水曜日, 5月 21, 2025
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【映画】季節はこのまま Hors du temps/オリヴィエ・アサイヤスmarr

🧠 あらすじと概要:

あらすじ

映画『季節はこのまま Hors du temps』は、オリヴィエ・アサイヤス監督による作品で、主人公たちがコロナ禍の影響を受けた生活を描いています。彼らは故郷を訪れ、両親や祖父母の残像を感じ取る中で、かつての暮らしへの郷愁に浸ります。ロックダウンの影響で閉じ込められた生活は苛立ちをもたらし、日常の空気が次第に忘れ去られていく様子を描写しています。映画は、記憶と懐かしさが交錯する静けさを通じて、視聴者に深い感慨を与えるものとなっています。

記事の要約

本記事では、映画『季節はこのまま』についての感想が述べられています。コロナ禍での生活がもたらした静けさや、日常が変わっていく様子が描かれ、その中で主人公たちが感じる郷愁や不安に触れています。ロックダウンの影響を受けた過去の記憶が現実の暮らしにどのように影響を与えているかについて考察されています。また、映画が提供する新しい視点により、観客は自身の記憶を辿る感覚を味わうことになります。この作品は、コロナ禍以前の生活に戻ることが不可能であることを受け入れる過程を描いているとまとめられています。

【映画】季節はこのまま Hors du temps/オリヴィエ・アサイヤスmarr

タイトル:季節はこのまま Hors du temps 2023年
監督:オリヴィエ・アサイヤス

主人公たちが生家で両親や祖父母たちの残像を感じ取るように、スクリーンの中に映る彼らの姿はロックダウンの頃の私たちが通り過ぎた後の残像でもある。家や林の中でかつてあった暮らしを主人公たちが感じ懐かしむ姿と、休日の連続のようでありながらこもりっきりの生活は苛立ちも生み出す。気付けばきっかり5年が過ぎ、あの頃の大まかな出来事は思い返せても、あの時の日常に漂う空気は忘れつつある。だからこそ観終わった後に郷愁感が湧き起こってくる。
著名人がコロナに罹って亡くなってしまう状況に対する感覚だったり、マスクをしていないだけで騒ぎ立てる状況や、殺菌のための手洗いや、ドアノブ、荷物など今ではそこまで気を付けている人も少なくなった。マスクは日常のツールとして残っているが、入り口に置かれるアルコール除菌を使う人もあまりいない。少しずつ遠い記憶になりつつある光景が自分の中で懐かしさに変わりつつある事に少し驚いた。
ジャン・ルノワールよろしく自然の中の木のさえずりが聞こえてくる静けさを感じる。そういえば、コロナ禍以降の作品はこうした静けさを感じさせる作品が増えたような気もする。ぱっと思いつくところではバス・ドゥヴォスの「Here」や、池田健太の「Strangers」など、もしかするとこれらの作品も、ロックダウンの時に感じた世界の静けさの記憶からくるものだったのかもしれない。

批評にもあったロメールっぽい休日のモラトリアム感はあるにはあるが、先行きへの不安が主人公周辺に限らず社会全体を覆っているこの雰囲気は、少し視点をずらして考えるとSFかパニックスリラーのその後みたいでもある。もしコロナ禍前にこのような作品があったとしてたら、とても地味だし何に恐れているのかあまり実感は湧かないはず。しかし実際には日常が閉鎖され、徐々に日常が戻りつつも、以前の生活とは様相は少しばかり変わってきている。当然スペクタクル映画の様には世の中は様変わりしないし、現実はもっと緩やかだ。変わらないものも多いが、ただ明らかに2020年を境に変わったものも少なくない。あの春先のひと月ちょっとの時間の前と後の記憶を辿ってみたくなる。そんな映画だった。



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