🧠 あらすじと概要:
映画「ショウタイムセブン」のあらすじ
映画「ショウタイムセブン」は、東京のテレビ局に所属するキャスター、折本が主人公です。かつては人気ニュース番組「ショウタイム7」のメインキャスターを務めていた折本ですが、突然その座を外され、ラジオのパーソナリティとして活動しています。そんな折本の番組に掛かってくる一通の電話。それは、ウスバカゲロウと名乗る電話の主が、政府や電力会社への不満をぶちまけ、しばらくして実際に火力発電所が爆破されるという衝撃的な事件へと発展します。物語は、折本がこのウスバカゲロウの正体と目的を追いかける中で展開します。
記事の要約
感想文では、主演の阿部寛が演じる折本というキャラクターの魅力について述べています。彼は典型的な「イヤなヤツ」を演じるが、同時にカッコよさや少年の純粋さも感じられると評価されています。また、吉田鋼太郎の出演によるリアリティの低さを補う力についても言及。エンディングには賛否が分かれるものの、テレビ局や視聴者への鋭い皮肉が感じられ、全体として作品が持つ独特の魅力を伝えています。最後に、「ショウタイムセブン」がもたらすテーマ性についても考察されています。

どうも、まろん亭奏字と申します。
世の中には、「イヤなヤツ」というのがおります。
何をするにも一言多かったり、どうも態度がシャクに触るなあというヤツですな。
海外には、そういうイヤなヤツを演じさせたら右に出る者がいないという俳優さんがいらっしゃいます。
Jack Nicholsonという方です。
本人はそうではないんでしょうけど、スクリーンに映る彼はたいていイヤなヤツですな。
ただ、イヤなヤツなのに、同時に非常に魅力的です。
わが国にも、そういう役者さんが1人おります。
阿部寛という方です。
今回は阿部寛さんが主演されている「ショウタイムセブン」という映画についてお話したいと思います。
劇場版「キャスター」!?
NJBという東京のテレビ局に折本というキャスターがおりました。
この人、ちょっと前までは人気ニュース番組「ショウタイム7」のメインキャスターを務めておりましたが、突然、番組を下ろされ、系列のラジオ局でパーソナリティーをやっております。
そんなある日、彼の番組に一本の電話が掛かってきます。ウスバカゲロウと名乗る電話の主は、番組のテーマと関係ない政府や電力会社への不満をまくしたて、折本はあきれて相手にしませんでした。すると、ウスバカゲロウは「火力発電所を爆破してやる」と挑発し、実際、数分後、ラジオ局から見える火力発電所は爆発し、炎に包まれます。
果たして、ウスバカゲロウとは何者なのか? 彼の目的はなんなのか?というお話。
折本を演じているのは、「ドラゴン桜」「HERO」「結婚できない男」「トリック」などでおなじみの阿部寛さんです。
長身、イケメン、イケボイスの三拍子揃った彼ですが、なぜかちょっとクセの強い役が多いように思います。
特に無神経で、口が悪く、意地も悪い、そんな男を演じさせたら右に出る者がいないと言ってもいいでしょう。
なぜ嫌なヤツの役が多いかとやはり「カッコいい」からなのではないでしょうか。
ダサいヤツから嫌なことを言われたり、そいつの態度がムカつくと、なんか本当にイヤな気持ちになるのですが、カッコいい人に言われると、ムカつくんだけど、同時にちょっと快感を覚えちゃうことってないですか。
あと、阿部さんには少年のような純粋さを感じさせるところがあるように思います。
だから、どんなに態度がムカついても、口が悪くても、小学生の男の子が粋がっているような可愛さを感じます。
折本はもうのっけからイヤな奴オーラを放っています。
でも、かっこいいんです。
爆破事件が人気番組キャスター復帰のチャンスになると思ったら、ロッカールームに飛んでいって、背広とシャツとネクタイでバッチリキメちゃうような男です。これが画になる。トム・クルーズに通じるところもありますね。
彼も一時、イヤなやつを結構演じておりました。
同じことを香川照之さんがやるとちょっと違う感じになりますよね。それはそれで魅力的なんですが。
福山雅治さんだとちょっと爽やかすぎてウソっぽい。
現在、TBSの「キャスター」という番組でも一癖あるキャスター役を演じている阿部さん。
最初、ドラマでキャスター役をやると聞いて、この映画のドラマ版なのかと思いましたが、全然関係ありません。
「キャスター」の進藤壮一は腹黒いタイプの、ちょっと大物感のある「イヤな奴」ですが、この映画の折本は小者で親しみのある「イヤな奴」ですね。
同じキャスター役でもここまで幅を持たせられるのですからさすがです。
困ったら鋼太郎
ただ、このドラマ、恐ろしくリアリティーレベルが低いです。
元が韓国映画ということもあるんじゃないかと思います。韓国ではありそうな話でも、舞台を日本に置き換えるとムリがある映像作品って多いじゃないですか。「六本木クラス」は割と上手くカルチャライズされていました。
「最後まで行く」はなんなら岡田准一さんの日本版の方が好きだったりしますが、火葬場のくだりはやっぱりムリがありましたね。
そこで吉田鋼太郎さんの登場です。
鋼太郎さんが出てくると、どんなにリアリティーレベルの低い話でも納得させられてしまう不思議な力がございます。
今回もテレビ局のプロデューサー役で出演されているのですが、「今どきこんな業界人業界人したP、本当にいるの?」とシロウトでも感じるくらいコッテコテのテレビマンを演じ、観客のリアリティー感覚を麻痺させるのはさすがだなと思いました。
たぶん、鋼太郎さんが出るならどんなリアリティーレベルの低いマンガや小説でも映像化できるんじゃないかと思います。
2004年の映画版「デビルマン」も鋼太郎さんを出していたら大ヒット間違いなかったんじゃないかと思います。
不満が残るエンディング
この映画、とてもエンディングが印象的でした。
犯人によって自分が利用されていたことを知る折本。
しかし、折本は自らの完敗を見つめつつも、「俺は最高のショウを作っていることに快感を覚えていた。そして、観客もそれを楽しんでいたはずだ」と放送中に言い放ちます。
こういうところはさすが韓国ドラマですね。
そして、さすが阿部寛。
悪ぶっていても、最終的には「いい人」になっちゃう「キャスター」とは一味違います。
これは阿部さんにかできない。
ただ、ラストがいただけない。
劇中、番組内で視聴者にアンケートを取り、その結果を見せるという演出があるんですが、最後に折本は「自分が生きるべきか死ぬべきか」と視聴者に問うんですね。
私はてっきり結果が出る直前でバッサリ終わって、エンドクレジットが流れるのかと思っていたんですが、そこからダラダラと周りの反応とかさらにはアンケート結果も見せ、その後の顛末さえも語ってしまう。
きっと「わかりやすく」という製作者の判断なんでしょうけど、ちょっとダサいなと思ってしまいました。
ただ、何でもかんでもニュースをショー化していくテレビ局や、それを観たがる視聴者への痛烈な皮肉はこの作品が持つ唯一無二の味わいだと思います。
というわけで、今回は「ショウタイムセブン」についてお話しました。
私の吉田鋼太郎さんへの愛は↓の記事でも語っておりますので、よかったら読んでやってください。
それでは、また。
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