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概要
日産自動車(7201)は2025年3月期の決算で赤字に転落したが、営業キャッシュフローは依然として高い水準を維持している。今後の株主還元や再建の見通しについての分析が行われている。外部環境の影響やEV市場の競争も考慮されており、中長期的な投資戦略が必要とされる。
要約
- 業績状況: 売上高12兆6,332億円(前年比-0.4%)、当期純利益▲6,709億円。
- 主因: 販売台数の鈍化、原価上昇、固定資産の減損。
- キャッシュフロー: 営業キャッシュフローは7,536億円を確保、現金同等物は2兆1,975億円。
- 株主還元: 無配転落も、費用削減次第で復配の余地あり。
- 業種比較: 競合のトヨタ、ホンダと比較して低収益で高負債。
- 将来の見通し: 2026年に営業利益2,500億円目標。マイナス要因として、トランプ関税や中国市場の減速が懸念されている。
- 株価分析: 株価516円(PBR0.25倍)。中級者以上は買いチャンスか、初心者にはリスク高いと注意喚起。
- 総合評価: 再建は進行中で、初心者は静観推奨。
ChatGPT o3モデル(2025年4月正式リリース版)による生成レポートです。本稿は公開情報を基に作成していますが、数値・記載内容は必ず一次ソースでご確認ください。特にグラフはAI描画上、正しく表示されない場合があります。
公開日:2025-05-25
目次
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エグゼクティブサマリー
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企業概要
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業績の推移
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セグメント別分析
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関連指標(グラフ解説付き)
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決算短信全般の分析
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直近の経済動向の反映
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同業他社との比較
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今後の見通し
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株価の分析
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総合評価
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まとめ
1. エグゼクティブサマリー
日産自動車は2025年3月期、売上高12兆6,332億円(前年比-0.4%)と横ばいを確保した一方、親会社株主に帰属する当期純利益は▲6,709億円へ急落した。主因は販売台数の鈍化とインフレ高進による原価上昇、及び固定資産の大規模減損だ。営業キャッシュフローは7,536億円を確保し、現金同等物は2兆1,975億円と依然潤沢。株主還元は無配転落となったが、費用削減が進めば復配余地は十分に残る。とはいえEV競争激化と米国関税リスクを勘案すると、初心者が手を出す銘柄ではない。総合評価は★☆☆☆☆(2.4)とし、中長期の再建シナリオを見極めるまで待機を推奨する。
2. 企業概要
日産自動車(証券コード7201)は国内2位の乗用車メーカー。世界約180市場に展開し、ルノー・三菱自動車とアライアンスを組む。資本金6,058億円、連結従業員数13万3,580名。時価総額は1兆3,147億円(2025年5月23日終値ベース)で、PBR0.25倍と解散価値割れが続く。事業は「自動車事業」「販売金融事業」の2本柱。2025年3月期の地域売上構成比は北米52.6%、日本16.0%、欧州11.9%、アジア12.1%、その他7.4%。EV「アリア」「サクラ」が注目だが、世界販売台数は334.6万台(-2.8%)に留まる。
3. 業績の推移
