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概要
バロックジャパンリミテッド(3548)は、主に20〜30代女性向けのファッションブランドを展開するアパレル企業です。最近の業績は減収減益ですが、構造改革や新収益源の開発を進めており、市場評価には慎重な姿勢が見られます。本記事では、同社のIR情報を基に株価の割安感を分析しています。
要約(箇条書き)
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企業基本情報
- 設立:2000年、上場:2016年(東証マザーズ)
- 主力ブランド:MOUSSY、SLY
- ターゲット:20〜30代女性
- 売上構成:国内事業が約9割、特に直営店舗とECが中心
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業績状況
- 2025年2月期:売上高581.8億円、当期純利益は▲25.7億円(減収減益)
- 2026年2月期予想:売上高576.0億円、当期純利益13.3億円(減収増益)
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戦略
- 構造改革:不採算ブランドの整理、原価抑制
- 海外展開:米国市場でラグジュアリーデニムを軸、特にEC強化
- 新規事業開発:大人向けアパレルブランドや靴事業の連携
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利益の信ぴょう性
- 売上予想は保守的だが純利益予想は楽観的
- 過去5期の利益達成度は低く、信ぴょう性に懸念
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株式市場の評価
- 利益成長と市場評価に逆相関
- 市場は利益成長を過小評価、PERは過去の高水準から低下中
- 投資判断
- 経営環境、利益要素、市場評価を考慮した上での投資判断が重要
- 現在の株価は過去の評価レンジに基づいた割安感がある可能性
この分析は、投資の参考情報として有益ですが、最終的な投資判断は個別の責任で行うべきです。
(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2025.2期
Q1 どんな会社?
主力ブランドを展開するアパレル企画・販売会社
バロックジャパンリミテッドは、「MOUSSY」「SLY」などのファッションブランドを国内外で展開するアパレル企業である。主に20〜30代女性をターゲットとし、直営店舗やECサイト、百貨店など多様なチャネルで商品を販売している。2025年2月期の売上構成は国内事業が約9割を占め、特に直営店舗とECが中核となっている。
沿2000年に設立され、2016年に東証マザーズに上場、東京都目黒区に本社を置く。ブランド力の高さと商品開発力を強みに、商品企画から販売までを一貫して行うSPA(製造小売業)モデルを採用している点が特徴である。加えて、グループ内に撮影スタジオや物流センターを保有し、高い生産性と短期リードタイム(企画から販売までの期間)を実現している。
Q2 どんな状況?
構造改革と新たな収益源の開発に注力
アパレル業界はファストファッションの普及やライフスタイルの多様化により競争が激化している中、同社は不採算ブランドの整理や店舗スクラップなど、選択と集中による事業効率化を進めている。特に国内では、為替予約や価格改定を通じた原価抑制、在庫コントロール、販売体制の再編など、利益率改善に向けた取り組みを強化している。
また、米国市場ではラグジュアリーデニムを軸に卸・EC・直営店の三位一体で展開。中国では合弁解消によりリスクを一時的に切り離したうえで、引き続きライセンス契約や販売代理契約を通じて収益化を図っている。さらに、新規収益源として、大人世代向けアパレルブランドやBelle社と連携した靴事業など、次世代の柱となる事業の開発も進行している。
Q3 業績は?
2025年2月期実績:減収減益
2025年2月期は売上高581.8億円、当期純利益▲25.7億円となり、前年同期比で減収減益となった。国内は店舗売上が苦戦した一方、ECは堅調であったが、SCブランドや不採算ブランドの整理が影響。海外では中国合弁の投資損失が業績を圧迫した。一方、米国事業は増収増益を達成。販管費の圧縮は進んだが、売上総利益の減少を補いきれなかったことが要因である。
2026年2月期予想:減収増益
2026年2月期は売上高576.0億円、当期純利益13.3億円を見込み、減収増益を予想している。利益面の改善を重視し、売上総利益率の改善と販管費の効率化を進める方針。国内では価格設計と原価抑制を強化し、粗利率60.6%を目指す。中国市場ではリスク解消後もライセンス収入などで安定収益を継続。米国では商品力とEC機能強化により更なる収益拡大を図るとしている。
次に、株価を決める 「利益(EPS)× 市場評価(PER)」 の要素を詳しく見ていきます。
Q4 予想の信ぴょう性は?
利益の要素については、会社の利益予想の「積極性、信ぴょう性、上ブレ傾向」を確認します。
売上予想は保守的、純利益予想は楽観的で信ぴょう性は低い
売上予想の前年比▲1%は、過去5期の変動範囲(▲20%~+18%)の下限寄りにあり、保守的な水準と評価できる。過去5期の売上予想達成度は平均94.2%で、信ぴょう性はやや高いといえる。おおむね未達傾向が続いており、会社予想は現実的な姿勢と判断できる。
純利益予想は未開示だが、過去5期の変動範囲(▲89%~+1032%)に対し、達成度の平均は2025年の異例値(▲214%)を除いても70.3%と低水準である。信ぴょう性は低く、実績との大幅な乖離が継続している。この傾向から、会社予想は楽観的な傾向があると評価できる。
Q5 株式市場の評価は?
市場評価の要素ついては、「利益成長との相関、過小評価の傾向、成長期待の高まり」を確認します。
逆相関の継続と市場の慎重な評価姿勢
利益成長と市場評価の相関性を見ると、2022年にEPSが上昇した際にPERが大きく低下しており、逆相関の傾向が見られることから、市場は利益の持続性に慎重な姿勢を取っていると考えられる。さらに、2021年と直近の2026年予想を比較するとEPSは大幅に上昇している一方で、PERは大幅に低下しており、市場が利益成長を過小評価している可能性が高い。全体として、収益の回復に対して市場は慎重な評価を続けている傾向がうかがえる。
直近期末のPERは不明だが、過去の高水準(2023年:117.78倍)からの低下傾向が続いているとすれば割安感は強いと考えられる。過去5期のPERレンジ内に収まる水準で推移しており、市場の成長期待が高まっている兆しは見られない。
Q6 何が読み取れるか?
買ってもいいのか? →Q7
これまでの分析をもとに、投資にあたっての期待とリスクを「経営環境・利益の要素・市場評価の要素」の観点で整理します。これにより、この企業に投資するかどうかの判断がしやすくなります。
買うならどのくらいか? →Q8
過去の市場評価(PER)をもとに、この企業固有の評価レンジ(過去5期の安値PERの平均~高値PERの平均)を特定します。これにより、現在の株価が割安かどうかの判断がしやすくなります。
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本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。
Q7 買ってもいいのか?
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