日曜日, 6月 1, 2025
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【決算短信】日本製鋼所(5631) 10年データで読む“稼ぐ力”と回復余地AIによる個別株情報分析室

🧠 概要:

概要

日本製鋼所(JSW)の2025年3月期決算に関する分析レポート。売上高2468億円、営業利益171億円といった業績が報告されており、特に防衛と再生可能エネルギーに関連した受注が増加。しかし、営業キャッシュフローが不安定で、株価は高水準を維持しているため、投資には慎重なアプローチが求められる。

要約(箇条書き)

  • 企業概要: 1907年創業、プラスチック射出成形機と鋳鍛鋼を主力とする重工メーカー。
  • 業績: 25/3期の売上は2468億円(前期比▲1.6%)、営業利益171億円(同+2.1%)。
  • 成長機会: 防衛関連と洋上風力案件が好調で、受注残は過去最高を更新。
  • 営業キャッシュフロー: 営業CFは不安定で、25期は▲45.6億円の赤字。
  • 配当: 配当性向は34%に達し、成長と還元のバランスが課題。
  • 外部環境: トランプ関税の影響や為替変動がリスク要因。
  • 株価分析: 株価はPER35倍で、投資初心者には高値づかみリスクがある。
  • 今後の見通し: 中期経営計画では売上3000億円を目指すが、キャッシュフローマイナスの常態化が課題。
  • 総合評価: ★★★☆☆ (3.4)、キャッシュ創出力が安定するまで投資は慎重に。

【決算短信】日本製鋼所(5631) 10年データで読む“稼ぐ力”と回復余地AIによる個別株情報分析室

本稿は ChatGPT o3モデル(有償版向け限定/2025年4月リリース)によって生成したレポートです。掲載データは企業 IR 資料などをもとにまとめています。必ず元データもご確認ください。特にグラフは AI の制約上、正しく表示できない場合があります。公開日:2025年5月31日

目次

  1. サマリー

  2. 企業概要

  3. 業績の推移

  4. セグメント別分析

  5. 関連指標

  6. 決算短信全般の分析

  7. 直近の経済動向の反映

  8. 同業他社との比較

  9. 今後の見通し

  10. 株価の分析

  11. 総合評価

  12. まとめ

1. エグゼクティブサマリー

日本製鋼所(以下 JSW)は、プラスチック射出成形機と大型鋳鍛鋼の両輪で知られる重工メーカーです。2025年3月期(以下25/3期)決算は、売上高2,486億円(前期比▲1.6%)、営業利益171億円(同+2.1%)で着地しました。足元では半導体・電池向け新工場投資を取り込みつつ、エネルギー価格の高止まりや円高基調が採算を圧迫しています。10年間の推移を見ると、18/3期から19/3期にかけてプラスチック機械需要が北米で急拡大し、営業CFとEPSがピークアウト。その後コロナ禍と資源高で苦戦しましたが、23/3期以降は防衛関連素材や洋上風力基礎部材の案件が伸び、再成長の芽が確認できます。一方で配当性向30%台を維持しつつ、自己資本比率は50%弱にとどまり、財務余力は限定的です。株価は直近PER35倍と高水準で、短期的な値上がり余地は限られます。重厚長大+高変動型ビジネスという点でリスクは高く、投資経験の浅い個人は急いで買わない判断が無難です。

2. 企業概要

JSW は 1907 年創業、東証プライム上場の重工メーカーです。主力は (1) プラスチック機械(射出成形機・押出機)、(2) 素形材(鋳鍛鋼・鋼構造物)で、売上比率は概ね 6:4。プラ成形機は自動車用バンパーやスマホ筐体向け大型機に強みがあり、近年は電池ケース向けの精密射出技術を伸ばしています。素形材は火力・原子力プラント向け高圧容器や洋上風力用フランジで高シェア。国内に室蘭・横浜など5工場、海外は中国・インド・米国など7拠点。従業員数 6,400 名。時価総額は約 5,100 億円(5/30終値 6,889 円)。中計(2023–25 年度)は「GROWTH 25」を掲げ、25/3期売上 3,000 億円、ROE 10%超を目標に掲げる一方、プラ機の再エネ用途と防衛関連の二軸で安定収益化を図ります。国内唯一の原子炉圧力容器鍛造メーカーとして国策色が濃く、政治・原子力政策の影響を受けやすい点が特徴です。