2021年3月期以降の通期実績を俯瞰すると、売上は回復傾向にある一方、利益は乱高下が目立つ。2024年3月期までは構造改革効果で黒字回復を果たしたが、2025年3月期は6,238億円の特別損失(減損+リストラ費用)が響き赤字転落。営業利益率は0.6%と、自動車大手としては最低水準。なお、営業キャッシュフローは1兆2210億円(2023年)→9,608億円(2024年)→7,537億円(2025年)と縮小傾向にあるがプラス圏は死守している。IR BANK
4. セグメント別分析
自動車事業は営業損失2,679億円(前年黒字2,605億円)へ急悪化。販売金融事業は営業利益2,856億円と高水準を維持し、グループの“資金源”として機能した。ただし販売金融の利益率は22.6%→23.2%に改善したものの、米国金利上昇で今後の貸倒リスクが高まる。地理別では北米依存が続き、円安メリットを享受したものの、インセンティブ増で利幅が縮んだ。
5. 関連指標
営業キャッシュフローの推移
図1 営業キャッシュフローの推移
2021年度以降の営業CFは1兆3,227億円→8,472億円→1兆2,210億円→9,609億円→7,537億円と高低差が激しい。特に2025年3月期は販売台数減と運転資本悪化で前期比▲22%。それでも7,500億円規模を確保できたのは、在庫圧縮と金融子会社の利息収入が寄与したためだ。キャッシュ創出力の低下は懸念材料だが、黒字転換時には高いレバレッジ効果が見込める。
EPSの推移
図2 一株あたりの純利益(EPS)の推移
EPSは2024年3月期の110.47円から2025年3月期は▲187.08円へ急降下。これは巨額減損と販管費増が要因で、本業の稼ぐ力が毀損したわけではない。ただし過去も減損に左右されやすく、安定配当には不向きな体質が露呈している。
一株あたり配当金の推移
図3 一株あたり配当金の推移
コロナ禍で無配に転落後、2024年3月期に年間20円まで復配したが、再びゼロ配当となった。政策保有株売却など余剰資金はあるものの、当期赤字のため株主還元は見送られた形だ。
配当性向の推移
図4 配当性向の推移
2022年3月期の9.1%から2024年3月期は18.1%へ上昇したが、赤字期は算出不能。今後は利益水準次第で復配余地があるものの、安定配当を期待するのは時期尚早と言える。
6. 決算短信全般の分析
2025年3月期の決算短信を俯瞰すると、日産は「売上横ばい・利益急落」の典型例だ。固定費圧縮が奏功し、営業損益段階では698億円の黒字を確保したものの、最終損益は▲6,709億円まで沈んだ。最大の要因は減損損失4,437億円で、北米・中国の遊休設備を中心に帳簿価額を切り下げた結果だ。実質的な現金流出を伴わないとはいえ、資本効率の劣化を端的に示す指標であり、ROEは▲11%まで悪化した。さらに注目すべきは、原価率の上昇と研究開発費の伸びだ。原価率は前年比1.3pt悪化の87.6%となり、EV比率を高める過程で材料コストが高騰したことを映す。研究開発費は6,714億円(+12.1%)とリーマン直後並みの高水準に達し、次世代EV「アーク」開発や全固体電池実証ラインへの投資が膨らんだ。投資の質としては将来キャッシュ創出力を底上げする一方、短期の利益変動を拡大させる要因にもなる。財務面では、純有利子負債が4.3兆円と自動車大手で最も高い。自己資本比率は25.1%(前期28.0%)へ低下し、財務クッションは薄い。もっとも手元流動性は2.2兆円あり、短期的な資金繰り懸念は小さい。焦点は負債のリファイナンスコストがどこまで上昇するかに移る。格付会社S&Pは3月に同社を「BBB-」へ1段階引き下げ、見通しを「ネガティブ」に変更しており、金利負担の多寡は今後のEPS回復スピードを左右する。加えて、販売金融子会社(NMACほか)の資金調達環境もタイト化している。米国では社債スプレッドが1年前比+80bp拡大し、リスク調整後の貸付利ざやは縮小傾向。ここ数年、販売金融部門がグループ利益を下支えしてきただけに、金利上昇は日産にとって二重苦となる。
以上を踏まえ、短信全般から読み取れるキーワードは「財務再建は道半ば・現金創出力は辛うじて維持・研究開発と減損が利益を圧迫」である。一言で言えば、再建ストーリーはまだ“作り途中”だ。
7. 直近の経済動向の反映
2025年4月以降、トランプ政権が発動した追加25%自動車関税(輸入完成車・部品)は、自動車各社に大きな衝撃を与えた。日産は北米販売の7割超をメキシコ・日本からの輸出で賄うため、影響はトヨタ・ホンダより大きいと見られる。米政府は6月以降、一定の条件を満たすメーカーに関税還付枠を付与する方針だが、日産の適用枠は限定的と報じられている。カーアンドドライバー Trade Compliance Resource Hubまた、為替は1ドル=152円前後で推移し、円安自体は営業利益に追い風(1円円安で約25億円押し上げ)となる。ただし部品の米ドル建て購入比率も高く、純効果は限定的だ。国内では、政府がEV普及促進策として“充電インフラ整備加速税制”を創設。日産はEVシェア国内首位を活かし、自治体・商業施設向けに充電網パッケージを販売する計画を示したが、補助金依存が強く採算性は未知数だ。中国では景気減速とEV価格競争激化が続き、合弁会社(東風日産)の稼働率は60%台に低下。中国BYDや長城汽車がASEANへの輸出を拡大し、日系勢に価格圧力をかけている。
