22日の日本市場では円相場が一時1ドル=144円台前半に下落したものの、その後上昇に転じた。日米財務相会合の結果を受け、円高誘導リスクに対する過度な警戒感は後退した半面、米国の財政に対する懸念がドルの上値を抑えている。
ベッセント米財務長官と加藤勝信財務相は、為替レートは市場で決定されるべきであり、ドル・円相場はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を反映しているとの認識を再確認した。米財務省が声明で明らかにした。水準については議論しなかったという。両氏は主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が行われているカナダで会談した。
関連記事:日米財務相、為替相場は市場で決定されるべきと再確認-水準議論せず
米議会での予算交渉や財政懸念などを背景に、リスク回避の円買いの動きも根強い。りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、日米財務相会合で円高リスクが一つなくなったが、「財政政策は長期的なテーマで、簡単にはリスクオンに戻らない」と話す。
22日の日本市場の為替・株式・債券相場の動き-午前9時44分現在 |
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外国為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=143円台前半に上昇。為替レートは市場で決定されるべきだという見解で日米の財務相が一致したことを受け、一時的にドル買い・円売りが強まったが、国内外の株価下落を受けたリスク回避の円買いが入った。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、円安是正に対する警戒が強かったため、その反動でドル買い・円売りが出たと指摘。半面、米市場が債券安、ドル安、株安のトリプル安になるなど米国への信認が低下しており、ドルを積極的に買うこともできず、これまでの145円を中心とするレンジから、145円がドルの天井になるとの見方を示した。
為替市場は引き続きG7が発するメッセージや要人発言に対し神経質な値動きが続きそうだ。みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストはリポートで、G7後に「共同声明がなかったり、あっても為替に関する文言が削除されれば、米国がドル安誘導を望んでいると市場が解釈し、ドル安圧力が強まる可能性がある」と指摘した。
株式
東京株式相場は続落し、日経平均は2週間ぶりに一時3万7000円台を下回った。トリプル安となった米市場で金利上昇を背景にS&P500種株価指数が1カ月ぶりの下落率となり、投資家心理が悪化した。電機や機械、自動車など輸出セクター中心に安く、半導体関連や電線株は米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の下げも響いた。
東証33業種は24業種が下げ、医薬品や食料品などディフェンシブセクターを中心に9業種は上昇。売買代金上位では三菱重工業やフジクラ、アドバンテスト、トヨタ自動車が安く、第一三共やサンリオ、バンダイナムコホールディングスは高い。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、米株安を材料に下落した後は方向感が出づらいと指摘。自動車を中心に関税交渉の進展は日本株にとっては重要で、赤沢亮正経済再生相が出席する日米関税交渉を控え、あすまで株式市場に様子見姿勢が広がるだろうと述べた。
債券
債券相場は下落。米国で20年国債入札の不振を受けて長期金利が大幅上昇した流れを引き継ぎ、売りが先行した。
三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、米金利上昇で軟調な展開が見込まれる上、超長期債の需給悪化の継続、参議院選挙に向けた財政拡張懸念も重しになるとの見方を示した。
日本銀行の野口旭審議委員は22日、宮崎県金融経済懇談会で講演し、その後記者会見する。景気や物価情勢の判断に加え、最近の超長期債利回りの上昇に対する見解に市場関係者は注目している。
財務省は10年物価連動国債の入札を実施する。発行予定額は2500億円程度。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、流動性懸念やブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)の上値余地が乏しい一方、消費者物価指数の高い伸びが継続し、無難からやや弱めの落札結果を見込む。
関連記事:日本債券:10年物価連動国債の過去の入札結果 (表)
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
(8段落の業種別指数を「東証33業種」に訂正します)
🧠 編集部の感想:
円が上昇に転じた背景には、日米財務相の会合での円高リスクの軽減がある一方、米国の財政懸念が影響しているようですね。ドルの上値が抑えられ、リスク回避による円買いが続いていることも注目されます。今後、為替市場の動向や株価への影響が気になるところです。
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