🧠 あらすじと概要:
あらすじ:
『かくかくしかじか』は、漫画家である東村アキコの半自伝的な作品を原作とした映画です。物語は、アキコが自身の挫折と成長を通じて、漫画家としての道を切り開いていく姿を描いています。彼女は、尊敬する日高先生との出会いや、彼女自身の悩みを経て、漫画に対する熱い思いを再確認していきます。映画は、アキコの成長物語を感動的に描きつつ、創作に向かう勇気を観客に与えます。
要約:
この記事では、映画『かくかくしかじか』を観た感想が綴られています。原作者の東村アキコが脚本や美術に深く関与し、原作の改編が新たな意味を持つこと、特にアキコが日高先生に自らの気持ちを伝えるシーンが重要であるとしています。ラストシーンでは、日高先生がアキコを認め、背中を押すことで彼女の成長を象徴しています。著者は「描けーっ!」というメッセージが、観る人の人生にも響くと感じ、この映画が持つ深い意義に感動したと述べています。
週末に漫画家東村アキコさんの半自伝的映画である『かくかくしかじか』を観た。
原作を改めて読み返して一回泣いてから観にいき、映画でもたっぷり泣いた。実に涙腺が弱くなっている。
(以下、ネタバレあり)
本作の成功は、何といっても、原作者が徹底的に関与していることである。
クレジットを見ると原作だけでなく、脚本や美術指導、漫画指導、方言指導にまで名前があがっている。撮影現場にも毎日行って、ロケハンまで行ったそうだ。もう単なる漫画原作でなく、ひとつの東村アキコ作品といって良いと思う。
そのおかげで、原作からの改変部分についての意味合いがかわってくる。
特に重要なのは、アキコが日高先生に正面から、先生のように絵画は描けない、漫画を描くことに熱い気持ちを持っていると訴えるシーンの挿入である。原作でアキコは、日髙先生に対し後ろめたくて、本気で漫画を描いているとは言えていなかったように思う。
そして、ラストシーンでの先生との対話。日高先生が漫画家東村アキコを認め、背中を押す。
原作の漫画「かくかくしかじか」5巻の終わりの方にこのように書かれている。
先生私 頑張るよ負けないよこれからも
描き続けるよ
「かくかくしかじか」東村アキコ
後悔や自責の念がヒリヒリする、とても痛いラストだった。
そして、実際東村アキコは、その後、すさまじい勢いで漫画を描く10年間を送ったと思う。
そして、ようやく日高先生に「私、描いているよ」と言えたのだと思う。
東村アキコがこの作品を書いたことで向き合った10年。そして、この映画をこれほど大事に作ったことを思って、泣けた。
ラストのたたみかけるような日高先生の「描けー!」。今ちゃんに囁くように言った最後の「描け」。苦しくて、前に進めないとき、とにかく目の前の物を見て「描け」と背中を押してくれる。そうして描くことで道は拓ける。
ある人にとって、それは「書け」であり、ある人にとっては「吹け」、ある人にとっては「解け」かもしれない。
それぞれの人生に、心に、日高先生の「描けー!(喝)」を置いておきたいと思った。
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