火曜日, 5月 6, 2025
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なぜストーカー通報に対して警察は怠慢なのか?――最新研究から読み解く海外の状況


ストーカー被害への社会的関心が高まる中、被害者が訴える「警察など公的機関の怠慢」が大きな問題となっています。

近年も、神奈川県川崎市でストーカー被害を訴えていた20歳女性の失踪事件をきっかけに、警察署前で家族や市民が「警察の怠慢が殺人を招いた」と抗議する事態が起こりました。

1999年の桶川ストーカー殺人事件でも警察の対応ミスが指摘され、ストーカー規制法が制定されて以降も、同様の悲劇が繰り返されています。

なぜ被害者は公的機関の対応に不信感を抱き、どのような構造的問題がその背景にあるのでしょうか?

目次

  • 1:通報のハードル、被害申告を阻む心理的壁
  • 2:ストーカー通報に対する警察対応の実態
  • 3:なぜストーカー対応で怠慢が起こるのか?
  • 4:警察に門前払いされたと感じた場合どうするか?

1:通報のハードル、被害申告を阻む心理的壁

1:通報のハードル、被害申告を阻む心理的壁
1:通報のハードル、被害申告を阻む心理的壁 / Credit:Canva

ストーカー被害者が警察に助けを求めるまでには高いハードルがあります。

多くの被害者は「警察に言っても真剣に取り合ってもらえないのでは」と不安を感じ、通報をためらいます。

英国の調査によれば、被害者が警察への通報を躊躇する主な理由は、「報告しても状況が悪化するかもしれない」「警察が何をしてくれるかわからない」、そして「自分の訴えを深刻に受け止めてもらえないのではないか」といった不安でした。

こうした不安から、深刻な被害に発展するまで誰にも相談できずに抱え込んでしまうケースも少なくありません。

実際、ストーカー被害全体から見ると警察への通報率は非常に低い現状があります。

米国司法統計局の調査では、2019年にストーカー被害に遭った人のうち警察に被害を届け出たのはわずか29%に過ぎませんでした。

被害者が届け出をしなかった理由として最も多く挙げたのは「その被害は警察に報告するほど重要ではないと感じた」ことで、全体の約40%を占めました。

さらに「警察に言っても何もできないと思った」と考える人も3割以上おり、この割合は過去数年間で増加傾向にあります。

日本でも傾向は類似しており、ある調査研究ではストーカー被害に遭った人のうち警察や行政など公的機関に相談した人はわずか10.5%でした。

特に恐怖を感じる被害を受けた女性でも、相談率は15%程度に留まっています。

被害者が通報を思い留まる背景には、心理的・社会的な障壁が存在します。

日本の調査では、警察に相談しない理由として「警察に相談しても解決しないから(48.9%)」「相談すると後が面倒そうだから(48.5%)」「プライベートな問題で相談しにくいから(45.4%)」といった回答が多く、「警察も丁寧に対応してくれないと思うから」という不信感も40.8%に上りました。

さらに、加害者からの報復への恐れや、「恋人同士の揉め事を他人に話すのは恥ずかしい」という感情、あるいは親密な関係の中で暴力がエスカレートと沈静化を繰り返す「暴力のサイクル」に巻き込まれ、誰かに助けを求める判断が麻痺してしまうケースもあります。

こうした要因が重なり、被害者は警察への通報をためらいがちで、被害が深刻化するまで孤立してしまうことが少なくありません。

2:ストーカー通報に対する警察対応の実態

2:ストーカー通報に対する警察対応の実態
2:ストーカー通報に対する警察対応の実態 / Credit:Canva

しかし悲しいことに勇気を出して警察に通報しても、被害者が直面する対応には地域や機関によってばらつきがあり、中には「怠慢」とも言える不十分な対応が指摘されています。

