はじめに
私は元々営業職で新卒入社し、2024年の4月にエンジニアへ転向したバックグラウンドがあります。その中で、「もし、もう一度ゼロからエンジニアを目指すなら、今の自分ならどう動くかな?」と考える機会があり、一つのモデルケースとして記事にしてみました。
生成AIの進化は凄まじく、これからのエンジニアにはAIを使いこなすスキルが不可欠になります。そしてこの状況は、使い方をゼロから学べる未経験者にとって追い風であり、AIは活用次第で最高の学習パートナーになると個人的に考えています。
この記事が、不安を抱えながらもエンジニアというキャリアに挑戦したいあなたの、一歩目を踏み出すきっかけになれば幸いです。
この記事の想定読者
- プログラミング未経験から、エンジニアを目指している方(主にバックエンド領域向け)
- 学習を始めたものの、何から手をつければ良いか分からない方
- AIを学習にどう活かせば良いか知りたい方
目次
- 学習の進め方概要
- AIとどう向き合い、学習を進めていくか
- 未経験からエンジニアを目指すあなたに伝えたいこと
2. 学習の進め方概要
ここでは、私が「もう一度ゼロからやるなら」と考える学習ステップを概要として紹介します。大前提、各ステップごとの具体的な学習方法などは本記事では触れません。
あくまで「何を」「どの順番で」「なぜ」やるのか、という全体像を掴む参考程度の紹介となります。
1: Progateでプログラミングに触れる
何はともあれ、まずはプログラミングに触れてみて、「なんとなくこういう書き方するんだ」と肌で感じてみることは必要です。
その上でゲーム感覚でサクサク進められるProgateは、個人的にもおすすめです。
-
何をやるか:
- Progate の中で気になるコースを1周サラッとやってみる
- 自分は JavaScript、PHP、SQLをメインでやってました
-
目的:
- 完璧な理解は不要です。「プログラミングってこうやって動くんだ」「この関数って面白いな」と、全体像を掴み、手を動かす楽しさを知ることがゴールです
技術選定について
基本は、「面白そう!」と感じるものや、目指す職場や職能で使われる言語を選ぶのが一番です。バックエンドならPHP(Laravel), Ruby(Rails), Python(Django)などが人気ですが、迷ったら興味のある企業が使っている言語を調べてみるのも良いかと思います。
ただし、注意点として自分が興味ある分野の言語を1周した時点で、次のステップに移って問題ないと思います。つまり、記憶の定着を目的として何周もやる必要ないと個人的に思います。ここが一般的な学習(特に社会科など)とは異なる部分と思います。
※ 私も下記のように、気になる分野をサラッと一周した程度でした。
ステップ2: Web技術の全体感を学ぶ
Progateでプログラミングの楽しさに触れたら、各言語を深ぼるのも良いですが、少しだけ視点を上げて、Web全体の仕組みを体系的に学ぶことをオススメします。ここで学んでおくと、後々の学習効率が劇的に変わります。(経験談)
そこでぜひ読んでほしいのが名著 プロになるためのWeb技術入門です。
Amazonリンク(改訂新版)
-
何をやるか:
- まずは本をサラッと1周読んでみましょう
- HTTP、URI、RESTといった、Webの根幹をなす技術の仕組みに触れることができます
-
目的:
- ざっくり言うと、今後の学習効率を最大化するためです。この本を読み、なんとなく理解するだけでも、頭の中にWeb技術の「インデックス」ができてくるイメージで、新しい知識が出てきても「これは〇〇の部分の話だな」と整理しやすくなります
初めて読む際は少し難しく感じるかもしれませんが、全部隅々まで最初から理解できてなくても全く問題ないですし、自分も今でもたまに読み返します。
ステップ3: 簡単なCRUDアプリを作ってみる
いきなり!?と思われる方がいるかもしれませんが、後述する「AI活用」をしながらの学習であれば、もうこの時点で早速簡単なTODOアプリなどを作ってしまったほうが良いと個人的に思います。
自分は当時、techpit( https://www.techpit.jp/ )の教材や「独学エンジニア( https://dokugaku-engineer.com/ )」のコースをある程度実施してから自作アプリケーションに取り掛かったのですが、今振り返ると、もう少し早く自作アプリ開発をしても良かったなと感じています。
-
何をやるか:
- 簡単なCRUD(作成・読み取り・更新・削除)機能を持つWebアプリを何でもいいので作ってみる
- (例)ToDoリスト、一言日記帳、ブログ管理など
-
目的:
- とにかく完成させて動かす経験を積むこと。正直この時点でUIはこだわらずに、たとえ見た目がしょぼくても、機能が少なくても構いません。自分の手でゼロから一つのサービスを作り上げたという経験が、何よりの自信と実践的なスキルになると思います
改めて、ここが最も重要で、最も成長するフェーズです。
どのサイトでも、どの記事でも言われると思いますが、今振り返っても、本当にそう思います。(自分も当時ここにもっと早く、長く時間を割けば良かったと。。)
何からやれば良いかも分からない状態かと思いますが、後述するAIパートナーを主として進めるもよし、自分で調べながら自由に好きな順番で取り組むのもよし。正解はないのでぜひ楽しみながら取り組んでみてください。
(参考)具体の学習ロードマップについて
細かい学習ロードマップについては本記事では触れていませんが、
個人的に、下記の記事をとても参考にしていました。
バックエンドエンジニアとして必要な基礎知識の項目を各項目解説してくれているので、ぜひ見てみてください。
(コラム)学習コンテンツとして、Udemyはどう?