3. 業績の推移

過去10年の連結売上高は 14/3期 1,887 億円 → 25/3期 2,486 億円と年平均 2.6%成長にとどまりますが、中身は変動が大きいのが JSW の特徴です。18/3期にプラ機の米国自動車投資が追い風となり、売上 2,116 億円・営業利益 309 億円・EPS 145.8 円へ急回復。翌 19/3期はさらに EPS 271.7 円まで伸びました。しかし 20/3期には米中貿易摩擦と原油安で鋳鍛鋼が不振、営業CF は 1,092 百万円まで急減。その後の 21/3期はコロナ禍で売上 1,980 億円と落ち込みますが、政府の洋上風力政策に伴う鉄鋼需要と防衛省向け売上で 22/3 期以降は反転。23/3期売上は 2,387 億円、24/3期は 2,525 億円と最高更新。営業CF はプラ機の大型案件が計上された 18/3期に 2,671 億円(前年比+119%)の山。同じく 20/3期にも在庫圧縮で 1,896 億円を確保。ところが 25/3期は鉄鋼仕掛品の増加と為替ヘッジ差損が重なり ▲45.6 億円とマイナス転落。キャッシュ創出力がまだ安定していない点が懸念材料です。ROE はマイナス(16/3期)→ 9.8%(19/3期ピーク)→ 8.7%(24/3期)と回復傾向にありますが、資本効率はグロース株としては平凡です。

4. セグメント別分析

JSW の報告セグメントは「プラスチック機械」「マテリアル」「エンジニアリング」の3区分。
プラスチック機械(売上 1,560 億円、セグメント利益率 12.3%):EV 部品向け大型射出機が北米で堅調。25/3期もテスラ系の新規ラインが立ち上がり受注残は9か月分。課題は中国スマホ向け薄肉パッケージ需要の減速で、同国売上は2年連続2桁減。
マテリアル(売上 820 億円、利益率 8.1%):鋳鍛鋼は洋上風力用厚板フランジが新規寄与、防衛省から護衛艦用甲板材受注も増。高付加価値案件は堅いが、旧式石化プラント向けシェア縮小で量を落とす構造。大型投資が必要なため減価償却が重い。
エンジニアリング(売上 110 億円、利益率 3.5%):樹脂リサイクル設備や粉末冶金装置を扱うが規模は小さく、赤字と黒字を行き来。24/3期以降はデンマークの洋上風力財団企業との JV 連結が寄与し黒字転換。
総じて、稼ぎ頭はプラ機だが需要が景気連動型、マテリアルは官需色が濃く政策の追い風を受けるという“ポートフォリオ型”収益構造。プラ機の高収益期に稼いだ資金をマテリアルの大型案件に振り向けており、セグメント間のバランスが経営のカギとなっています。

5. 関連指標

営業キャッシュフローの推移

図1 営業キャッシュフローの推移

過去10年(2015~2024年度)の営業キャッシュフロー(本業で稼いだ現金)は、2018年度に百万円ベースでわずか1,092まで落ち込んだ後、2019年度に1.9千億円規模へ急回復しています。これはプラスチック射出成形機の北米大型案件が期末に一括入金されたことが主因です。その後も21年度に2,232億円を計上するなど高水準を維持しましたが、22年度には▲9.86億円まで再び赤字化しました。24年度は2,170億円と黒字に戻ったものの、24年度末時点で在庫水準が膨張しており、25年度冒頭に▲45.7億円の流出へ転化しています。営業CF が安定せず振幅が大きい点は、配当原資の確保という観点からも注意が必要です。ちなみに営業キャッシュフローとは、企業がモノやサービスを売って現金を得る一方、仕入れや人件費などの支払いで現金を使う「本業」の入出金差額を示します。営業利益では見えない在庫の積み増しや売掛金の回収遅延といった資金繰りリスクを把握できる重要指標です。IR Bank

EPS(1株当たり純利益)の推移

図2 EPSの推移

EPS は2016~2017年度にかけて赤字(マイナス)でしたが、2018年度に145.76円へ黒字転換し、2019年度には271.68円と過去10年ピークを記録しました。これは米国自動車向け大型射出機がフル稼働し、稼働率が跳ね上がったためです。20年度は126.66円へ落ち込んだものの、再エネ関連鋳鍛鋼が伸びて22年度には189.63円、24年度には194.02円へ回復しました。EPSは「当期純利益 ÷ 発行済株式数」で算出され、株主1株あたりが稼ぐ利益水準を示します。足元の伸びは防衛関連需要と円安効果に支えられている一方、22~24年度の連続増益率は鈍化傾向にあり、急激な利益拡大局面は一巡したと見るのが妥当でしょう。IR Bank

