1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!? 「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング#5

日本の経営者の報酬が低いと指摘されて久しい。それでも、実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。成果に見合った報酬を受け取ることは当然といえよう。ただし、大事なのは納得感だ。業績や株価が振るわなければ株主は不満を持つだろうし、なにより従業員の士気が下がる。そこで、今回は自動車業・輸送用機器界の1億円以上もらう役員と従業員の年収格差ランキングを作成。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!?「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング』(全24回)の5では、自動車・輸送用機器業界の年収1億円以上の経営幹部と一般社員の年収格差の実態を調査、実名ランキングで49人を検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

豊田章男会長に迫りホンダも抜いて
従業員の100倍の年収をもらう日産幹部

 トヨタ自動車と日産自動車といえば、販売台数のみならず、各種の経営指標から時価総額まで雲泥の差で、トヨタの圧勝となっている。日産は経営危機にあり、両者はもはや、かなり前からライバルでもないし、比べる対象でもない。

 ところが、である。幹部の待遇を比較すると、両者は「いい勝負」になるのだ。しかも、日産幹部の報酬の絶対額が高いだけではなく、従業員との格差も非常に大きい。

 ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。その経営幹部である人物の年収と従業員の平均年収を比較し、何倍の開きがあるかでランキングを作成した。数字が大きくランキングの上位にいるほど、従業員の待遇との格差が大きいことになる。

 また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかどうかの判断の参考にしてほしい。今回対象としたのは自動車・輸送用機器業界だ。

 では、自動車・輸送用機器業界で「年収1億円以上」の経営幹部で、従業員の年収と格差が大きいのは誰なのか?

 倍率などの数字は後述するが、トップはトヨタの豊田章男会長だった。全ての経営指標が業界平均を上回るから、ある意味、順当といえるかもしれない。

 ところが、そのトヨタの豊田会長に2位、3位、4位と並んで迫るのが、日産の幹部なのである。2位の幹部に至っては、およそ9億円を受け取り、なんと従業員の年収との倍率が102.26倍と大格差が生まれているのだ。

 日産との経営統合が取り沙汰されたホンダのランキング最上位の幹部が52.70倍だから、その約2倍の開きとなる。

 トヨタ、日産、ホンダ、アスカ、ヤマハ発動機、マツダ、スズキ、いすゞ自動車、大同メタル工業、SUBARU、三菱自動車、村上開明堂、アイシン、デンソー、武蔵精密工業、川崎重工業といった企業の幹部たちの年収は幾らで、従業員の何倍をもらっているのだろうか。次ページで実名と実額と共に一挙に見ていこう。