この度、2025年春季(令和7年度春季)情報処理安全確保支援士試験に合格しましたので、勉強ノウハウや気を付けるべきことなどを共有しようと思い、この記事を書きました。
筆者は実務未経験の大学3年生ですが、正しい戦略と学習計画を立てることで、無事合格を掴み取ることができました。
この記事では、私が合格に至るまでの学習過程や勉強法、使用した教材、そして試験本番の感想などを共有します。これから受験を考えている方、特に実務経験のない学生の方などの参考になれば幸いです。
まず、私の学習開始時点でのスペックと、今回の試験結果を公開します。
結果としてはギリギリの合格でしたが、実務未経験でも合格ラインに到達できることを証明できたかと思います。
合格の鍵は「情報収集と戦略」にあると考えてます
情報処理安全確保支援士試験の合格は、学習を始める前の「教材選定」と「戦略立案」で決まると考えています。
やみくもに勉強を始めるのではなく、まず私は過去の合格者が共有しているQiitaの記事やブログなどの合格体験記を読み漁りました。そして、合格者が「どの教材を」「どのように使い」「どれくらいの時間」学習したのか、といった情報をできる限り集めて分析しました。実際にこの情報収集と学習計画を立てるのだけで数時間を費やしました。
この初期段階の情報収集と分析こそが、110時間という比較的短い学習時間での合格につながった最大の要因だと感じています。
3.1 午前対策
午前Ⅱ対策:過去問道場で知識を定着させる
午前Ⅱは知識問題が中心であり、過去問からの流用も多いため、過去問演習が最も効果的です。
使用教材: 情報処理安全確保支援士過去問道場
到達目標: 段位一級
総学習問題数: 約600問
学習で気を付けたこと
午前Ⅱ対策で最も重要と感じたのは「復習の徹底」です。私は以下のルールを自分に課していました。
-
1度間違えた問題は、必ず最低2回以上は復習する。
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間違えた問題は、翌日や週末に解き直すことで記憶に定着させました。
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解説で分からない用語が出てきたら放置せずその都度調べる。
この3点を守るだけで、午前Ⅱは安定して突破できる力がつくと考えています。
3.2 午後対策
午後対策:2冊の問題集を軸に知識を深掘りする
午後対策は、単なる暗記だけでは通用しないため、より戦略的な学習が求められます。
メイン教材:
補助教材:
- ChatGPT
用語や技術などを分かりやすく解説してくれます。また、そのユースケースや例題なども作ってくれるのでアウトプットもできます。
(補足)
受験後に村山さんの こう書く! セキスペ 情報処理安全確保支援士 の存在を本屋さんで知りました。こちらの本を目を通したのですが、重要事項やこれから問われるであろう部分などを効率良く暗記できる本だと感じました。もし受験前にこの本の存在を知っていたら間違いなく買っていました…しかしこの本も文字通り「初学者お断り」の本なのでこの本の著者である村山さんはまず内容確認として立ち読みを推奨していました。
午後対策の学習ステップ
私は以下の順序で学習を進めました。
Step 1: 『重点対策』で土台を築く
まずは『重点対策』を各章解いていきました。この段階では、完璧に解答できなくても問題ありません。大切なのは、「どのような知識が、どのように問われるのか」を肌で感じることです。
そして、午前対策と同様に「間違えた問題は必ず翌日に復習」します。
この時、解説を読んでも理解できない問題が頻繁に出てくるはずです。そこで次のステップに移ります。
Step 2: 不明点を徹底的に潰す
解説を読んでも腑に落ちない部分は、ChatGPTに質問したり、信頼できる技術書で関連技術の背景や仕組みを詳細に調べたりしました。私の場合はセキュリティ技術の教科書が詳細に解説してあり非常に分かりやすかったので辞書代わりに使用していました。
例えば、「この脆弱性はなぜ発生するのか?」「なぜこの対策が有効なのか?」を自分の言葉で説明できるレベルまで理解を深めてから、次の問題に進むように心がけました。
Step 3: 『速効サプリ』で知識を定着させる
『重点対策』と技術書である程度の知識の土台ができてくると、『速効サプリ』の偉大さが理解できるようになると思います。
この本は、設問で問われる重要なキーワードや概念が1問1答形式でまとまっており、分野も分けられているので、隙間時間にも取り組みやすいのが特徴です。著者が「初学者お断り」と公言している通り、ある程度の基礎知識がないと効果は薄いですが、土台ができた後には最強の武器となります。
私はこの『速効サプリ』を3周し、そこに書かれている内容は約8割暗記しました(セキュアプログラミングは筆者には難しく飛ばしました)。さらに、本書をベースとして、特に重要だと感じた用語や技術は技術書で再度確認し、知識さらに広げていきました。
補足:IPA公開資料の扱いについて
IPAが公開している「情報セキュリティ白書」や各種ガイドラインなども重要な資料です。しかし、私は今回、これらに関してはひと通り目を通す程度にとどめました。もし、より高得点を狙うのであれば、これらの資料を読み込むことで、さらに合格の確実性を高めることができると思います。
令和7年度春季試験の感想
実際に試験を受けてみて感じたことです。
午前Ⅱ:想定通り、過去問の周回と暗記で難なく対応可能でした。
午後:正直な感想として、今後の試験は実務未経験者にとって、さらに厳しい戦いになると感じました。実のところ筆者は試験直後は6割ギリギリかそれ以下だと感じました。
実際に今回の試験での未経験者の合格者は以下のIPAの統計情報でわずか3人であり、「未経験者お断り」の試験だと言っても過言ではないかもしれません。
受験経験を踏まえて未経験者が難しいと感じるであろうポイントは以下の2点だと考えています。
①脆弱性を発見するだけでなく、その対策まで具体的に記述する必要があること。
②各サイバー攻撃や脆弱性を突いた攻撃の性質を深く理解し、攻撃のシナリオや影響範囲、有効な対策の流れを頭の中でイメージする必要があること。
これらは、座学だけではイメージしづらい部分であり、実務経験の有無が大きく影響する部分だと痛感しました。
結果は午前Ⅱ 72点、午後 61点と、決して余裕のある合格ではありませんでした。
しかし、実務経験のない学生でも、正しい戦略のもとで効率的に学習を進めれば、110時間という学習時間でも合格は十分に狙えるということを証明できたのではないかと思います。
(3月が0時間なのは筆者はこの期間にLinuCレベル1・2を取得していました。LinuCレベル1・2・303・304を3か月で取得した際の勉強法記事も公開しています)
情報処理安全確保支援士は難関資格ではありますが、未経験でも挑戦する価値のある素晴らしい資格です。この記事が、これから受験される方々の背中を少しでも押すことができれば幸いです。
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