米国の全国調査では、警察に通報したストーキング被害者の約半数(49%)が捜査当局の対応に満足していないと回答しました。

同調査では、約5人に1人が警察は何も行動してくれなかったと感じていることも明らかになっています。

被害者にとって、せっかく勇気を出して通報しても十分に動いてもらえない現実があります。

英国でも状況は深刻で、2017年の質的研究では被害者が証拠不足を理由に門前払いされたり、形式的な危険度評価しか行われなかったという証言が多く寄せられました。

さらに、2023年に発表された警察監察機関の報告書によれば、ストーキングの通報事案の約21%が適切に記録すらされておらず、リスク評価ツールも現場で十分に活用されていませんでした。

証拠収集の遅れも指摘され、これらの問題に対処するために同報告書では29項目もの改善勧告が提示されています。

デンマークの最新調査(2024年)でも、被害者の67%が警察から十分な説明を受けられなかったと感じており、接近禁止命令を発付できたケースは全体の2割未満にとどまりました。

法律整備が進んだ国でさえ、被害者はなぜもっと保護してくれないのかという思いを抱えています。

日本においても警察対応の消極さが指摘されており、内閣府の調査では被害者支援窓口の約3割が警察との情報共有が不十分と回答しました。

また、警察の現場対応を分析した研究では、相談を受けたケースの約半数が被害者への防犯指導に留まり、警告や逮捕といった踏み込んだ措置はわずか16%に過ぎませんでした。

被害者たちはこうした対応を実効性に欠けると評価しており、形だけの対応では問題が解決しないことを痛感しています。

さらに、警察庁の委託研究では、加害者に警告を出した後のフォローアップが行われないために再度つきまとい行為が繰り返されるケースがあると指摘されています。

1999年の桶川事件でも、警察の捜査怠慢が被害拡大を招いたとして遺族が国家賠償訴訟を起こし、警察の過失が認定される事態となりました。

これらの事例から浮かび上がるのは、被害者の訴えを軽視し、法制度の限界を言い訳に対応を怠るというパターンです。

ストーカー被害を軽視した対応は、単に被害者の不安を募らせるだけでなく、最悪の場合は命に関わる結果に繋がります。

ストーカー行為は「しつこい嫌がらせ」程度に思われがちですが、その背後には深刻な暴力リスクが潜んでいます。

米国の調査では、ストーカー被害者の約3分の2(67%)が「自分は殺されるかもしれない、または身体的に害を加えられるかもしれない」という強い恐怖を感じていたことが報告されています。

これは、ストーキング行為が単なる迷惑ではなく被害者の生命を脅かしうると多くの人が直感的に感じ取っていることを示しています。

実際、ストーカー被害はしばしば重大犯罪の前兆となります。

とりわけ元交際相手や配偶者など親密な関係にある加害者によるストーキングは、後に深刻な暴力(ドメスティックバイオレンスや殺人)に発展する危険性が高いことが研究で示されています。

米国で行われた大規模調査では、親密なパートナーによる殺人未遂・殺人事件の被害女性のうち、殺人未遂の85%、殺人の76%がその事件前12か月間にストーキング被害を経験していたことが明らかになりました。

さらに、それらの被害者の多く(半数近く)は事件前にストーカー被害を警察に報告していたにもかかわらず悲劇を防げなかったという指摘もあります。

この調査から、ストーカー被害を甘く見て適切に対処しないことが致命的な結果につながりうる現実が浮かび上がります。

ストーカー被害と殺人リスクの関連性は国際的にも認識が深まっています。

あるメタ分析研究では、ストーキング被害があると親密パートナー間の殺人リスクが3倍に高まると報告されています。

英国でも「ストーカー被害を軽視した結果、防げたはずの殺人が起きた」とされる事件が注目を集め、警察の責任が問われました。

被害者に「被害届の乱発だ」として罰金を科した後に殺害されてしまったケースや、繰り返し警告を発しながら実効性のある措置を取らず被害者が殺害されたケースなどが報道されています。

