にじさんじ所属のVTuber・天宮こころさんが4月22日、自身の配信で「ポケットモンスター」シリーズのニンテンドーDS用ソフトをゲーム実況する「目処が消えてしまった」と伝えた。
天宮こころさんは「運営的に、やめときましょうか皆さん、みたいな感じなったので」と説明。運営するANYCOLOR株式会社から自粛の要請があったようだ。
映像出力のために、ゲーム機本体を改造することがあるニンテンドーDSおよびニンテンドー3DS用ソフトでのゲーム実況配信については、ホロライブ所属のVTuber・兎田ぺこらさんの改造ROM使用疑惑から派生する形で、問題視する声が上がっていた。
発端となった兎田ぺこら『ポケモン』改造ROM使用疑惑
騒動の発端は3月末、兎田ぺこらさんが配信企画で使用した、中古品の『ポケットモンスター エメラルド』のソフトに対して、改造ROM疑惑が浮上。
任天堂の配信ガイドラインに抵触する可能性があることから、インターネット掲示板やSNS上で物議を醸すと、兎田ぺこらさんは4月4日、改造ROMの可能性が拭いきれないとして、中古カセットの使用を止めると配信内で説明した。
その後、4月9日にホロライブを運営するカバー株式会社が、ゲームソフトの販売元である任天堂と協議を行った旨を発表。
任天堂から「ガイドライン違反のリスクがある動画企画の実施を避けること」「所属タレントに対して、改めてガイドライン遵守の必要性を周知すること」などの要請を受けたことを明らかにした。
改造キット「偽トロ」が使われてきたニンテンドーDSのゲーム実況
一連の騒動と併せて槍玉に挙げられたのが、ニンテンドーDSおよびニンテンドー3DS用ソフトでのゲーム実況配信の是非についてである。
ニンテンドーDSおよびニンテンドー3DSは、実況配信に欠かせない映像出力機能をゲーム機本体に有していない。そのため、ゲーム画面をPCなどに取り込む機器である通称「偽トロキャプチャ」を取りつける改造が施されることが多かった。
しかし、2018年11月に改正不正競争防止法が施工され、技術的制限手段無効化の保護対象に映像やプログラムに加え、新たに「データ(電磁的記録に記録された情報)」が追加。
この改正により、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会は、ゲーム機器の改造代行が違法(※)になったと見解を示している(外部リンク)。
そういった背景もあり、改造ゲーム機を使用したニンテンドーDSおよびニンテンドー3DSのゲーム実況配信は、長らくグレーゾーンとされてきた。
なお、コンピュータソフトウェア著作権協会が「ゲーム機器の改造代行は違法」との見解を示しているが、根拠となる改正不正競争防止法の原文を見ると解釈に幅があり、「偽トロキャプチャ」の販売も含めて、一概に違法と断言することはできない(外部リンク)。
ただ、「偽トロキャプチャ」の販売を行っていた株式会社ケイティは、改正法の施行後となる2019年に破産している。
にじさんじ、過去配信のアーカイブは非公開にしない
天宮こころさんは4月22日の配信で、過去に行われた「ポケットモンスター」シリーズのニンテンドーDS用ソフトの実況配信のアーカイブについては、非公開にするなどの対応はしなくていいと言われたという。
ファンに対しては「(ニンテンドーDSおよびニンテンドー3DSのソフトの)Switchへの移植を待てたらいいなと思います」と伝えている。