FM TOWNSのカタログ表紙

 特集企画「ニュースリリースで振り返る、時代を築いたPCたち」の第7回は、富士通編その2である。

 富士通編その1は、2025年3月10日に掲載し、同社PCの前身となるマイコンキット「LKIT-8」や、同社初の8ビットパソコン「FM-8」などのニュースリリース全文を掲載した。

 富士通編その2となる今回は、普及モデルの「FM-7」や同社初の16bitパソコン「FM-11」などのほか、ハイパーメディアパソコン「FM TOWNS」、現在にもブランドが続く最初の「FMV」のニュースリリース全文を掲載する。

FM-New 7とFM-77

FM-New 7

 1984年5月10日に発表したのが、FM-7の後継モデルである「FM-New7」と、グラフィックス性能を強化した「FM-77」だ。

 この製品から、「FUJITSU MICRO」の呼称をやめ、「FM」を正式名称としている。FM-New7は、FM-7向けの数千種類のアプリケーションがそのまま利用できるほか、9万9,800円という戦略的価格を打ち出したPC。

 一方、FM-77には、使いやすさと機能の拡張を両立したパソコンとして投入。3.5型FDDの標準搭載や、サブCPUの高速モードの選択により、グラフィックスの描画速度を2倍にするといった機能を搭載している。

 当時の富士通パソコンは、「8ビット御三家」の一角として、人気が高まっており、ニュースリリースには、「今回の発表により、FM-7シリーズは8ビットのスタンダード機種としての地位をさらに不動のものにすると確信しております」と、強気の姿勢が示されている。

FM-77

FM TOWNS

 大きな話題を集め、鳴り物入りで発表されたのが、ハイパーメディアパソコン「FM TOWNS」である。

 1989年2月28日の正式発表前から、パソコン業界では初めてと言われるティザー広告を行ない、高い関心が集まっていたこともあり、富士通本社で行なわれた発表会見には約200人の報道関係者が集まったほどだ。

 世界で初めてCD-ROMドライブを標準搭載。ニュースリリスースでは、「人間の感性に訴える豊かな表現力を実現するためにCD-ROMを標準搭載し、音と絵とプログラムを同時に扱えるハイパーメディアパソコン」と位置づけている。

 配布されたニュースリリースは15ページに渡り、別紙6まで用意されるという力の入り方だった。発売直後の3月10日から12日にかけて、東京ドームを会場としたイベント「電脳遊園地IN東京ドーム」を開催。400台のFM TOWNSを展示してみせた。

 発売後3カ月間の出荷台数は19,000台に達し、順調な出足をみせたが、ソフトウェアの品揃えに苦戦し、その後勢いは失速。1995年11月には累計出荷が50万台に到達したものの、1997年6月24日に発売した「FMV-TOWNSモデルH20」を最後に、FM TOWNSの歴史は幕を閉じた。

FM TOWNSのキャラクターに採用された南野陽子さん

FMV

FMVシリーズ

 1993年10月18日、富士通はPC/AT互換アーキテクチャを採用した「FMVシリーズ」を発売した。DOS/V PCへの参入を打ち出した製品でもあり、ニュースリリースでは、「FMRシリーズ、FM TOWNSシリーズに続くパソコンビジネスの第三の主力製品」と位置づけてはいたものの、FMVシリーズへの本気ぶりは、これまでの製品とは異なるものであり、まさに主軸に据えたPCだった。

 全機種にWindows 3.1を標準搭載し、17万8,000円からという価格設定に加え、今後3年間で100万台を販売目標に掲げるなど、過去に例がない規模の販売目標を掲げた点からも、その本気ぶりが伝わる。

 発表したモデルは、デスクトップPCとノートPCを含めて、6機種17モデル。ニュースリリースは24ページにおよぶものとなっている。

 さらに、富士通は、1994年10月31日には、デスクトップPCの「FMV-DESKPOWER」を発売し、ディスプレイと主要ソフトウェアをセットにしたオールイワン戦略を推進。これが、その後の日本のパソコン販売の主流のスタイルとなり、FMVシリーズの販売にも弾みをつけることになった。

初代FMV



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