これらは極端な事例に思えるかもしれませんが、日常的にもストーカー被害者は常に殺傷の不安と隣り合わせに暮らしているのです。

日本でも毎年のようにストーカー事件が凶悪犯罪に発展しています。

警察庁の統計によれば、2020年に全国の警察が扱ったストーカー事案の中で殺人に至ったものが1件、殺人未遂が7件発生しています。

被害者の約9割が女性で、そのうち加害者が交際相手・元交際相手または配偶者・元配偶者だったケースが全体の5割近くを占めています。

こうした数字は、ストーカー被害が決して他人事ではなく、誰にとっても命に関わる深刻な問題であることを物語っています。

1999年の桶川事件でも、警察の捜査怠慢が被害拡大を招いたとして遺族が国家賠償訴訟を起こし、警察の過失が認定される事態となりました。

これらの事例から浮かび上がるのは、被害者の訴えを軽視し、法制度の限界を言い訳に対応を怠るというパターンです。

初動の遅れや判断ミスが、ストーカー被害をより深刻な局面へと発展させてしまう現実があるのです。

せっかく警告を与えても継続的な監視がなければ、被害者は再び危険にさらされかねません。

被害者から見れば、警察の対応は受け身で不十分に映り、必要な保護策が講じられないまま放置されている――まさに助けてもらえないという深い失望感に繋がっているのが現状なのです。

しかしなぜストーカー被害に対して、世界中の警察機構は十分に対応しないのでしょうか?

世界中の警察官がストーカーに対して特に怠慢なのか、それとも現行の警察システムそのものにも原因が潜んでいるのでしょうか?

3:なぜストーカー対応で怠慢が起こるのか?

3:なぜストーカー対応で怠慢が起こるのか?
3:なぜストーカー対応で怠慢が起こるのか? / Credit:Canva

それでは、なぜこのような「怠慢」と呼ばれる対応の不備が起こってしまうのでしょうか。

背景には、警察組織の構造的な課題や制度上の限界、そして人々の認識の問題が複雑に絡み合っています。

第一に指摘されるのは、警察や司法関係者の認識不足や偏見です。

ストーカー被害は比較的新しいタイプの犯罪であり、伝統的な暴力犯罪に比べて理解が追いついていない面があります。

研究者の指摘によれば、警察官の中には「明確な身体的暴力が伴わない限り深刻ではない」「ストーカーは赤の他人からの執拗なつきまといで、元恋人間のトラブルは私人間のもめ事」という誤った思い込みを持つ者もいるといいます。

こうした認識の偏りから、被害者の訴えが「痴話喧嘩」や「男女間のもつれ」に過ぎないと軽んじられたり、被害者が過敏に騒いでいるだけだと受け取られたりしてしまうのです。

実際、イギリス・ウェールズの調査では「警察は加害者が物理的な暴力に及んで初めて本格的に介入する傾向がある」と指摘されています。

実際、警察庁はストーカー事案を「人身安全関連事案」として位置付け、被害者の生命身体に危険が及ぶ恐れがあるものと認識するよう通達しています。

しかしそれが末端の警察官にまで浸透しきっていない場合、危険性の高い兆候を見逃すことにつながります。

また、被害者の心理状態や加害者の異常な執着心に対する専門的知識の不足もあります。ストーカー加害者にはしばしば強い執着や支配欲求があり、警察からの警告程度では行動が止まらないケースも少なくないと報告されています。

にもかかわらず警察官が「警告したからもう大丈夫だろう」と安易に考えてしまうと、実際には陰で着々と犯行準備が進んでいるといった事態にもなりかねません。

対応にあたる警察官自身へのカウンセリングや心理学的研修、専門機関との連携強化が不可欠であると指摘されています。

第二に、警察組織内の制度・リソースの問題も無視できません。

ストーカー事案の相談件数は日本で年間2万件前後と高止まりしており、一方で各警察署が抱える人員や専門知識には限りがあります。

専門の「ストーカー対策部署」やストーキング行為のリスク評価ツールが十分整備されていないと、対応はどうしても後手に回りがちです。

「警察は事件が起こってからしか動かない」と揶揄されるように、現在の制度では実際に法に触れる事態にならなければ強制的な介入(逮捕や捜索など)が難しい側面もあります。

