23日の日本市場は債券相場が上昇、超長期中心の金利上昇がいったん止まっている。米金利低下の流れで債券に打診買いが入った。日本株は金利低下を受けて上昇している。
左から植田日銀総裁、加藤財務相、ベッセント米財務長官
Source: Kyodo News/Getty Images
3月下旬の高水準に近づいていた10年国債、過去最高に上昇していた40年国債の利回りはいずれも低下に転じた。日本銀行がこの日に国債買い入れオペをしており、需給が改善するとの期待も相場を支えた。金利低下でリスク選好機運が持ち直し、電機を中心に日本株は上昇している。円はニューヨーク市場終値比で上昇。
日米欧の長期金利上昇は止まったが、国内金利が基調として低下に転じるか市場は確認が持てていない。財政懸念に端を発する「米国売り」に加えて、日本では積極的な債券の買い手が見つからずに日銀も様子見姿勢だ。株式にも明確な方向性が出ておらず、代わりに投資マネーが流れる形で暗号資産(仮想通貨)を象徴するビットコインが史上最高値圏で推移している。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは超長期国債について、4月に買っていた海外勢が5月に入って売り越しに転じて買い手不在の状況のようだとリポートに記した。積極的に買い向かう国内勢は乏しいとして、転換点は28日の40年債入札が1つの候補と予想した。
23日の日本市場の債券・為替・株式相場の動き-午後1時54分現在 |
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債券
債券相場は上昇。米国で長期金利が3営業日ぶりに低下したことや、日本銀行がこの日に予定する国債買い入れオペで需給が改善するとの期待が相場を支えている。
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農林中金全共連アセットマネジメントの長友竜馬シニアファンドマネジャーは、米金利低下を受けて債券相場はしっかりの展開と指摘。超長期債については、前日の野口旭審議委員の発言で日銀の金利上昇への手当は期待できなくなったとして「軟調地合いが継続しそうだ」と述べた。
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日銀は23日午前に定例の国債買い入れオペを実施した。対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下。オペ結果によると、残存期間5年超10年以下の応札倍率は1.76倍と前回オペから上昇したが1倍台と低く、売り圧力が限定的となっていることを示唆した。
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為替
東京外国為替市場で円相場は1ドル=143円台前半とニューヨーク終値比で上昇している。石破茂首相がトランプ米大統領と電話会談を行ったことを受けて、円安是正への警戒感が強まっている。
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あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは「円安是正が話し合われたのではないかとの思惑から円が買われている」と指摘。ドル資産離れの流れに円安是正の思惑が加わり、ドルの上値は重い」と言う。4月の全国消費者物価指数(CPI)で食料品価格が上昇し、インフレ懸念から日銀の利上げにつながるとの連想もドル売り圧力を強めているとした。
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赤沢亮正経済再生担当相は、米関税措置を巡る3回目の閣僚級協議に向けて23日から3日間の日程で訪米する。ベッセント米財務長官は欠席すると報じられている。みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、米韓が通貨問題で協議したとの報道や、赤沢氏が30日を軸に再訪米しベッセント氏と協議するとの報道があることから、「円安是正が議題になることへの警戒感は消えていない」とし、ドルの上値は重いと語る。
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株式
東京株式相場は反発。米国のS&Pグローバル購買担当者指数(PMI)が改善したことを受けて、為替相場が前日の日本株終値時点に比べるとドル高・円安に振れており、輸出関連中心に上昇している。
電機や機械株が高く、東証33業種中25業種が上昇、その他製品が上昇率トップ、海運が下落率トップ。TOPIX上昇に最も寄与しているのは任天堂で、指数構成銘柄1688銘柄のうち1159銘柄が上昇、458銘柄が下落、71銘柄は横ばいになっている。
米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイの副会長でバフェット氏後継に指名されたグレッグ・アベル氏と、商社5社のトップが22日までに面談したことが分かった。これを受けて三菱商事や伊藤忠商事が買われている。
東海東京インテリジェンス・ラボの沢田遼太郎シニアアナリストは、このニュースは日本の株式市場にとってポジティブだとして、バークシャーの株式保有は他の日本株への投資拡大の可能性を期待させるものだとも述べた。
日本製鋼所株が急反発、5カ月ぶりの高値を付けた。主要事業の原発、防衛両面で報道が相次ぎ、今後の需要拡大を見込む買いが入った。原発関連では日立製作所、防衛関連では三菱重工業なども値上がりしている。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
🧠 編集部の感想:
日本市場の金利上昇が一服し、株式が反発する中、米金利低下が影響を及ぼしています。日銀のオペによって需給が改善する期待も市場を支えているようです。ただ、国内金利の将来には不透明感が残るため、慎重な姿勢が求められます。
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