
「マネジメントの父」と呼ばれ、経営学の大家であるピーター・ドラッカーは、マネジメントのフレームワーク「MSC(マネジメント・スコアカード)」を提唱した。本記事では、MSCの基本計画の作成から運用、改善までのプロセスを解説していこう。※本稿は、森岡謙仁『ドラッカーに学ぶ!管理職 養成講座』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。
MSCの基本計画とは何か
事業戦略との違い
MSC(編集部注/マネジメント・スコアカード。ドラッカーが1954年に開発。組織の基本計画を定義するための5つの重要な質問と、その計画の成果を測定するための8つの重要領域目標を合わせたもの)の基本計画とは、いわゆる事業戦略のことを指します。ドラッカーが語ったように「事業の目的は顧客創造」をすることであり、「戦い」を意味する戦略という言葉は使用しなくてもいいとの判断から、MSCでは基本計画と記述します。

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MSCの基本計画の使い方を理解するために、改めて基本計画の検討から実行までの全体像を示します。組織に所属している職場・チームの基本計画を考える場合には、マネジメント(リーダー役)である3番目の石工(編集部注/ドラッカーの著書に出てくる3人の石工。第1の石工は「生活のために金を稼いでいる」、第2の石工は「技術を磨いている」、第3の石工は「社会のために働いている」という旨を話した。ドラッカーは全体を見て公的な意志を持って働いている第3の石工をマネジメントの人間だとした)の思考方法をまねることから始めます。
具体的には、自らの職場・チームが所属している事業全体(所属組織)の基本計画を理解することです。チームが企業に所属しているのであれば、その企業の経営トップが考える「事業の定義は何か」「目的・ミッションは何か」「顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」「我々の成果は何か」「我々の活動計画は何か」を理解します。
このためには、上場会社であれば年次報告書や統合報告書が参考になります。上場企業でなくても、組織が年次に作成している経営計画書、定期的に見直している中期経営計画書も同様に参考になります。
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