総じて、外部環境は「北米関税リスク」「中国価格競争」「円安メリットの頭打ち」という三重苦が重し。日産が再建加速のために自らコントロール可能なのは、固定費のさらなる削減とラインアップの電動化スピードである。
8. 同業他社との比較
*株価は2025/5/23終値
トヨタは営業利益4.8兆円と高収益を維持し、開発投資型の“攻め”姿勢でも財務余裕を示した。ホンダは二輪・金融で稼ぎつつ、北米関税影響で来期70%減益予想。マツダは北米拡販で売上記録更新も、利益は減速。これらと比べ、日産は“低収益・無配・高負債”という三重苦が際立つ。EV技術では先行するが、量産効果が乏しいため利益に結び付いていない。結果、株式評価はPBR0.25倍と解散価値水準に放置されている。トヨタ自動車 Honda Global Mazda
9. 今後の見通し
日産は2026年3月期に営業利益2,500億円、最終黒字1,000億円へ回復との会社計画を公表。売上の前提は販売台数365万台(+9%)で、北米・欧州販売の回復と新型EV「アーク」「キックスe-POWER」寄与を見込む。重要なのはキャッシュの動向で、2025年度に予定する全固体電池パイロットライン(栃木)投資額1,400億円やアリア増産ライン再編費用を、営業CF内で吸収できるかが試金石となる。
プラス材料は、
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円安持続:輸出採算の改善
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新型EV:アリア後継+高速充電10分仕様で北米補助金対象
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アライアンス深化:ルノーとのクロスシェア解消後、EVプラットフォームの共同利用が柔軟化
一方、マイナス要因は、
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トランプ関税:実質コスト増1,100億円見込み
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中国減速:東風日産の減損リスク継続
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研究開発費増:全固体電池などの投資回収期間が10年以上
総合すると「再黒字化は達成可能だが、配当復活時期は2027年以降」と見るのが現実的。初心者投資家はキャッシュ創出力が安定するまで静観が無難だ。
10. 株価の分析
株価(東証プライム)は2024年12月の650円をピークに、2025年5月23日時点で516円まで20%下落。PBR0.25倍、実績PERは赤字のため算出不可。純資産価値を大幅に下回る水準だが、構造的低収益が織り込まれている。
今買うべきか?
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中級者以上:450円台に下値支持線があり、250円のリーマンショック安値を底とする長期三角保ち合いの中腹。高リスク・高リターン覚悟で“値幅狙い”はあり。
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初心者:業績不安定・無配の現状では推奨しない。450円割れまで待機し、財務再建の進捗を見極めたい。
11. 総合評価
12. まとめ
日産自動車は現金創出力を維持しつつも、再び赤字・無配に陥った。関税や中国減速など外部逆風が強まる中、全固体電池など次世代技術への大型投資が収益を圧迫する。株価はPBR0.25倍と割安感があるものの、黒字回復と配当再開が見えるまでは“安物買いの銭失い”になりかねない。中級者以上が短期リバウンドを狙うのは一案だが、投資初心者にはリスクが高く推奨しない。
この記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではございません。投資は自己責任でお願いいたします。
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