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概要
この分析記事では、カシオ計算機株式会社のIR情報を基に、同社の株価が割安かどうかを評価しています。企業の業績や市場評価を整理し、個人投資家が理解しやすく情報を提供しています。特に、増益傾向、事業再編の進捗、そして市場の反応に関する詳細な分析がなされています。
要約の箇条書き
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企業概要: カシオは、時計や教育機器、電子楽器を製造・販売する多角的電子機器メーカー。G-SHOCKなどのブランド力が高い。
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現状分析:
- 減収減益: 2025年3月期は売上高前年比2.6%減、親会社株主に帰属する当期純利益は32.3%減。
- 事業再編により不採算事業を構造改革し、時計と教育機器に経営資源を集中。
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業績予想:
- 2026年3月期は3.1%の増収、104.6%の増益を見込む。主にG-SHOCKの収益改善による。
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利益予想の信ぴょう性:
- 純利益の予想は慎重だが積極的で、信ぴょう性は高いと評価。
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市場評価:
- EPSが低下したにも関わらずPERが上昇しており、過大評価の可能性もある。
- 直近期末のPERは34.7倍で、過去の高値を大きく上回る。
- 投資判断:
- 投資にあたっての期待とリスクを分析し、現在の株価の評価を検討。
- 過去の市場評価を基に評価レンジを特定し、株価が割安かを判断。
このように、カシオ計算機の現状と市場環境を踏まえて、株式投資の方向性を探る分析が行われています。
「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益傾向で市場評価も安定している「いい銘柄」を選んで、いまの株価が「安いとき」かどうかを見極めます。
企業が投資家向けに開示しているIR情報※から、「どんな会社で何がいいのか」を整理したうえで、例年の市場評価を基に割安水準を分析します。
IR情報は事実情報として有益ですが、難解で量も多いので、個人投資家が本来知るべき情報をストーリーでわかりやすく簡潔にまとめました。
個人的な予想や見解、銘柄推奨ではありません。
(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
Q1 どんな会社?
多角的電子機器メーカーとしての独自展開
カシオ計算機株式会社は、G-SHOCKを代表とする時計、電卓・電子辞書を含む教育機器、電子楽器などを手がける多角的な電子機器メーカーである。時計や関数電卓の分野で高い認知度を持ち、特に中高価格帯のG-SHOCKはグローバル市場での安定需要がある。設立は1957年、本社は東京都渋谷区に所在。1980年に東証上場を果たしている。
2025年3月期の売上構成比は、時計が約64%、コンシューマ(教育機器・楽器)が約31%、その他が残りを占めている。特徴としては、ブランド力の高いG-SHOCKシリーズの多層展開に加え、教育向け電卓の世界的普及、さらに電子楽器ではPriviaやCELVIANOといった高付加価値ラインの拡充が挙げられる。
Q2 どんな状況?
事業再編と選択と集中による収益力強化
時計市場では中高価格帯や欧州・インドを中心とした堅調な需要が見込まれる一方、中国市場の低迷や電卓市場の成熟など、事業環境の変化が進行している。こうした中、同社は不採算事業の構造改革を進め、電子辞書の新規開発中止、サウンド事業の事業領域見直し、HR/SMB系システム事業の譲渡などを実行。経営資源をコンシューマ事業と時計事業に集中させる構造へと転換している。
また、成長余地のあるインド・アセアン市場において、アンバサダー施策や直営店戦略を展開し、現地ニーズに応じたブランド発信を強化。中期的には、D2C(自社EC・直営店)比率の引き上げ、製品単価向上を通じて収益基盤の強化を目指している。
Q3 業績は?
2025年3月期実績:減収減益
2025年3月期は、売上高が前年比2.6%減、親会社株主に帰属する当期純利益は32.3%減と減収減益となった。中国市場の低迷やサーバー障害の影響が売上に響いたほか、事業構造改革に伴う特別損失も発生。時計事業の収益は堅調だったが、コンシューマやシステム事業の減益が全体を押し下げた。営業利益は前期並みを維持したが、経常利益と最終利益は大きく減少した。
2026年3月期予想:増収増益
2026年3月期は、売上高が前年比3.1%増、当期純利益は104.6%増と大幅な増収増益を見込んでいる。G-SHOCKを中心とした時計事業の収益改善に加え、電子楽器や電卓事業での製品高付加価値化、教育アプリの普及拡大が利益を押し上げる要因。非継続事業の整理が進み、固定費の削減も寄与する見通し。米国向けの関税リスクは依然不透明ながら、サプライチェーンの最適化や価格対応により業績への影響は一定抑えられると見ている。
次に、株価を決める 「利益(EPS)× 市場評価(PER)」 の要素を詳しく見ていきます。
Q4 予想の信ぴょう性は?
利益の要素については、会社の利益予想の「積極性、信ぴょう性、上ブレ傾向」を確認します。
純利益予想は非常に積極的だが売上は慎重姿勢を維持
売上予想の前年実績比+3%は、過去5期の予想変動範囲(▲22%~+17%、異例値除外後▲0%~+17%)の下限近くにあり、保守的な水準といえる。達成度は平均98.4%であり、信ぴょう性は高いと評価できる。過去に大きな未達は見られず、会社予想は概ね現実的な傾向がある。
純利益予想の前年実績比+105%は、異例値を除く過去5期の予想範囲(▲20%~+42%)を大きく上回っており、非常に積極的な水準といえる。達成度は平均112.4%で、信ぴょう性は高いと判断できる。全体として上振れ傾向が強く、会社予想は控えめな傾向があると考えられる。
Q5 株式市場の評価は?
市場評価の要素ついては、「利益成長との相関、過小評価の傾向、成長期待の高まり」を確認します。
利益成長に対して評価が過熱気味な積極姿勢
EPSとPERの相関を見ると、EPSが低下した2024年・2025年にPERが上昇しており、逆相関の傾向が見られるため、市場は利益水準にかかわらず積極的な評価を行っていると考えられる。5期前と比較するとEPSは49.5円から35.2円へ減少しているにもかかわらず、PERは42.1倍から34.7倍と依然高水準にあり、市場は利益減少を過小評価し、過大評価の可能性がある。
直近期末のPERは34.7倍で、20倍を大きく上回っており割安感はない。過去5期の高値PER(最大26.4倍)を明確に上回っており、市場期待は実力以上に高まっている可能性がある。
Q6 何が読み取れるか?
買ってもいいのか? →Q7
これまでの分析をもとに、投資にあたっての期待とリスクを「経営環境・利益の要素・市場評価の要素」の観点で整理します。これにより、この企業に投資するかどうかの判断がしやすくなります。
買うならどのくらいか? →Q8
過去の市場評価(PER)をもとに、この企業固有の評価レンジ(過去5期の安値PERの平均~高値PERの平均)を特定します。これにより、現在の株価が割安かどうかの判断がしやすくなります。
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本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。
Q7 買ってもいいのか?
◾️どんな記事?有価証券報告書など、有益ながら難解で量も多いIR情報のポイントだけを、同じ形式で、…

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