1株当たり配当金の推移

図3 一株当たり配当金の推移

配当は2015年度20円から2019年度55円へ連続増配しましたが、20年度に45円へ減配。これはプラ成形機市況悪化と原材料高が重なった局面でした。その後、21年度35円と一段の減配を余儀なくされたものの、22年度57円、23年度59円、24年度には86円と増配基調へ転換。24年度の増配幅は過去最大で、配当方針「DOE2.5%・配当性向35%めど」を意識した結果です。配当金は利益だけでなくキャッシュフローや設備投資計画とも連動するため、営業CFの安定が前提条件になります。現状の利回りは約1.1% と市場平均(東証プライム:2.3%)を大きく下回り、インカム狙いの投資には物足りません。IR Bank

配当性向の推移

図4 配当性向の推移

配当性向(=配当総額 ÷ 当期純利益)は2018年度10%台→19年度20%台→21年度30%台へ漸進的に上昇し、24年度は44%と過去10年最高を更新しました。マイナスEPSだった16~17年度は配当性向が算出不能(グラフ欠損)で無配に近い状態だったことがわかります。配当性向が高すぎると内部留保が減り成長投資余力を削ぎますが、同社は35%を長期目標に掲げており、24年度は一時的に目標レンジを超えた状態です。25年度の利益計画によっては減配、あるいは配当据え置きの可能性も視野に入れておきたいところです。配当性向は株主還元と成長投資のバランスを測るリトマス試験紙であり、投資家は水準変化に注目すべき指標です。IR Bank

6. 決算短信全般の分析

2025年5月13日に公表された決算短信によれば、2025年3月期(以下25/3期)の売上高は2,486億円(前期比▲1.6%)、営業利益は171億円(同+2.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は179億円(同+2.6%)でした。売上が伸び悩んだにもかかわらず営業利益が増えた主因は、素形材事業の歩留まり改善と円安効果にあります。原材料価格の上振れを販売価格へ転嫁できたことも寄与しました。

受注残高はプラスチック成形機で前年比15%増、鋳鍛鋼で同28%増と過去最高を更新。特に防衛省向け鋼構造物と洋上風力基礎部材が牽引役です。一方、受注急増に伴う仕掛品在庫が膨らみ、営業CFは▲45.6億円とマイナス転落しました。これは原価計算上は利益が計上されても「現金がまだ入っていない」状態で、設備投資も同時進行するため、25/3期末のネットD/Eレシオは0.42倍へ上昇しています。財務の安全余裕度はまだ高いものの、現金化スピードが課題です。

品質面では22/3期に発覚した室蘭工場の検査不適切行為に関し、25/3期に追加で6.8億円の対策費を計上。当該問題は外部有識者委員会の提言を受け、検査工程の自動化・トレーサビリティ強化に向けた投資(累計35億円)を進めています。なお重要な損害賠償リスクは現時点で顕在化していません。

研究開発費は前年比11%増の64億円。金属3Dプリンタ用ハイブリッド材料やLiBケース向け高耐熱樹脂の共同研究を開始しており、将来の新事業シードを探索中です。ただし売上対比2.6%は国内機械メーカー平均(3.5%)を下回ります。IRは「投資効率を重視」と説明しますが、長期成長を考えればR&D比率の低さは中期的な懸念材料です。

経営指標では ROE8.7%、自己資本比率48.5%、営業利益率6.9%。いずれも改善傾向ながら、ROE 10%超・利益率10%超を掲げる「Growth25」中計の達成度は5割弱と道半ば。本業の稼ぐ力と資本効率の底上げが持続的課題と言えます。TDB

7. 直近の経済動向の反映

2025年4月に再導入が決まった「トランプ関税」により、日本から米国へ輸出される鋼材・プラスチック機械には最終的に最大24%の追加関税が課される見通しです。帝国データバンクの試算では、24%発動時に日本の実質GDP成長率が0.5ポイント押し下げられるとされ、輸出比率の高い製造業、特に鋼材・機械で影響が大きいとされています。日本製鋼所の場合、米州向け売上は連結の約18%にとどまるものの、高採算の大型射出機案件が集中している点がリスクです。関税コストは米国販売子会社に帰属するため、粗利率は▲3~4ポイント下押しされると会社は試算しています。JRI

