🧠 あらすじと概要:
映画『なんかどうでもよくなるサブスタンス』あらすじ
かつて人気を誇ったスター、エリザベス・スパークル(デミ・ムーア)は、50歳の誕生日に仕事を失い、自身が世間に必要とされていないことを痛感する。そんな中、若返りキットを手に入れるが、若い自分のクローンを生み出すことになり、思いもよらない出来事が展開される。
要約
映画は、エリザベスが若返りを追求する中で構築された設定やルールが魅力的であると評価されている。この設定が物語の基盤を作り出し、シニカルな視点を提供する一方で、後半の展開が賛否を分ける要素となっている。特に、モンスター展開によって作品のトーンが変わり、その結果として視聴者に複雑な感情を抱かせる。また、若さを追うことのリスクや、年齢に伴う経験の重要性について考察される。最後に、映画を通じて老いとどう向き合うかが問われており、若さに対する羨望を超えて人生の学びを深めることが強調されている。
かつてスターとして名をはせたエリザベス・スパークル(デミ・ムーア)は50歳の誕生日を迎えたその日に仕事を降板させられ、世間が自分を必要としていないと感じ始める。その折、とある出会いから若返りキットを手にすることになり、そこから華やかな生活を取り戻すかと思いきやとんでもないことになる。
🎬設定だけでおもしろい
ちょっとしたファンタジー要素で若返るクスリをただ打つのではなくて、若い自分のクローンを生み出すという点がまずおもしろいけど、
それよりもクローンを生み出すことによって交代の周期はどうするのか、若いときの制約はなにかなどなどルールをちゃんと決めているところがいい。
ここがおろそかになると一気にB級に転じてしまいそうな難しい設定だと思うけど、ちゃんとルール決めされてちょうどいい足かせになっていたと思うなあ。
特に、ずっと若いままでいられないから老いた自分(母体)の大切にしなきゃいけないっていうのは何とも皮肉めいているというか核心をついているというか。自分事として考える余地が生まれていてとてもいいルールだと思う。
🎬一気に賛否分かれそうな展開に
そして後半パートに差し掛かった時、一気に空気が変わるあの展開。もはや映画のジャンルが変わっちゃってんじゃないかっていう話だけど、考えてみればこの映画はGAGAが配給しているんだから十分あり…いやない、さすがに油断せざるを得ない。
A24あたりののロゴを目にしていたら納得だっただろうなあ。
この油断がけっこう賛否を分けそうな気がしたんだよなあ。ミームを文字通りのモンスターで表現してしまうあたり、語弊を恐れず言うとよく女性監督がこれを作り上げるなと思う。どういう気持ちだったんだろうか。
自分はモンスター展開は一瞬わくわくしたけど、中盤までに構築してきた結局こう言いたいという込められた想いを一気に壊された感じもしてなんとも微妙な受け止め方になってしまったなあ。A24だったらなあ。
最後の血みどろシーンなんてなんかそれまでの積み重ねとか、なんならその日1日とか、一瞬すべてがどうでもよくなるようなマインドにさせられた。
このまま放心してしまうんじゃないかと思うくらいある意味開放されたような、状況を俯瞰しているような不思議な気分にはなれた。
映画としていいかどうかは別として。
🎬若さを追うリスク
若さを追い求めることは物理的に無理なのに、そう割り切れない人たちがいるのは、世間が若さを商売にしたり反対に老化をバカにする風潮にあるからだと思うんだけど、みんなが必ず陥る状態をなぜバカにするって愚かだよなあ。
一方、年配側はどうかと言えば、老化とともに手にする経験やスキルなどの諸々をないがしろにして生きているせいで、いつまでも未熟な人がいる。そういう人は当然、歳をとっているのに未熟だと批判を受けかねないのだから、言われる方にも問題はあると思う。
そして世間の風潮に自分の思考が蝕まれて手に入れられもしない若さを求めると、「自然」というものにメスを入れ始めて、結果は期待と反するものになる。いつまでも世界のあるあるの1つなんだろうなあ。
🎬老化と反比例する進化を
僕はこういう映画をみたときは自分はどうするかを考えるんだけど、今回は自分が30歳を迎えたころから考えてきた「老い」に対する考えを補強するほんの一部になった気がする。
若さを羨むのではなく、決別しながら学びを深めていく。
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