ぶっちゃけ、合う合わないの個人差があるので、人によります。
ただし、コンテンツ量や質は良いものが多いので、もし動画でのインプットが合うタイプの方なら、ぜひ活用してください。(自分は買って満足するタイプで、1講座をちゃんとやりきったことがないくらいでした笑)
ちなみにそんな自分でも「これは買って良かった」と思うUdemy講座をいくつか紹介します。
① Laravelを勉強したいバックエンドエンジニア初学者向けです
② 自分のポートフォリオを実際にAWSにデプロイする際、重宝しました
③ 実際にエンジニアとしてジョインする際に特に役立った内容だったので、まだポートフォリオ作成前〜作成中くらいのフェーズの方は後回しで良いかと思います
3. 学習にどうAIを活用するか?
いまのこのタイミング以降でエンジニアを目指す方にとって、はAIをいかに使いこなせるか が最重要ポイントであり、この結果で学習効率も天と地ほど変わると思います。
いろんな意見があると思いますが、私はAIをフル活用してほしい派です。
(ただしAIとの向き合い方で注意点があるので、それは後述します)
学習で頼りになるAIツールたち(2025年7月時点)
私が実際に使ってみて、特におすすめだと感じたツールです。
(あくまで個人的な感想です)
-
幅広い壁打ち相手: Gemini (無料版でも十分高機能)
- 学習計画の相談や、抽象的な概念の質問など、万能な相談相手。
-
コーディングの相棒: Cursor, GitHub Copilot
- AIが統合されたエディタである Cursor や、普段使いのエディタに入れられる GitHub Copilot といった拡張機能は実際のコード記述や、エラー解決のヒント出しに特化しており便利です。月額$20~30程度の投資価値は十分にあります
※ Github Coilotを使う場合はエディタをVisual Studio Codeするのが無難です
※ この分野の進化は非常に速いので、常に最新情報をチェックし、気になったものは積極的に試してみることをお勧めします
具体的なAI活用法3選
活用法1:自分専用の学習コンサルタントを作る
「バックエンドエンジニアになりたいけど、何をどんな順番で学べばいい?」
こんな漠然とした問いをAIに投げかけるところから始めてみてください。あなただけの学習計画のたたき台を、AIが一緒に作ってくれます。
自分が学習を始める時に、「未経験からエンジニア目指すにあたって具体的にどういうロードマップがあるか」が特に悩んだ点でもあったので、それをAIに対し壁打ちしながら、自分に合いそうな学習ロードマップを一緒に作り上げるのはとても良い活用法だと思います。(もちろん身近に相談できる方がいればレビューしてもらうと尚良しです)
※ ちなみに自分はいまGeminiのGemという機能を用いて、同じような壁打ち運用を実際にして活用しています(めっちゃ便利)
活用法2:知識の「点」を「線」でつなぐ
学習を進めると「API」「Docker」「DBの正規化」といった断片的な知識(=点)が増えていきます。
そんな時こそ、「APIって、結局Webアプリ全体の中でどういう役割を果たしてるの?『Webを支える技術』で読んだHTTPとどう関係してる?」のように、既知の知識と関連付けて質問してみましょう。知識が有機的に繋がり、全体像(=線)として理解が深まります。「〜という理解で合ってる?」と自分の言葉で確認したり、「中学生にも分かるように説明して」と頼むのも非常に有効です。
対人間だと「こんな初歩的なこと何回も聞いて良いのか」や「わからないことが分からないくらい質問の言語化ができない」という様に、質問のハードルが一定ある中で、AI相手なら気兼ねなく聞けるのが最大のメリットです。ぜひフル活用してみましょう。
活用法3:エラー解決の「最初の相談相手」にする
- 初めて見るエラーメッセージ
- 意味が分からない専門用語
- 「この機能、どうやって実装すればいいんだろう?」という設計の壁打ち
これらはまずAIに相談してみましょう。
もちろん、なんでもかんでも思考停止してAIに聞くのは避けましょう。
ときにはググってみたり(もう死語?)、公式ドキュメントも見る癖をつける絶好の機会です。バランスよくAIを活用しましょう。