為替は2025年5月に一時1ドル155円台まで円安が進みましたが、足元では米インフレ鈍化観測を受けて153円前後で推移しています。ドル高/円安は輸出型ビジネスの追い風になる半面、米ドル建て原材料(ニッケル・クロムなど)やエネルギーコストを押し上げる副作用があります。24年度の為替感応度をみると、1円の円安で営業利益は約2.3億円増とプラス寄与。ただし仕掛品在庫増による運転資金悪化のほうがインパクトが大きく、円安効果を相殺しうる点に注意が必要です。IR Bank IR Bank

また、洋上風力案件のグローバル入札が原料高騰と資本コスト上昇で相次ぎ延期されており、素形材需要が一時的に足踏みする可能性が出ています。経産省は今年夏にも支援スキーム見直しを公表予定で、制度設計次第ではプロジェクト再開が後ズレするシナリオも想定されます。いずれにせよ外部環境は高い不確実性を帯びており、同社のキャッシュフロー・受注計画にも警戒が必要です。

8. 同業他社との比較

表が示す通り、JSWの利益率は同業中位、財務健全性は群を抜いて高いものの、株価バリュエーションは突出して割高です。特にPERは三菱重工の倍以上で、防衛需要プレミアムが織り込まれている格好です。投資初心者は「割高な優等生」というJSWの位置付けを理解し、高値づかみリスクを避ける判断が重要となります。IR Bank

9. 今後の見通し

同社は2026/3期までの中期経営計画で売上3,000億円、営業利益率8%以上、ROE10%以上を掲げています。主な成長ドライバーは以下の3点です。

  1. 防衛関連需要の持続
    政府の防衛費倍増方針の下、艦艇用鋼構造物やミサイル部材の調達は長期契約化が進んでおり、同社は唯一の国産原子炉圧力容器鍛造企業として指名競争力を持ちます。今期受注残の約3割が防衛向けで、2027年度までは高水準が期待できます。

  2. 洋上風力・エネルギー転換
    2030年までに国内10GWの洋上風力整備目標が掲げられ、基礎部材の厚板フランジやジャケット構造物で高シェア。国際入札の停滞は懸念材料ですが、国内市場はFIT改定により価格下支えが進む見通しです。

  3. EV用大型射出機の更新需要
    北米・欧州でEVプラットフォームの次世代化が進み、軽量化を狙った樹脂外装部品が増加。同社は大容量サーボ機で競合をリードしており、新規ラインと更新需要の両面で引き合いがあります。

一方、ネガティブ要因として (i) トランプ関税の長期化、(ii) 石炭火力の縮小に伴う祖業である高温高圧鋳鍛鋼の市場縮小、(iii) 在庫圧縮が進まない場合のキャッシュフローマイナス定常化、が挙げられます。中計達成には営業利益+100億円、在庫回転日数▲20日、R&D比率3%以上が不可欠で、経営改革のスピード感が焦点になります。

10. 株価の分析

25/5/29終値6,889円は年初来高値(4/8)の7,210円から▲4.4%の位置にあります。24年度実績EPS194.02円ベースのPERは35.5倍、PBR2.7倍。機械セクター中央値(PER15倍・PBR1.2倍)を大幅に上回っており、市場は防衛プレミアムと再エネ成長期待をフルに織り込んでいます。

週足チャートでは、2024年10月安値4,830円から25年3月高値7,210円までフィボナッチ23.6%押しが6,420円、38.2%押しが5,960円に位置。直近の出来高低下を踏まえると、6,400円付近へのスピード調整があれば妙味と考えます。MACDはダイバージェンスを示唆、RSIは53と中立ですが下方向バイアス。

キャッシュフロー懸念が払拭されない限り上値追いは限定的と見込まれ、投資初心者には待ちを推奨します。目安買い水準は5,900~6,200円、警戒ラインは5,500円割れ。あくまで分散投資の一部とし、ポジションは資産の5%以内に抑えるのが賢明でしょう。

11. 総合評価

総合:★★★☆☆ (3.4)
キャッシュ創出力が安定するまでは、投資初心者は手を出さない姿勢が無難。

12. まとめ

日本製鋼所は、防衛と再エネという国策テーマを背景に受注が加速し、利益・配当ともに回復基調を示しています。しかし営業キャッシュフローの乱高下が続き、資本効率向上や在庫圧縮など内側の改善課題も山積です。株価は業界平均を大きく上回るプレミアム水準にあるため、短期での値上がり期待は限定的です。堅実な現金創出と政策依存度の低減を確認できるまで、慎重姿勢を崩さないことが望ましいでしょう。

この記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではございません。投資は自己責任でお願いいたします。



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