🧠 概要：
この記事は、金融機関の視点からの財務分析に関する内容を探求しています。特に、自己資本比率と債務償還年数の2つの指標に焦点を当て、企業の財務状況を評価するための重要なポイントを示しています。
概要
金融機関が重視する財務分析のポイントを述べ、特に自己資本比率と債務償還年数という指標が企業の安全性や融資可能性に与える影響について詳しく説明しています。これらの指標は、企業の融資申請において重要な要素となります。
要約（箇条書き）
- 財務分析の目的によって、焦点が異なる（企業目線 vs. 金融機関目線）。
-
ポイント①: 自己資本比率
- 自己資本比率は企業の安全性を示す指標。
- 銀行目線での基本段階:
- プラスであること
- 15％以上
- 30％以上
- 自己資本比率が低いと、借入金の返済が難しいと評価される。
-
ポイント②: 債務償還年数
- 債務償還年数は、借入金を返済するまでの年数を示す。
- 計算式: 借入金 ÷ キャッシュフロー
- 理想は7年未満、最低でも10年以内で回収可能であることが望ましい。
- 企業側はこれらの指標を財務分析報告に活用し、融資の相談時にコミュニケーションの基盤とすることが重要。
以前、財務分析する際は①時系列での比較②類似企業との比較が大事と記事にまとめました。
※下記がその記事となります。
上記の財務分析の視点は、どちらかと言うと”企業目線”での財務分析となります。そもそも財務分析は、財務分析する目的によって見るポイントが異なります。例えば、就職活動中で安定志向の学生Aさんは安全性が高い企業を重視するだろうし、ハイリスクハイリターンを求める投資家Bさんは直近の収益性や生産性を重視するなど…。
今回は”金融機関の目線”に立った上で、財務分析のどこがポイントなのか2つお伝えいたします。
※下記2つのポイントは株式会社エフアンドエムのコンサルティングモデル「FAS」を参考にしております。
ポイント①：自己資本比率
安全性分析の一つの指標である「自己資本比率」。
もちろん業種業界によって平均的、参考的な数値はあると思いますが、銀行目線で言うと下記3つの段階があります。
Step１：自己資本比率がプラス
Step２：自己資本比率15％以上
Step３：自己資本比率30％以上
そもそも自己資本（純資産）は、これまでの事業で得られた利益の蓄積（繰越利益剰余金）を表しています。ここがマイナスということは、過去の事業成績が悪く、借入金に頼っている状態といったことを意味します。
当たり前ですが、金融機関は借入金の返済が見込める企業に融資をします。自己資本比率がマイナスあるいは低いということは、返済が見込みにくいといった判断材料になるのは間違いないと思います。
ポイント②：債務償還年数
債務償還年数とは、金融機関から借りたお金を、何年間で返済できるかどうかを表します。
計算式としては、簡単に示すと下記の通りです。
債務償還年数＝借入金÷キャッシュフロー※
※キャッシュフロー＝経常利益＋減価償却費ー法人税等
上記キャッシュフローはこれから先得られるだろう利益や減価償却費等を計画して算出する必要があります。
上記計算式により得られた債務償還年数が、少なくとも10年未満、理想は7年未満が理想となります。
言い方を変えると、金融機関としては貸したお金を最低でも10年以内には回収したいと思っているので、直近の利益や事業計画を見て、10年以内に回収できそうと判断した金額しかお金を貸してくれないと思われます。
企業をサポートする会計事務所側としても、上記指標2つはポイントとして抑えた上で、決算後の財務分析の報告として活用することはもちろん、例えば企業からこれくらいの金額で借入したいんだけどどうかなと相談があった際は、ざっくり債務償還年数を計算し、それくらいの借入金額だったら金融機関に相談しやすいかも、あるいは金額多すぎるかも…みたいなコミュニケーションとして今後活かせるのではと思います。
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