🧠 あらすじと概要:
あらすじ
『ナッシュビル』は、1975年に公開された映画で、テネシー州ナッシュビルで開催されるカントリー・ミュージックのフェスティバルを舞台に、さまざまな人々が集まる様子を描いた群像劇です。主演の歌手や音楽業界の関係者、ファン、移民、政治家など、数多くのキャラクターが登場し、それぞれの事情を抱えています。コンサートが進行する中で、彼らの人生が交錯し、アメリカの理想と現実のギャップが浮き彫りになっていきます。
記事の要約
映画『ナッシュビル』は、作者にとってはカントリー・ミュージックの世界を知る良い機会であり、1970年代のアメリカ社会の喩えとして興味深い作品でした。最初は戸惑いを覚えつつも、陰惨なリアルを皮肉った構成に魅了されます。多くのキャラクターが絡むカオスな状況はアメリカの多様性を象徴し、理想主義と現実の矛盾が描かれています。特に、銃撃事件の後に訪れるシュールな一体感が印象的で、楽観的な様子に戸惑いつつも、国家の理想への痛烈な皮肉が感じられる映画です。全体を通じて、ただの音楽映画としてだけでなく、社会批評としても楽しめる作品となっています。

カントリー・ミュージックがどうも苦手なので鑑賞を少しためらいましたが、知らない世界も見てみるか、と挑戦。
1970年代のアメリカを映し出す群像劇であると同時に、カントリー・ミュージックに象徴される「理想のアメリカ像」の虚構性を滑稽に、また痛烈に皮肉った作品、と私は見ました。
最初は「なんだこれ…?」と思いましたが、皮肉大好きな私としては、とっても面白かったです!
今まで見た中で最悪なもの!?
あらすじ
テネシー州ナッシュビルで開催されるフェスティバルにたくさんの参加者たちが集まってくる。イギリスからやってきたテレビのレポーター、様々な事情を抱えた歌手たちとその取り巻き、そしてファン、夫のもとから逃げてきた女性や旅の果てに流れ着いた者、さらに大統領候補とキャンペーンのスタッフ。聴衆が見守る中、コンサートが始まるが……。監督 : ロバート・アルトマン1975年製作/159分/アメリカ原題または英題:Nashville配給:日本スカイウェイ、アダンソニア
劇場公開日:1976年4月
『映画.com』より引用
感想(ネタバレ含む)
まずはそのカオスっぷりに驚きました。
カントリー・ミュージック界のスターや業界人、弁護士、政治活動家、兵士、歌手の卵など、24人もの登場人物が入り乱れる複雑な構成です。
顔認識が苦手な私は、配信をいいことにメモを取りながら鑑賞。
この節操のない、雑多で混沌とした姿がアメリカのイメージと重なります。
劇中で披露されるカントリー・ミュージックの数々は、アメリカ的価値観に基づいていて「♪アメリカ素晴らしい〜家族素晴らしい〜我々は強く正しく生きている〜」的な、理想を歌い上げます。
彼らは自分たちの信念により歌っていますが、はたから見ると違和感があります。自己陶酔とも言えそう(笑)
朗々と理想を歌い上げ、実際はどうなんだといえば、浮気だ保身だ名声だと、醜さ満載の舞台裏。
このギャップはまさに「1970年代のアメリカの理想と現実」と言えるのではないでしょうか。
歌が長くて正直飽き飽きするのですが、これもある種「うんざりなんだよ」と見る側に思わせるための演出かなと思いました。
そんなバラバラの話が集約する、終盤のイベント会場。
観客からの銃弾によって一人のスターが舞台から退場(死亡?)する場面は、アメリカの理想が幻想だったかのように、打ち砕かれると思われた瞬間でした。
理想のアメリカに、酔いしれていた観客たちは目覚めるのか…。
そこへ棚ぼた式にマイクを手にした歌手志望の女性(もう名前も多すぎて覚えきれない)が現れ、歌い始めます。
♪気にしない〜気にしない〜気にしない〜皆で大合唱!!
気にしないの???
いくらThe Show Must Go Onったって、限度があるでしょうに。今そこで一流歌手が撃たれたんですよ。
楽観を通り越して、馬鹿なのかな?と思うのですが、謎の一体感と感動を醸し出しており、笑っていいのか良くないのか、微妙な気持ちのまま映画は終わりました。
ただの音楽映画としても楽しめますが、国家の理想と現実の矛盾を映し出した風刺的作品と言えるでしょう。
ちなみに、ロバート・アルトマン監督はカントリー・ミュージックがお嫌いだそうです。
やっぱりね…(笑)
それでは、また次の映画で!
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