Mozillaが、自社が提供するウェブページ保存サービス「Pocket」を2025年7月8日に終了し、同年10月9日にすべてのアカウントとデータを削除すると発表しました。「Pocketのようにウェブページの全文を保存でき、かつ検索可能なサービス」という縛りで代替となるサービスを探してみました。
Pocket終了の発表内容については、以下の記事に詳しくまとめています。
Mozillaが後で読むサービスの「Pocket」とAIでサクラレビューを検出する「Fakespot」の終了を発表、データが消えるのでエクスポートの必要あり – GIGAZINE
Pocketのリンクデータをエクスポートする方法は、以下のページにまとめられています。手順は簡単で、Pocketの「アカウント」にある「オプション」から「エクスポート」を選択し、「HTMLファイルをエクスポート」のボタンをクリックすれば、生成されたHTMLファイルのリンクが登録しているメールアドレスに送信されます。
How to export your Pocket saves | Pocket Help
https://support.mozilla.org/en-US/kb/exporting-your-pocket-list
そして、移行先候補が以下。
◆Raindrop.io
Raindrop.ioはブックマークアプリで、リンクや画像、動画などのコンテンツをさまざまなブラウザやデバイスから保存し、管理できます。データはAmazon Web Servicesのサーバーに保存され、いつでも再表示可能。このRaindrop.ioにはPocketのデータをインポートすることが可能です。Raindrop.ioはデスクトップアプリのほか、Chrome・Firefox・Edge向けの拡張機能、iOS・Android向けのスマートフォンアプリが用意されています。
Pocket Integrations — Raindrop.io
https://raindrop.io/integrations/pocket
移行の手順はシンプルで、PocketからエクスポートしたHTMLファイルをRaindrop.ioにアップロードするだけ。ただし、ヘルプページによると、ファイルサイズが300MBまでという制限があるので注意が必要。また、Raindrop.ioでページ全文を保存する「Permanent Library」機能は無料版では使うことができず、年額4579円の有料プランでのみ使用可能となっています。
◆wallabag
wallabagはウェブページを保存できるウェブアプリで、ソースコードがMITライセンスの条件に従ってGitHubで公開されています。拡張機能はChrome・Firefox・Edge向けが存在し、Android・iOS向けのアプリも用意されています。
Pocket – wallabag documentation
https://doc.wallabag.org/user/import/pocket/
Pocketからのデータを移行する場合は、Pocketの開発者向けページでAPIキーを取得してwallabagに設定し、データをインポートします。wallabagはセルフホストであれば無料で利用可能。公式による運営版は年額11ユーロ(約1786円)で利用でき、14日間の無料体験期間も設けられています。
◆Instapaper
Instapaperは、iPhoneやiPad、Kindle、PCなどありとあらゆるデバイスからいつでもどこからでもオフラインで「あとで読む」ことができるように特化したシンプルなツールです。拡張機能はChrome・Firefox向けに、スマートフォンアプリがAndroid・iOS向けに配信されています。
Import/export content from/into Instapaper – Instapaper
https://instapaper.zendesk.com/hc/en-us/articles/30080578815245-Import-export-content-from-into-Instapaper
データの移行は、PocketのCSVファイルをInstapaperにインポートすればOK。ただし、Instapaperでのページ全文保存機能は有料版のInstapaper Premiumのみに提供されています。Instapaper Premiumの価格は月額5.99ドル(約860円)/年額59.99ドル(約8600円)です。
◆Readwise Reader
Readwiseはウェブサイトや電子書籍のメモやハイライトを一元管理できるサービスです。そのReadwiseが提供している「Reader」は、ウェブ記事やニュースレター、電子書籍、PDFファイル、動画、SNSの投稿などありとあらゆる読み物を読めるアプリです。デスクトップアプリはWindows版とmacOS版が、スマートフォンアプリはAndroid版とiOS版が提供されています。
Importing Content to Reader – Readwise Docs
https://docs.readwise.io/reader/docs/faqs/importing-content
PocketのデータをReadwise Readerにインポートするには、ReadwiseのアカウントとPocketのアカウントをリンクさせればOKで、自動的に実行されます。Readerには「後で読む」機能も搭載されており、ページの全文保存も可能ですが、利用は有料。最初の30日間は無料ですが、以降は年払いだと9.99ドル×12カ月=119.88ドル(約1万7200円)、あるいは月払いで12.99ドル(約1860円)の支払いが必要となります。
◆DoubleMemory
DoubleMemoryはmacOS向け拡張機能で、アカウントやサーバー不要で任意のアプリからテキストやリンクを保存できるようになります。オフラインで動作し、iCloudと同期し、保存したコンテンツを見返すことができます。
Import Tools for DoubleMemory
https://doublememory.com/posts/tools/
Pocket CSV to DoubleMemory Importer
https://doublememory.com/posts/tools/pocket/
Pocketからエクスポートしたファイルを、上記の「Pocket CSV to DoubleMemory Importer」でDoubleMemoryにインポートできる形式に変換可能。ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでは、開発者がPocket終了の報を受けて急きょインポートするための仕組みを導入したことを明らかにしています。なお、DoubleMemoryの有料機能は開発中で、記事作成時点では全機能を無料で利用可能となっています。
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🧠 編集部の感想:
Pocketのサービス終了は、多くのユーザーにとってショックです。代替サービスとして紹介されたRaindrop.ioやwallabagが興味深く、特に移行が簡単なのが魅力的です。今後の「あとで読む」体験がどう変化するのか、注目したいですね。
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