著者によれば、『自己肯定感の磨き方』(ジェリー・ミンチントン 著、弓場 隆 訳、ディスカヴァー携書)に掲載されているのは“人生を変える強力で実用的なアイデア”の数々

したがって、単に読むだけではなく、それらに基づいて行動し、実際になにかを経験してほしいのだそうです。いいことが起こるのを待つのではなく、そのいいことを自分でつくり出すように働きかけることが大切だというわけです。

もちろん、どれだけ心の持ち方が前向きで、どんなに努力をしたとしても、疲れ果てて打ちのめされたような気分になることもあるでしょう。しかし、それでも解決策は必ずあるもの。

うまくいかずに落ち込むことは誰にでもある。そんなときは、この状態は一時的であり、最終的に自分は必ずうまくいくと強く信じるべきだ。そのために、自己肯定感を磨く必要がある。

自分にこう言い聞かせよう。

私には限界はなく、その気になれば何でもできる、と。(「はじめに」より)

大切なのは、「自己肯定感はつねに一定の状態ではなく、そのときの状況によって揺らぐ」ということ。だとすれば、健全な自尊心を持ち続ける努力を怠らないことが重要なのではないでしょうか。著者も、次のように主張しています。

「自分は成功するに値する人間だ」という信念を持とう。そうすれば、自分の成功を素直に受け入れて充実した人生を送れるようになる。(「はじめに」より)

こうした考え方に基づいて書かれた本書のなかから、きょうは第2章「いい思考の習慣をつける」に焦点を当ててみたいと思います。

いい思考の種を植える

心のなかに浮かぶひとつひとつの思考を、「種」と考えてみるべきだと著者は述べています。日常生活のなかでいくつもの種をまけば、やがてその収穫を得ることになります。そうやって、思考が現実になっていくわけです。

思考の種をまくことは、「思考の口座」に預け入れをするようなものだ。時間がたてば利息とともに引き出すことができる。当然、預け入れる思考が多ければ多いほど、引き出すものも多くなる。(42ページより)

ポジティブなことを考えて過ごしていると、ますますポジティブな人間になって人生が楽しくなるはず。その結果、ポジティブで楽しい人や状況を引き寄せることになるでしょう。

逆にネガティブなことばかり考えていると、ますますネガティブな状況を引き寄せるもの。たとえば不平ばかりいっていると、さらに不平をいいたくなる状況に身を置くはめになってしまうということです。

「類は友を呼ぶ」ということわざがある。周囲を見渡して、自分がどんな環境にあるか、どんな人間とつきあっているかを調べてみよう。そうすれば、この格言が真理であることがわかる。(43ページより)

いままでとは違う状況に身を置いて、いままでとは違う人とつきあいたいのなら、いままでと違う思考をする必要があるのです。(42ページより)

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いつも物事のいい面を見る

生きていくうえで大切なのは、“人生のいい面”を本気で探すこと。いつもそうしている楽観論者の特徴としては、次の5点が挙げられるそうです。

1 いっしょに仕事をしていて楽しい

2 仕事に対していつも前向きである

3 自分に自信がある

4 物事をポジティブにとらえる

5 やればできると信じている

(44ページより)

一方、悲観論者の特徴は以下のとおりだとか。

1 いっしょに仕事をしていて楽しくない

2 仕事に対していつも不平を言う

3 自分に自信がない

4 物事をネガティブにとらえる

5 やる前からダメだと思い込んでいる

(45ページより)

つまりはこれこそ、自己肯定感に対する認識の違い。(44ページより)

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うまくいったことリストをつくり自己肯定感を育てる

ほとんどの人は、ものごとがうまくいかず頭を抱えてしまうような状況をときおり経験します。そんなときはつい自分を哀れみ、不幸を嘆き、人生全般に不満を抱きやすいもの。

そういったネガティブな心理状態に陥ってしまうと、過去の不幸な出来事を頭のなかで再生したくなったりするかもしれません。けれども、それではますます気分が滅入るだけです。

だからこそ重要な意味を持つのは、そのような悪循環から抜け出すための手段。そこで著者は、自分があげた業績、つまり“うまくいったこと”のリストを作成して活用することを勧めています。

一枚の紙とペンを用意し、一生懸命に磨いた技術、勉強して取得した資格、がんばって達成した目標、努力して勝ち取った賞をリストアップしよう。どんなささいなことでもいい。自分が精進しておさめた業績をすべて書き出してみるのだ。(50ページより)

こうしたエクササイズをすれば、自分に関するポジティブな事実を思い起こすことができるはず。

また、うまくいかずに落ち込んでいる日などには、そのリストを見返すといいそうです。そうすれば、自分を肯定することができ、前向きな気持ちを取り戻せるからです。(50ページより)


必要なところから読むことのできる「1テーマ1見開き」の構成で、大切なことが簡潔にまとめられた一冊。自己肯定感を高めるためのテキストとして、気軽に活用してみる価値はありそうです。

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Source: ディスカヴァー携書