月曜日, 6月 2, 2025
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【映画感想】嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲 大人になってから見たら感情が爆発した佐野碧人

🧠 あらすじと概要:

あらすじ

「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」は、懐かしいにおいにより大人たちが子供のころの心を取り戻し、昭和時代に生きることを選んでしまう物語。子供たちへの影響を心配した「かすかべ防衛隊」が立ち上がり、親たちを現実に引き戻すために戦う姿を描いています。大人たちは過去に生きることに溺れ、最終的には「今」を生きることを決断することになります。

記事の要約

久しぶりにこの映画を観た筆者は、子供の頃に感じた恐怖感や親の存在の大切さを再認識しました。大人になると、自由そうに見えた大人の実情やしがらみを理解し、過去を懐かしむ感情が増えることに共感を覚えます。映画は大人が創った作品であり、子供の視点だけでなく、大人なりのメッセージも込められています。最終的には、時代の変化にも負けず「今」を生きることの大切さを伝える、深い内容の作品であると感じたと述べています。

【映画感想】嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲 大人になってから見たら感情が爆発した佐野碧人

佐野碧人

 何年ぶりだろう。久しぶりに「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」を観た。

 子供の頃見た時は、コンビニやデパートで好き放題できることへの憧れのようなものと同時に、怖いという印象を持ったのを覚えている。みさえやひろしが自分の子供のことを忘れて遊んでいることに、そこはかとない恐怖感があった。
 子供にとって親は絶対的な存在だ。一緒に笑ったり、泣いたり、時には悪いことをして怒られたり、親の振る舞いは子供の価値観の形成に大きな影響を与える。大人という存在の上に生きている子どもにとって、親から忘れられるということは、自分自身の存在が不安定になることを意味していてとても怖かったのだと思う。

 この作品では「イエスタデーワンスモア(昨日をもう一度)」という謎の団体が 「におい」を通して大人たちを洗脳し過去に生きることを企む。懐かしいにおいによって童心に帰った大人たちは、今を忘れて遊びくれ自分が子供だった昭和の時代に生きるようになる。  大人たちを取り戻すべく、敵の本拠地に乗り込んだ「かすかべ防衛隊」敵地の中でひろしに会ったしんのすけは、ひろしに自分自身の足のにおいをかがせることで正気に戻すことに成功する。「今」のにおいで現実に戻ってくるのだ。つづけて みさえも同じ方法で取り戻した野原一家は、イエスタデーワンスモアを止めるために奔走し、最終的に大人たちは「今」を生きることを決断する。 今までは怖いと思っていた本作を、自分がいわゆる「オトナ」という年齢になってから見直したときに、なんてすばらしい作品なんだという気持ちになると同時に様々な感情が押し寄せてきた。

 なぜそのように感じたのか、それは本作は大人が作っているということを理解できるようになったからだ。作品そのものが持つ楽しさだけでなく、作り手の思いや、メッセージを感じ取ることができるようになった。

 子供のときは、「大人は自由で、何でも自分でできていいな」「自分も早く大人になりたい」とずっと思っていた。けれど、歳を重ねるごとに大人には色々なしがらみがあって、地に足をつけて生きていくことは思いの他しんどいということに気づく。「あの時ああすればよかった」「これをしなければよかった」と後悔したり、「あの頃はよかった」と過去に思いを馳せることも増えて行く。 私も「オトナ」になってからもっとこうしていればよかったなと思うことが増えてきたように思う。だから作中で大人たちが子供に戻って遊んでいる姿は大人になってから見るととても共感できるものだった。「そうだよね、大人って大変だよね」って。それでも映画の大人たちは「今」を生きることを選ぶのだ。 この映画は、当たり前だけれど、大人が作っている映画だ。公開当時は2001年。制作時期は2000年だろう。21世紀を迎え、時代の終焉と新しい時代の始まりを感じていた当時の人たちは、今とは違う大きな喪失感、変わっていくことへの恐怖を抱えていのではないかと思う。自分たちの青春や自分たちの時代が終わったように感じていたのではないか。それでも前へ踏み出そうと、明日に目を向けて生きていこうというメッセージを映画に込めた。それを子供向けアニメでやるということは相当な覚悟だっただろうし、とても意味があるものだとも感じる。

 映画そのものの内容はもちろん子供でも楽しめるが、大人はこれまでの自分の軌跡を感じ、そして未来へ踏み出したいと思える映画だと思った。

佐野碧人



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