【超重要】学習におけるAI活用時の注意点
AIは強力なツールですが、使い方を誤ると「分かったつもり」になるだけで、成長速度が鈍化する恐れがあります。以下の点は特に注意してください。
- とりあえず思考停止でコピペする
- エラー文をそのまま貼り付けて、答えだけをもらう
- AIの回答を鵜呑みにする
AIは、答えを教えてくれる”先生”ではなく、あなたの思考を助けてくれる”壁打ち相手”です。
失敗談
私も初めての自作アプリケーション作成時に、AIが生成したコードを深く理解しないまま実装したことがあります。その場は動いたのですが、コードの意図を理解していなかったため、技術面談時の質問などに全く答えられないといったケースもありました。
AIのコードはあくまで「優秀な提案」の一つ。「なぜこのコードで動くのか?」「処理の流れはどうなっているのか?」を自分の言葉で説明できるかを常に自問自答してください。自分はここを疎かにし、痛い目を見ました。
このひと手間が、本当の実力となり、あなたの自信に繋がります。
特に弊社の先輩エンジニアが記載している下記の記事がとても参考になるので、ぜひ合わせて覗いてみてください(宣伝)
4. 未経験からエンジニアを目指す方に伝えたいこと
最後に、「もし1年半前のこれからエンジニアを目指す自分へアドバイスを送るとしたら」の観点で、3つのTipsをお伝えします。
Tip1: 色々な選択肢はあるけど、独学でも十分。大事なのは「自分次第」
プログラミングスクールも良い選択肢ですし、決して否定するつもりはありませんが、良質な教材や「AI」という強力な相棒が出てきた現代においては、強い意志と正しい努力さえあれば、独学でも十分にエンジニアとしての力を伸ばせると思います。
情報過多の現代ですが、「自分次第で道は切り拓ける」というマインドが重要かなと思います。一人で抱え込まず、使えるものは何でも頼りましょう。
Tip2: AI時代だからこそ、ポートフォリオは「なぜ作ったか」を重視しよう
AIを使えば、誰でも簡単に見栄えの良いものが作れるようになりました。それこそClaude Codeで依頼したら誰でもすぐにモダンなUIの簡単なアプリを、時間をかけずに作成できます。だからこそ、完成品そのものも大事ですが、その裏側にある思考のプロセスをこだわりましょう。
-
なぜそれを作ろうと思ったのか?(課題意識)
- 例:「自分が日常で感じていた〇〇という不便を解決したかった」
-
なぜその技術を選んだのか?(技術選定の理由)
- 例:「〇〇という機能を実装する上で、▲▲が最も適していると考えたから」
-
どこに一番苦労し、どう乗り越えたのか?(問題解決能力)
- 例:「〇〇で詰まったが、〇〇という仮説を立て、AIと壁打ちしながら解決した」
これらの問いに、自分の言葉で語れると素敵だと思います。
Tip3: AIを使いこなした経験そのものも、強力なアピールにしよう
ポートフォリオ作成において、あえてAIを使わずにポートフォリオを作成する方もいるかと思います。
ただし、私個人としては「AIを使いこなして、これだけ効率的かつプラスアルファで〇〇まで開発を進めました」といったように、むしろ積極的に活用し、その経験をアピールすることをおすすめします。なぜならそれは、新しいツールを自律的に学び、使いこなし、生産性を上げられる人材の証明になり得るからです。
AIを使いこなす能力は、もはや一部の最先端エンジニアだけのものではないことは、周知の事実だと思います。これからの時代を生きる全てのエンジニアにとっての必須スキルです。
学習の過程でAIを使い倒し、その経験を自信を持って語れるようになるのも素敵だと思います。
おわりに
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
エンジニアへの道は決して楽なことばかりではありませんが、自分の手でサービスを生み出す喜びや、知的好奇心を満たせる楽しさは、何にも代えがたいものです。自分自身も、まだエンジニアとしては2年目の立場ですが、改めて異職種から転向して良かったと心から思っています。
この記事が、あなたの挑戦の第一歩を後押しできれば、これ以上嬉しいことはありません。
心から応援しています!
Views: 0