今回は、以下の書籍を著者のギークフジワラに寄贈いただいたため、書評を書かせていただきます。ギークさん書籍の執筆本当にお疲れ様でした。そして素晴らしい書籍を世に出していただきありがとうございました。
まず、全体の所感としては、初学者にとってとても分かりやすく、Power Automate の入門として非常にお勧めできる書籍です。随所に筆者の Power Platform に対する愛が感じられ、躓きやすいポイント、今後実践していくにあたって大切なポイントについて、とても丁寧に解説されております。
特に、Part2 が非常に充実しており、リファレンスという名前の通り、多くの方に、リファレンスとして何度も参照されることになることを確信しています。
本書では、「ローコードとは何か」という基本に立ち返って丁寧に解説されております。
また、「どちらが優れているか」という二項対立的な論点に対しても、筆者の考えが明確に示されており、とても納得感があります。
ローコードの利点についても、具体的かつ分かりやすく説明されており、初学者にもスッと入ってくる構成です。一方で、「何でもローコードで進めれば良い」という風潮に対して慎重な視点を持ち、無条件に推進するのではなく冷静に向き合う筆者の誠実さが印象に残ります。
実際の事例やユーザーコミュニティにも触れながら、本書の中心テーマである Power Automate の解説へと進んでいきます。
トリガーとアクションの仕組みは非常に分かりやすく説明されており、「デスクトップフロー」と「クラウドフロー」の使い分けについての判断基準も明快です。
ライセンスに関する説明も、当然ながら(笑)分かりやすく、読者の実務に役立つ内容となっています。
Part 2 は「リファレンス編」として、本格的なフロー作成にあたって押さえておきたいポイントを項目ごとに丁寧に解説しています。まさに「リファレンス」という名にふさわしく非常に充実しており、多くの方が何度も参照することになると確信しています。
冒頭で「フローのドキュメントは必要か?」という問いから始まる構成が印象的で、筆者の考えには強く共感しました。
さらに、命名規則に触れている点もさすがです。初めに命名の考え方を知っておくだけで、自分にとっても、他の利用者や管理者にとっても大きな助けになります。
また、フローの所有者に関する解説も分かりやすく、特に「共同所有者はグループで管理するのがおすすめ」というアドバイスには、メンテナンス性の観点から大いに納得させられます。
Microsoft 365 の代表的なデータソースである SharePoint リストや Excel テーブルに関しても、それぞれの基本操作や使い方が丁寧に解説されています。
さらに、タイムゾーンや制限事項といった観点での比較も非常に実践的で役立ちます。
フィルタークエリや添付ファイルの操作、For each が自動的に挿入される理由の解説など、実務で直面しやすいポイントにもきめ細かく対応されています。
特に多くの人がつまずくであろう「日付とタイムゾーンの扱い」については、丁寧かつ分かりやすい説明がなされており、本当にありがたい内容です。
続く数値計算の章では、SharePoint リストで列を作成する際に「英語で作成し、必要に応じて日本語に変更する」ことの推奨理由も含めて、実用的なアドバイスが詰まっています。
また、変数とデータ型に関する説明も非常に丁寧で、「数値の書式設定」アクションについては、個人的にも知らなかった内容で学びになりました。
最後に、文字列操作についてもよく使う関数とその出力結果を図付きで解説しており、とても分かりやすい構成です。特に、先に変数や配列の扱いを解説したうえで文字列操作に入っている順序が絶妙で、理解が深まりやすくなっています。
Part3 では、よくある業務シナリオを題材に、実際に手を動かしながら学べるハンズオン形式で解説が進みます。恐らく、Part2 をしっかり学習していれば、スムーズに進められると思います。それほどまでに Part2 の内容が充実しており、ここで扱うシナリオ以外にも十分応用が利くと感じました。
扱われているシナリオも、実務でのニーズが高いものばかりです
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メールが届いたら Teams に通知する
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SharePoint ファイルの作成通知を行う
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メールの添付ファイルをバックアップとして保存する
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メールからタスクを自動作成する
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Microsoft Forms の回答を SharePoint リストに転記する
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社内通達のステータス管理(承認ワークフロー)
どれも「やってみたい」と思わせるテーマばかりで、すぐに業務に取り入れたくなる内容です。
また、トリガー条件を Copilot を活用して作成する方法が紹介されている点も、今の時代ならではの魅力的なポイントです。
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