5月9日~11日、東京ビッグサイトにて開催されている「EVO Japan 2025」。会場にて出展しているGRAPHTブースにて、カスタムオーダーアケコン「REMIXERS iO」の体験会が実施されている。カスタムオーダーアーケードコントローラーという聞きなれない単語に興味を持った筆者が、その特長を体験した感想をお届けする。
用意するものはプラスドライバーとペンチだけ。他の道具は届くのを待つのみ
「REMIXERS iO」は、7つのカテゴリ+オプションからパーツを選び、自分好みの組み合わせで注文できるカスタムオーダーアケコン。届いたパーツを用いて自分で組み立てるセルフ組み立てモデルとなっている。パーツ一式の注文から、パーツ単位の注文も可能で、様々な組み合わせを試すことができる。
アケコンに手を加えることが好きな筆者だが、アーケードコントローラーを1から組み上げるということには2の足を踏んでいる状態だ。その理由としては、パーツの調達が大変であること、そして配線などの手先を細かく使う作業が苦手なことなのだが、本機ではそれらの心配は不要だとGRAPHTブースのスタッフから説明を受けた。その理由として、レバー、ボタンという操作に関連するパーツのみならず、配線や内部の基板にいたるまで全て調達してくれるとのことだ。
現段階では、レバーとボタンはアーケードゲーム市場において長年高い信頼と実績を誇る三和電子製レバー、ボタンは通常のはめ込み式押しボタン、または同社の静音性ボタンから選択できる。そして内部基板は入力低遅延、様々な機種で動作可能なことに定評のあるBrook社の「Gen-5X Fighting Board」を使用するようだ。
もう1つの問題である組み立ての手法がわからない点も、本製品は解決してくれるようだ。付属される解説動画付きのマニュアルを見て組み立てにかかる時間は、なんと2時間程度を想定。また、それでも困難な場合は組み立て代行オプションが用意されてるので、そちらを利用すれば問題なく完成させることができそうだ。
モデル機を実際に試遊。モデル機から感じた長所を紹介!
今回iOのモデル機は2台用意されており、その内訳はレバーレスコントローラータイプとレバータイプのコントローラーがそれぞれ1台ずつだった。筆者は普段使い慣れているレバータイプのコントローラーを試遊した。
本体はアルミ製で、しっかりとした重量感があり、操作中にコントローラーが振動でズレていく、ということはなさそうだった。オプションパーツとのことだが、底面にはかなり大きなすべり止めが付けられている。今回は机の上に置いて操作したが、大会シーンで主に用いることになる膝置き操作においてこのすべり止めがしっかり機能することだろう。
コントローラー全面はボタンサイズが24φ(ファイ。ボタン直径の単位)で統一されていた。アーケードゲーム筐体でいうスタートボタンのサイズ、と考えればわかりやすいだろうか。最近はこの1周り小さめのサイズのボタンが流行傾向であり、全てのボタンを指を大きく動かすことなく操作できるというメリットがある。
そして天板のボタン配置も昨今大流行中の格闘ゲーム「ストリートファイター6」でのプレイを想定したモノだと思われ、攻撃ボタンが11個用意されていた。一般的なアーケードコントローラーの攻撃ボタンは基本8個であり、これを超える攻撃ボタンを実装するには、多くの場合は特殊な工具でDIYをすることがユーザーに求められる。しかし本機では、注文し、あとはボタンをはめ込んで配線を組むだけで済むのは非常にありがたい。
また、大会シーンを意識した機能が2点見受けられた。1つめはコントローラーの開閉機構である。一般的なアーケードコントローラーは底面などにあるネジを外して、分解するというものがほとんどで、筆者も初めて分解を試みたときはコントローラーを破損するのではないかと不安に感じたものである。しかし、iOはコントローラーにマグネット機構を搭載。底を少し上に引き上げるだけで内部機構にアクセスできるのだ。
筆者も先ほど体験したことだが、大会シーンで突然コントローラートラブルが発生することがある。対戦相手が隣にいる手前、パーツの交換や、おかしい個所を見つけるのに時間をかけてしまうのは大変気まずいものだ。これならば即座に内部を確認、配線が緩んでいる、レバーの接触が悪いなどのトラブルがあっても即座に対応できるだろう。もちろん、マグネットの強度も高く、操作中に蓋が外れてしまう、といったことは発生しなかった。
そして2つ目が、コントローラーに持ち手が搭載されていることである。今回筆者は山口県から東京までコントローラーを持ち運んだのだが、できる限り荷物は最小化したい気持ちであった。だが、リュックサックに梱包して、結局大きな荷物になるのが現実である。それが本機ではまるでカバンのように持ち運ぶことができ、筆者からすればこれは待望の機能だと感じた。
パーツ自由度はまだ発展途上、パーツ展開による将来性あり
いろいろと将来性を感じた筆者は、ブースのスタッフに様々な質問を投げかけてみた。例えば、展示モデル以外のボタン配置に応えることは可能なのか? 24φではなく、30φのボタンサイズでの天板のオーダーは可能なのか? といったことだ。
現在のところ、そこまで応えることは残念ながら不可能で、だからこそ「セミオーダー」であるとの説明を受けた。ただし、今後要望が増えていけば、そのようなオーダーにも応えるようにし、最終的なゴールは「フルオーダーアケコン」であるとの頼もしい返事を頂いた。
今後新たなパーツ展開も見据えているとのことで、拡充性も本機の特徴。一度本機を購入すれば、本機のパーツを交換することで好きなコントローラーへとアップデートしていくことができる。
このスタッフの熱気を感じた筆者は、将来有望な愛機づくりに期待できると確信した。自分だけのオンリーワンの愛機を作りたいならば今後の動向にも要チェックだ!!
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