り。あと4~5時間、一緒に汗をかくだけで、何かが動き始めます。

冷えたコンクリートと危険予知

安全靴の底が冷えたコンクリートを踏むと、小さく金属音が響きます。熊谷は声を張り上げ、KY(危険予知)シートの1ページ目を読み上げました。ショベルの死角、フォークリフトの通路。春菜は「会社の朝会みたい」と思いつつ、必死で頷きます。説明するうちに、自分たちの知らなかったリスクが熊谷自身の胸にも再び刻まれました。

「1センチ=20万円」の衝撃

9時過ぎ、春菜は蛍光ピンクの水糸を両手でピンと張り、レーザーレベルが照らす緑の水平ラインと重ね合わせます。わずかにたるんだ糸を見つけ、「もし1センチ高かったら何が起こるんですか?」と恐る恐る尋ねました。

「雨水が溜まって舗装を剥がし、敷き直し。材料と人件費でざっくり20万円だ」と熊谷。Excelの1mmとは比較にならない重みが、春菜の頬を染めました。

コーヒー休憩で残業が消える

10時20分、缶コーヒーを片手に熊谷は紙の日報に写真番号をメモしていました。毎晩45分かけてExcelに転記する作業です。春菜はスマホの無料アプリを取り出し、撮った写真に「場所・勾配・時刻」をリアルタイムで書き込み、PDFにまとめて見せます。

「これなら夜の転記、15分で済むかもしれない」と熊谷。月あたり約10時間の残業削減が数字として見え、二人の会話は現場改善の具体へと一気に跳びました。

塩むすびと石の匂い

正午、二人はブルーシートに腰を下ろし、塩むすびと味噌汁を口に運びます。粉塵と湯気が混ざる独特の匂いに春菜は思わず笑い、「これが現場の空気なんですね」とつぶやきました。その一瞬をスマホで撮影し、SNSに投稿すると、いいねは昼休みの終わりに4件、夕方には17件に増加。「半日体験ってどう申し込めるの?」というコメントまで届き、熊谷は「17件でも広告ゼロ円なら十分」と胸を撫で下ろします。

5ミリの勘をデータへ

午後1時40分、ミニバックホウで砕石を補充した熊谷がレーザーレベルを覗き込み、眉をひそめました。「あと5ミリ足りない」。春菜はその一言を聞き逃さず、「Excelで履歴を管理できれば、長期的なズレがわかりやすくなりますよ」と提案。即座に若手と一緒に簡易フォーマットを作成し、熊谷は「面白い。正式に頼む」と笑顔でうなずきました。

小さな握手

午後2時30分、工具を片づけ終えた静かな現場で、熊谷は名刺を差し出しました。「月8時間でいい。日報テンプレと盛土履歴のExcel、正式に作ってくれないか?」春菜は一瞬戸惑いながらも目を輝かせ、「私で大丈夫でしょうか」と応じます。「現場のことは俺たちが教える。お前の“外の頭”が欲しいんだ」と熊谷。泥と数字が交わる、その静かな握手が新たな未来の始まりでした。

エピローグ

夜、それぞれがひとりごとをつぶやきます。

  • 春菜
    「あの1センチの重みが、明日からのデータ作りにも影響しそう。次も学びに行こう。」

  • 熊谷
    「1万円で広告以上の出会いが得られた。これ、続けるしかないな。」

たった半日で、“やりたいことのモヤモヤ”と“採用難の切実”が静かに溶け合い、次の可能性の芽が生まれました。
これが、仕事探訪の本当の価値です。

たなか つばさ@仕事旅行社

「仕事旅行社」代表取締役視野を広げる手段として社会人に職業体験を提供しています。ふつうの人が楽しく、自由に、ワクワクしながら働ける方法を提案します。著書「はたらくコンパスを手に入れる(晶文社)」キャリア、働き方の講義など承ります。



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