金曜日, 5月 23, 2025
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【写真展レポート】旅人として、その時感じたままを写してきた…写真家・佐藤健寿の軌跡を巡る写真展「U.F.O.」 – デジカメ Watch


佐藤健寿さん

佐藤健寿さんは2003年から、好奇心の赴くまま世界中を旅してきた。中国の洞窟村、ボリビアの忍者道場、ノアの箱舟が漂着したアララト山、国内でも恐山のイタコや高知で起きたUFO事件など、枚挙にいとまがない。

キヤノンギャラリーS(東京・品川)で6月24日(火)まで開催中の写真展「U.F.O.」では、佐藤さんがこれまで撮影した写真から140点を選び、2025年現在から過去に向けて時系列順に展示した。

旅人として、その時感じたままを

会場は照明が落とされた薄暗い中、スポット光が当てられた写真が来場者を奥へ奥へと誘う。写真にキャプションはなく、鑑賞者は写された風景そのものに対峙する。

それは作者自身がその場所に立ち、目の前の風景に惹かれてシャッターを切った時の感覚でもある。

「僕はただの旅人として、その時感じたままを写しています。被写体の存在感が強いから、構図や光を選んで、よりセンセーショナルに見せようともしていません。僕が撮るものは、割と素直な写真だと思います」

マルコ・ポーロは『東方見聞録』で見たままの驚きを伝えた。それが佐藤さんが伝えたいことのひとつだ。

取材先は奇界ではあるが、誰も足を踏み入れたことのない場所ではない。

「一般にはあまり知られていない場所でも、専門家や一部のジャーナリストには有名な場所が多い。ただ、僕のように旅人の視点で撮る人はあまりいませんでした」

佐藤さんが取材先を選ぶ興味の源泉は、1990年代に流行ったUFOや心霊現象、オカルトブームがある。アメリカに留学中、ウェブサイト「X51」を立ち上げ、そうした話題を発信してきた。

「インターネットの黎明期で、自分からアクセスすれば世界中の情報が見られることが面白かった。当時、個人サイトランキングの上位に入り、日本の出版社から本も出せた。これなら日本に帰って仕事にできるかなと考えました」

余所者の視点を大事に

「写真は自分の中ではなじみの薄い方法でした」

武蔵野美術大学の映像学科でマルチメディアを専攻した。今のメディアアートの走りだ。それが旅を記録し、伝えるツールとして「最終的には1人でできることから写真に収斂していきました」。

最初に選んだのは、子どものころから気になっていた場所だ。マチュピチュや、雪男の伝説を追いヒマラヤにも行った。

「ロケハンはほとんどしません。日程的にタイトなこともありますし、旅人、余所者の視点を大事にしたいから、現場の状況に即応してやりたい。ヒマラヤでは入口にある村で登山靴を調達しましたし、最近、写真を見返すと、標高6,500mぐらいの場所にジーパンを穿いていた。これは謎です」

武装勢力がいる地域など危険だと言われる場所にも赴いたが、命の危険にさらされるような経験はないそうだ。

「溺れて死にかけたり、財布を掏られるなどのアクシデントは時折あります」

溺れたのはプーケットの水中に沈んだ寺院を撮影していた時で、財布を掏られたのはタイの島でのフルムーン・パーティの撮影でだ。

奇界をどうやって見つけるか、情報収集の仕方は、これまでしばしば問われてきたが、「画期的な方法はありません」

テレビはあまり見ないので、本や映画などが情報源のひとつ。

「90年代の日本のカルチャー誌などは参考になります。雑誌の隆盛期で、驚くような場所へ取材に行っています。また映画や漫画がヒントになることがあります。2023年に出版した『カーゴ・カルト』はバヌアツの不思議な信仰を追ったものですが、それを知ったのは諸星大二郎さんの漫画『マッドメン』でした」

そうして気になった場所はマッピングしておく。

「EOS R1」の試写を依頼された時は、高感度の連写性能を活かせる被写体をと考え、2月に台湾で爆竹を使った祭りがあることを思い出した。

「かなりラフに使っても良いと許可をもらっていたので、心置きなく試せました。ロケット花火のスピードを捉えられるかを体当たりで検証しました」

佐藤さんは今回、自らの写真を見返して、「ワケの分からなさ」を感じたそうだ。自ら経験したことだが「知らず(Unknown)、忘却し(Fprgotten)、見過ごしてきた(Overlooked)」。その想いが次の旅へのモチベーションになる。作者とともにU.F.O.の迷宮で遊ぼう。

展示名

佐藤健寿写真展「U.F.O.」

会場

キヤノンギャラリーS
東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー 1階

開催期間

2025年5月15日(木)~6月24日(火)

開催時間

10時00分~17時30分(日曜祝日休館)





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🧠 編集部の感想:
佐藤健寿さんの写真展「U.F.O.」は、旅人の視点から捉えた素直な写真が魅力的です。展示はその時の感情や風景を直接感じることができ、鑑賞者を深い体験へと導きます。異文化や未知の場所への探求心が刺激され、旅の大切さを再認識させられました。

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