なぜライティングに「心理学」が不可欠なのか？⑧きょう

前回の記事では、あなたのメッセージが読者の記憶に残り、行動へと繋がるための「作話」という心理の活用法を解説しましたね。人間が自分の中で「物語」を作り出すメカニズムを理解することが重要でした。

今回は、これまでの連載で学んだ心理学の知識を、実際の文章構成にどう落とし込むか、その実践的なフレームワークに迫ります。

特に、一般的な文章術で使われる2W1H（Who, What, When, Where, Why, How）に心理学の視点を加えることで、あなたのライティングを次のレベルへと引き上げる秘密をお伝えします。

なぜ、あなたの「説明」は「普通」に終わってしまうのでしょうか？

あなたは、せっかく時間をかけて書いた文章が、読者に「ふーん、そうなんだ」と、ただ情報として受け止められて終わってしまう経験はありませんか？

例えば、ダイエットサプリについて伝えるとして、こんな説明になっているかもしれません。

【2W1Hの例】

• What（何を）： これは、手軽にできるダイエットサプリです。

• How（どうやって）： ダイエットしたいときに、1日1回水で飲むだけで使います。

• Why（なぜ）： 忙しい方でも続けやすいように、手軽さを重視しました。

このような説明は、情報としては正しいですよね。でも、読者の心に「欲しい！」という強い感情や、「今すぐ試したい！」という行動には繋がりづらいのではないでしょうか？

なぜなら、これは単なる「情報の羅列」に過ぎず、読者の心の奥にある欲求や不安に、まだ触れられていないからです。

読者は、単なる情報だけでなく、「それが自分にとってどういう意味を持つのか」「それを使うとどうなれるのか」を知りたいと思っています。

この視点が抜けていると、あなたのメッセージは、他の無数の情報の中に埋もれてしまうんですね。

心理学で強化する！「伝わる」2W1Hの文章構成術

では、どうすれば一般的な2W1Hに心理学の視点を組み込み、読者の心を動かす文章に変えられるのでしょうか？ ここでは、先のダイエットサプリの例を使って具体的に解説します。

• What（何を伝えるか）： （読者の共感を呼び、行動を促す「価値」を心理学で表現）

  • 改善前: 「手軽にできるダイエットサプリ」

  • 改善後: 「たった1粒で、あなたの理想の体型へと導く最新ダイエットサプリです。（読者の願望に焦点を当て、作話のきっかけを作る）」

  • 単なる製品名ではなく、読者が得られる「未来の姿」や「解決」を提示することで、注目バイアスを刺激し、自分ごととして捉えてもらいやすくなります。

• Why（なぜそれを伝えるのか）： （読者が納得し、信頼する「理由」を心理学で深掘り）

  • 改善前: 「忙しい方でも続けやすいように、手軽さを重視しました」

  • 改善後: 「多くの専門家が注目する新成分〇〇を配合し、これまでダイエットに失敗してきたあなたの悩みに寄り添うため、手軽さと確かな効果を両立させました。（権威性と共感で信頼を築く）」

  • 権威（専門家）を示すことでハロー効果を発動させ、読者の過去の経験（失敗）に共感することで確証バイアスを刺激し、「これは私のためのものだ」と感じさせます。

• How（どうやって伝えるのか）： （読者の行動をスムーズにする「方法」を心理学で設計）

  • 改善前: 「ダイエットしたいときに、1日1回水で飲むだけです」

  • 改善後: 「使い方は驚くほどシンプルです。朝食後に水と一緒に1粒飲むだけで、ジム通いや厳しい食事制限の煩わしさから解放されます。（手軽さと損失回避を暗示）」

  • 「驚くほどシンプル」という言葉で行動へのハードルを下げ、現在バイアスにある「面倒なことは避けたい」という心理に配慮します。また、「煩わしさからの解放」は、読者が避けたがっている「損失」（時間や労力）を暗示し、損失回避の心理を刺激します。

このように、一般的な2W1Hの項目それぞれに、読者の心理を考慮した言葉や情報、表現を織り交ぜることで、あなたの文章は単なる説明から、「読者の心に響き、行動を促すメッセージ」へと進化するのです。

まとめ

今回は、基本的な文章構成である2W1Hに、心理学の視点を組み込むことで、いかに読者の心を動かし、行動へと繋がる文章が書けるようになるかを解説しました。

ライティングには、様々なテクニックやフレームワークがありますが、その根底に読者の心理を理解する「科学的なアプローチ」があるからこそ、あなたの言葉は単なる情報から、読者の心を動かす「生きたメッセージ」へと変わるんですね。

まずは、あなたの文章でそれぞれの項目に、どのような心理学が使えるか考えてみましょう！