日本のストーカー規制法は2000年の施行以降、2013年・2016年・2021年と改正を重ね、警告なしでも禁止命令を出せるようにする、GPS追跡行為を規制対象に加える等の強化が図られてきました。

しかし法律でどれだけ枠組みを整えても、現場でそれを適切に運用する人員と体制がなければ絵に描いた餅になってしまいます。

実際、神奈川県警ではストーカーやDVなど人身安全に関わる事案を扱う専門部署「人身安全対策課」はあるものの、各警察署には専門の「人身安全係」が置かれていないと言われます。

多くの都道府県警(警視庁や愛知県警など)では各署の生活安全課にストーカー・DV対策の専任担当者を配置しています。

しかし神奈川県警では防犯係の数名が他の業務と兼務でストーカー案件も抱える状態で、「1人で全部を回すのは無理がある」という内部の告発も明らかになりました。

専門スタッフと十分な人手を欠いた組織では、どうしても対応が後手に回り、被害者のSOSが構造的に届きにくくなってしまいます。

これは決して神奈川県警だけの問題ではなく、全国的にも人員不足は深刻です。ストーカー事案対応の最前線である生活安全部門に十分な人員と訓練を施さなければ、現場警察官の負担が大きすぎて迅速・的確な対応は困難です。

第三に、手続き面・法制度の課題です。

警察の怠慢が起きる背景には、現行法制度の限界も影響しています。ストーカー規制法は施行以来何度か改正され、EmailやSNSでのつきまとい行為やGPS追跡行為の規制強化など改善が図られてきました。

しかし法律の運用面で、被害者の申告がなければ警察は警告すら出せない仕組みや、禁止命令を出すハードルの高さなどが指摘されています。

被害者が「被害届を出すほどではない」と迷っている段階でも、本当は介入が必要なケースがあります。

現在は各都道府県警でストーカー・DVについて事前相談を受け付ける窓口も設けられており、事件化の有無にかかわらず幅広く相談を受理して未然防止に努める試みが始まっています。

京都府警ではストーカー専門のワンストップ相談センターを設置し、関係機関と連携して被害相談から加害者の再発防止措置まで切れ目なく対応するモデル事業も行われています。

こうした制度改善の動きはありますが、全国でまだ十分に機能しているとは言い難い状況です。

第四に、教育・訓練の不足も見逃せません。

前述のとおり、一部の警察官にはストーカー問題への認識不足が見られることから、研修や訓練で最新の知見を共有し、意識改革を促すことが重要です。

英国のカレッジ・オブ・ポリシングのレビューでは、警察官に対するストーキングの複雑性やダイナミクスに関する意識啓発の必要性や、各警察署にストーカー事案の専門官を配置すること、被害者支援団体との協働を強化することなどが提言されています。

裏を返せば、現状ではそうした取り組みが不十分であるからこそ被害者の満足度が低いという現実があります。

被害者が「担当の警察官が熱心で積極的に動いてくれた」「逐一進捗を教えてもらえて安心できた」と感じるケースでは満足度が高かったとの報告もあり、適切な教育を受けた警察官がいかに被害者に寄り添った対応を取れるかが鍵となります。

しかし特に日本においては、組織風土が意識改革の大きな壁になっています。

警察組織内の風土として「不祥事や問題を小さく見せようとする志向」や事なかれ主義が根強いことも否めません。

大事にしたくないあまり被害を矮小化したり、あるいは対応ミスがあっても認めたがらず隠蔽しようとする体質があると、結果として被害者の危険を後回しにしてしまいます。

桶川事件では、事件後に警察が不適切捜査を隠すため調書を改ざんするという信じ難い行為に及び、大きな批判と処分を受けました。

このように使命感を欠いた対応が繰り返されるなら、被害者は警察を信頼できず相談をためらう悪循環に陥ってしまいます。

警察には「被害者の命を守る最後の砦」としての強い責任意識が求められますが、組織の論理が優先され被害者視点が後回しになるとき、怠慢が生じる土壌となってしまうのです。

4:警察に門前払いされたと感じた場合どうするか?

