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概要
この記事では、コールセンターでの商談獲得に関する体験が描かれています。著者は初めての商談を経験し、結果は失注となったものの、自身の成長や職場の人間関係に気づきを得る過程を通じて、仕事の意味や自己認識を深めています。
要約(箇条書き)
- 研修初日から一ヶ月経過し、仲間の少なさを感じている。
- 電話で初めて商談が決まり、緊張しながらも意欲を感じる。
- 商談の準備に取り組む中で、行動を見直し成果を積み重ねてきた。
- 商談は30分行ったが、結果は失注だった。しかし、上司からの「がんばったな」の言葉が励みとなる。
- 職場での人間関係について考える。特に「ペンギンさん」からの影響を受けるが、彼女の表情に心配を感じる。
- 成果を求める圧力がチーム内での自由を奪う様子を描写。
- 自分のペースややり方を確立する重要性を再認識する。
- 転職活動を思い出し、今の仕事の意義を感じる。
- 来月いっぱいで転職する決意を固める。
渡り鳥さんだ。
違う課に異動してから、顔を合わせるのは久しぶりだった。
渡り鳥「今日も疲れるね」
私「……ですね、」
たったそれだけの会話。それなのに、どこか救われた気持ちになる。
こうやって職場で話せる相手がいることはとても幸せなことなんだな。
前触れなく唐突に
商談、──え?
その日、ふとした瞬間“それ”は起きた。電話口で「うん、いいよ、その話聞かせて」そう言ってくれたんだ。
一瞬、耳を疑ったが、確かに聞き取った。
「〇〇さん商談、入りましたー!」
自分の名前が呼ばれた瞬間、改めて思考が止まった。
え、今、商談決まったの?
…うそでしょ?ほんとに、、
長く、果てしなく遠かった“商談”という言葉が、
ようやく自分の名前と繋がった。
変化と積み重ね
ここまで無駄じゃなかった。
そう思えるくらいには、私は少しずつ行動を変えてきた。
-
よく言われる断り文句に対するアウト返しをメモする
-
相手の話に感情を乗せて“ちゃんと聞く”よう意識する
-
曖昧な表現と断定の使い分けをする
-
フロントトークではしゃべりすぎず、資料紹介までスムーズにする
-
営業“感”ではなく、既存顧客のような関係性を意識し自然な会話をする
誰かが使っている良いフレーズを真似て、
自分の言葉になるまで試し続けりもした。
そんな小さな、正解ともわからない積み重ね、
それが、ようやく今日に繋がったんだと思う。
はじめての商談、はじめての──失注
商談時間は約30分ほど。手が汗ばみ、喉が乾き、頭が真っ白になりながらも、
精一杯やりきった。
だけど──
結果は、失注。
最後の「今はやめときます」で、電話は切られた。
それでも、責任者は言ってくれた。
「がんばったな」
その一言に、不覚にも目頭が熱くなった。
「がんばった」なんて、自分じゃ思えなかったけれど──あ、、そうか、がんばってたのか、
私はがんばったのかもしれない。
ペンギンさん、その後
ふと隣を見ると、
ペンギンさんが変わらず淡々と電話をかけていた。
彼女は、メール獲得から商談まで進む件数が群を抜いて多い。
けれど最近は、自身では商談を担当していないと聞いた。
「私がやると、失注率が高いから…」
「今は、優秀な営業さんに商談は引き継いでるの」
それは、全体で1人だけに許された“特権”だった。
効率的だし、結果も出ている。
でも──
その日、そう話していたペンギンさんは元気がないように見えた。
熱量の差は埋まらない
ペンギンさんの担当営業の人は、
一見とてもやさしく、明るい人だった。
「今月、10件いきましょう!」「全部ふっちゃってください!僕が全部取りますから!」
「コール数も、もっといけますよ!」
悪気はない。むしろ、親切に気にかけてくれるしとても前向きな人だ。彼は商談数ではなくその上の成約数がこの課のトップの人材だった。責任者にも、ため口で冗談交じりに意見を言えるほど、
フランクでここでは特別な人だった。
でも、私は気づいてしまった。
その“熱意”が、私たちにはプレッシャーとなる。
ペンギンさんには、ペンギンさんのペースがある。自由に、自分のやり方で進めるからこそ、結果が出ていた。誰かにずっと見られている感覚というのは、疲れるんだ。
きっとペンギンさんは思っているはずだ。
「あなたは私じゃないし、私もあなたじゃない」
数字を求める声が増えるほど、自由が減って、息が詰まっていく。
心の重圧は仕事効率にも影響するのではないか。
孤独だからこそ、自分のやり方が育つ
その日は、初の商談が決まり、初の商談をさせてもらった。
失注ではあったが、今まで重かった心が軽くなった。
そのおかげか、ペンギンさんとも自然に話せた。
でも、どこか彼女は遠くに感じた。
彼女を苦しめているのは、周囲の期待かもしれない。自分の成果が、他人の評価や管理で決まっていくこと。
その息苦しさが、彼女の笑顔を曇らせていた。
この仕事は、あくまで孤独な戦いだ。誰かに頼れば頼るほど、誰かと比べれば比べるほど、
苦しくなる。
自分のペース、自分の言葉、自分のやり方。
それを手放さないために、私は──
「自分の力で、商談を取り、成約まで決める」
その覚悟が必要だと思った。
忘れてた。自分が転職活動中だということ
最近、この仕事中にはあまり思い出すことがなくなっていた。
そういえば私は、転職活動中だ。
ハミングバードさん、クジャクさん、えんぴつ君、タヌキさん。他にもいたな、、ドコモくんなんて初日しか見てないのに少し恋しく感じるよ
あの頃は、みんなで「一緒にがんばろう」って思えてた。
でも、その「みんな」はもういない。
それでも、この一ヶ月でたしかに言えることがある。
「この仕事に、夢中だった」と。
ただの“つなぎ”としてしか考えていなかったあの日から。
自分の力で、なにかを掴みにいった大事な時間だった。
その日、私は決意をした。
来月いっぱいでここを離れよう。。
あと一ヶ月で心置きなく転職できるようにしよう。
いつまでもこのままではいられない、必ず成果を出してやりきって
転職しよう。
おわりに
これまでの経験で面白かった話、感動した話、学んだことや感じたことを、
振り返りながら書いています。
日々の記録として、
「生きた今日」を、自分の言葉で残していきたい。
※この「【物語の記録】」シリーズは、筆者がこれまで経験したさまざまな“働く日々”の断片や日常を、物語として記録していくエッセイ連載です。現在は【コールセンター編】として、転職活動中に出会った登場人物たちとの心の揺れを描いています。
1話完結型で読めるので、気になる回から読んでもらえたらうれしいです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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