米国の消費者物価指数(CPI)は、4月に伸びが加速したと見込まれている。前月は9カ月ぶりの低い伸びだった。多くの企業が関税引き上げに伴う価格転嫁を図る中、全体的な物価高加速の前兆となる可能性がある。
ブルームバーグのエコノミスト調査によると、食品とエネルギーを除いたコアCPIは4月に前月比0.3%上昇の見込み。3月は0.1%上昇だった。
13日発表の4月の米CPIでは、米国の関税引き上げに伴う価格転嫁がまだ限定的であることが示される見通しだが、多くのエコノミストはその影響が時間と共に顕著になると予想している。
そのため消費者の間では、インフレだけではなく、経済全体や雇用市場を巡る懸念が強まっている。15日発表の米小売売上高は、そうした懸念を幾らか反映する可能性がある。3月は1.5%増と堅調な伸びを示したものの、4月は自動車の駆け込み需要が剥落(はくらく)し、小売売上高はほぼ横ばいになったと見込まれている。

トランプ政権が一部関税を一時的に猶予し、国別の貿易合意締結を目指していることから、一部企業は値上げを先送りする可能性がある。米当局者は週末、スイスで中国との貿易協議を行っている。
一方、最近の製造業やサービス業に関する調査では、投入コスト上昇によって価格調整を余儀なくされる可能性があることが示されている。15日発表の4月の米生産者物価指数(PPI)では、卸売りコストにかかる圧力の変化が明らかになるだろう。
CPIと小売売上高は、今週相次ぎ発表される米経済指標の目玉だ。また、失業保険申請件数や、5月のミシガン大学消費者マインド指数の速報値にも、投資家の注目が集まるだろう。
このほか、4 月の米住宅着工件数や鉱工業生産も発表される。一方、米金融当局者の発言も予定されており、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が15日、金融政策の見直しについて発言する見通しだ。FRBのジェファーソン副議長、クーグラー理事やウォラー理事も、それぞれ別のイベントに出席する予定。
原題:US Inflation Starting to Stir as Tariff Threat Looms: Eco Week(抜粋)