4:警察に門前払いされたと感じた場合どうするか?
4:警察に門前払いされたと感じた場合どうするか? / Credit:Canva

警察に相談したのに真剣に取り合ってもらえず、「門前払い」や不誠実な対応をされてしまった――そんなときでも、決してあきらめないでください。

以下では、具体的なアクションや利用できる支援先をご紹介します。

証拠を集めて状況を明確に伝える

前回相談時に警察が動いてくれなかった場合、写真・録音・メールやSNSのメッセージ・着信履歴など、被害の証拠をできるだけ揃えて持参しましょう。

証拠があれば警察も事件性・緊急性を判断しやすく、対応してもらえる可能性が高まります。

被害日記(いつ何があったか)をつけておき、相談時に提示するのも有効です。

相談内容を書面で提出する

口頭だけでなく、被害状況や不安を時系列にまとめた書面(相談シートや要望書)を作成し、警察署の生活安全課など相談窓口に提出してみましょう。

書面に残すことで警察側も記録を残さざるを得ず、正式な対応につながりやすくなります。

「〇月〇日に相談したが適切な対応をしてもらえなかった」ことも簡潔に記しておくと、前回の相談履歴も意識してもらえます。

相談先や担当者を変えてみる

前回対応した警察官と相性が悪かったり不信感がある場合、別の人に相談したい旨を伝えてみるのも一つの手です。

「できれば生活安全課のDV・ストーカー事案担当の方とお話ししたいのですが」と希望を出したり、交番ではなく警察署本署の窓口に出向いてみるなど、窓口を変えて再チャレンジしてみてください。

同じ警察署でも日を改めて行けば違う担当者に当たる可能性がありますし、都道府県警本部の被害者相談専用電話(#9110)経由で相談するとスムーズに専門部署につながるケースもあります。

一度門前払いにあっても、「あなたの相談内容は重大だ」と根気強く訴え直すことが大切です。

第三者に同行を頼む

可能であれば信頼できる友人や支援団体のスタッフ、あるいは弁護士に同行してもらいましょう。

被害者ひとりで相談に行くよりも、第三者が一緒にいることで警察も真剣に話を聞いてくれやすくなります。

特に弁護士同行の場合は「法律の専門家が事件性ありと判断している」と警察も受け止めるため、積極的に対応してもらえる可能性があります。

弁護士に依頼する余裕がない場合でも、支援センターの相談員などが付き添ってくれることもあります。

民間の支援団体・NPOを活用する

警察への相談と並行して、ストーカー・DV被害者支援を行っている民間のNPOやシェルターにも連絡をとってみてください。

こうした団体は被害者の気持ちに寄り添いながら、警察への働きかけ方もアドバイスしてくれます。

全国被害者支援ネットワーク加盟の各地の被害者支援センターでは、電話や面談で無料相談に応じ、心のケアや他機関の紹介を行っています。

各都道府県で犯罪被害者をサポートする団体がありますので、地域名+「被害者支援センター」で検索してみるとよいでしょう。

24時間対応のホットラインを利用

深刻なDV・ストーカー被害について、行政委託で運営されている全国共通の電話相談もあります。

「DV相談+(プラス)」は365日24時間、専門の相談員が電話対応しており、チャットやメールでも相談できます。

電話番号はフリーダイヤルの0120-279-889で、匿名・無料で利用できます。

内容に応じて必要な支援策を一緒に考え、面談同行や安全な場所への避難など直接支援が必要と判断されれば手配してくれます。

夜間や土日でもつながるため、「今は緊急じゃないけど不安」というとき一人で抱え込まず連絡してみてください。

その他にも、「よりそいホットライン(0120-279-338)」のようにDV被害を含むさまざまな悩みに24時間対応するホットラインや、民間シェルター団体への連絡も選択肢です。

