
(数土 直志:ジャーナリスト)
日本アニメが世界で躍進するなかで、作品を世界の隅々にまで届けるグローバル配信サービスが重要な役割を果たしている。なかでも世界3億世帯を超える有料会員を持つNetflixの影響力は大きい。特に、2020年からNetflixでの世界配信をスタートさせたスタジオジブリ作品は、以降、その人気を加速させたとして大きな注目を浴びている。
そうしたなか、スタジオジブリの代表作、高畑勲監督「火垂るの墓」が2025年7月15日よりNetflixにて国内初配信することが発表された。実はスタジオジブリの作品が国内配信されるのは今回が初だ。
「火垂るの墓」の新たなスタートに、なぜNetflixが選ばれたのか、また作品をピックアップした日本のNetflixは、いまアニメ分野のラインアップにおいてどんな戦略を持っているのか。日本の実写・アニメのコンテンツを統括するNetflixコンテンツ部門バイス・プレジデントの坂本和隆氏に話を聞いた。
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——「火垂るの墓」が2025年7月15日から日本で初めて配信されます。スタジオジブリ作品全体でも、日本での配信は初めてです。まずは坂本さん自身の「火垂るの墓」の印象を教えていただけますか。
坂本和隆氏(以下、坂本):小学生の頃に両親に連れられて、封切りのタイミングに、2本立てで観ました。その時の記憶は強烈に残っています。その後もテレビで観ていましたが、ただ近年は地上波でもほとんど放送される機会がなかったと伺っています。ですので、今回はご縁をいただけてすごく嬉しいです。
「火垂るの墓」は、いわゆるアニメというジャンルの垣根を超えた作品という印象があります。物語の深さと、これだけ全世界に広がったという強さも含め、すごく特別な作品だと思います。
戦後80年という中での「火垂るの墓」のテーマ性、文芸作品をアニメーションとしてここまで昇華させた点で芸術の域を超えて、文化の中に入り込んでいます。時代を重ねつつ、全く色あせずにたくさんの方に見られているのは本当にすごいです。

1982年9月15日生 / 東京都出身。Netflixの東京オフィスを拠点に、日本発の実写とアニメ作品のコンテンツ制作および、ビジネス全般を統括。日本における最初の作品クリエイティブ担当として2015年に入社後、Netflixシリーズ「今際の国のアリス」「First Love 初恋」「サンクチュアリ -聖域-」「幽☆遊☆白書」など、多くの実写作品を担当。「Devilman Crybaby」「リラックマとカオルさん」「アグレッシブ烈子」などの幅広いアニメ作品も仕掛け、日本市場におけるNetflixの作品群拡大に貢献。2021年6月より現職。
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——今回、国内で配信解禁になりますが、このきっかけは何だったのでしょう?
坂本:既にNetflixで作品を全世界配信でお預かりしていたので、そこを評価され、信頼構築が生まれたから実現したと思います。海外から配信をスタートしたところ、世界のいろんな国で大変大きな反響を頂きました。
——海外での配信はいつから?
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