民間シェルターは行政に知られず避難したい場合や、ペット同伴で避難したい場合などに力になってくれます。

支援団体同士のネットワークで適切な避難先を探してもらえることもありますので、「シェルター 相談 地域名」で検索し問い合わせてみましょう。

公的機関で受けられる支援

各自治体には配偶者暴力相談支援センター(DV相談窓口)が設置されており、ストーカー被害でも対応してもらえます。

ここではカウンセリングや安全確保、一時保護の手配、法的手続の案内など総合的な支援が受けられます。

たとえば東京都では23区在住者向けに「東京都女性相談支援センター」で相談を受け付けており、多摩地域にも支所があります。

大阪府でも「大阪府女性相談センター」や大阪市の「配偶者暴力相談支援センター」で専門相談を実施しており、男性からの相談も可能です。

お住まいの地域の相談センターは内閣府男女共同参画局のウェブサイトや市役所の案内で確認できます。

公的機関の相談員は警察とも連携してくれるため、「警察にうまく伝わらなくて…」と正直に打ち明け、間に入ってもらうことも検討してください。

法律的な支援も活用

法テラス(日本司法支援センター)には「犯罪被害者支援ダイヤル(0570-079714)」という相談窓口があり、DVやストーカー被害に関する法律相談を無料で案内しています。

経験豊富な職員が話を聞き、必要に応じて適切な支援機関の紹介や弁護士相談の手配をしてくれます。

収入等の条件を満たせば、被害者向けの法律相談援助制度を利用して無料で弁護士に相談することも可能です。

接近禁止の保護命令を裁判所に申立てる場合など、法テラス経由で弁護士のサポートが得られます。

行政の男女共同参画センターにも無料の法律相談日を設けている所がありますので、「○○市 DV 法律相談」で調べてみましょう。

その他公的サービス

各都道府県の男女共同参画センターや女性センターではDV・ストーカー相談のほか、一時的なカウンセリングや同行支援をしてくれる場合があります。

必要に応じて住民票閲覧制限(加害者から住所を知られない措置)や、子どもがいる場合は児童相談所との連携など、公的制度の案内も受けられます。

生活保護や住居確保給付金などの福祉制度についても福祉事務所で相談できますので、生活面の不安も遠慮なく伝えてください。

過去にはストーカー被害が痴情のもつれと軽視され警察に相談しても相手にされないケースがありました。

しかし、その結果対応が遅れて事件が深刻化した痛ましい事例が相次いだ反省から、現在では警察も真剣に対応する体制になっています。

相談件数は増加傾向にあり、警察も「被害者の意思を尊重し丁寧に対応する」方針を強化しています。

一度対応が不十分だった場合も、時間をおいて再度相談すれば事態が動く可能性は十分あります。

決して萎縮せず、あなたの安全のために粘り強く訴えてください。

危機が高い・差し迫っている場合

加害者から「殺してやる」など明確な脅迫があった、繰り返しの暴力ですでにケガをしている、尾行や待ち伏せが連日続いて恐怖で外出もできない、といった緊急性の高い状況では、ためらわず110番通報をしてください。

「つきまとわれて怖い」「今まさに暴力を受けている」などと具体的に状況を伝え、助けを求めます。

ストーカーやDVの被害であること、加害者が近くにいる・凶器を持っている可能性がある等も伝えると、警察も優先度を上げて対応します。

以前に警察を呼んだのに十分な対応をしてもらえなかった場合でも、諦めずに再度110番してください。

その際「前にも通報したが、さらに状況が悪化している」「○月○日に相談済みだが加害者の行為がエスカレートしている」と伝えることで、警察も重大性を認識しやすくなります。

「命の危険を感じている」「次は殺されるかもしれない」と率直に言葉に出しましょう。

通報後はできるだけ安全な場所(施錠できる部屋や人目のある場所)に避難し、警察官が到着するまで身を守りましょう。

※参考文献

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ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。
大学で研究生活を送ること10年と少し。
小説家としての活動履歴あり。
専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。
日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。
夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

フラッグシティパートナーズ海外不動産投資セミナー 【DMM FX】入金

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