日曜日, 6月 1, 2025
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【ミートたけし】警告! ミュージシャンは音ゲーに手を出すな!


ミートたけし /  川村 竜  / ベーシスト,作編曲家 ,ストリーマー

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ミートたけしの「世界の平和が俺を守る!」

ミートたけしYouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@meatalk

第20回:警告! ミュージシャンは音ゲーに手を出すな!

 皆さんこんにちは。
 超一流ミュージシャンの川村 竜 a.k.a ミートたけしです
 そう。2025年5月末現在。私は確かに超一流ミュージシャンだ。しかし,この記事が掲載される少し前の5月中旬に,私は三流ミュージシャンにまで転落した
 何の話か分からない方のために順を追って説明していこう。私の長年の友人に,配信者のしんじという男がいる。「しんじさん」として売れた男だ。私の嫉妬の対象でもある。
 そんなしんじは時折,上から目線で「ミートたけしが配信者として売れるためには」というアドバイスを送ってきてくれる。今回もそんなアドバイスの一環として「たけし,配信で音ゲーをやってみないか?」という連絡がきた。
 基本,私はしんじの誘いは断らない。「いいよ」と完全に安請け合いをした私は,その後,あんな目に遭うだなんて夢にも思っていなかった。

筆者としんじさん
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恐怖の音ゲー! 「A Dance of Fire and Ice」!

 「A Dance of Fire and Ice」(以下,「ADOFAI」)。それが俺の死神の名前だった。複雑な操作は一切なく,ボタン一つだけをひたすらリズムに合わせて押していく音ゲー。実にシンプルだ。そしてシンプルであるがゆえに言い訳が効かない。
 純然たるリズム感と理解力を問われる鬼畜ゲーだ。愉悦配信を楽しむしんじの説明を受けつつ1stステージから順に進めていく。私自身,超一流の看板を掲げてもう20年以上,音楽の世界でやってきた。多少のミスはあるもののほぼ初見で次々とステージをクリアしていった。
 後半,苦戦するステージもあったものの,何とかラストステージまでたどり着いた。このラストステージの難度がとんでもなかった。

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 言い訳をするつもりはないのだが,聞こえてくる音と譜面(マップ)が一致しなかったり,フォーカスしている音と違う音がマップと対応していたりと,ミュージシャンであるがゆえにミスしてしまうシーンが多い。配信の都合上,タイムリミットを設定していたが,ついぞその時間内にクリアすることはできなかった……。
 ラストステージ終盤まで行くもののタイムオーバー。この瞬間,私は晴れて“三流ミュージシャン”を襲名した。しかし後悔はない。要所要所でミュージシャンらしさを輝かせるプレイを魅せることができたし,ゲームうま男ことしんじもこの最終6ステージをクリアできなかったというではないか。
 自分としてはもう十二分に使命を終えた。ところがしんじが唐突に意味の分からないことを言い始めた。
「このゲーム,実は12ステージまである」
 ???
 こいつは配信しすぎてどうにかしてしまったのだろうか? 嗚呼,可哀想なしんじ。これからは俺が彼を支えていかなければならない。
どこか緑豊かな山奥にでも連れて行って,人の心を取り戻させてやろう。
……違った。マジだった。マジでこの倍の12ステージまであるゲームだった。なんてものをやらせたんだ。信じられない。目の前に広がる絶望を受け止めきれない。この日から超一流を目指す三流ミュージシャンの音ゲー配信が幕を開けたのだった。
 とはいえこの手のゲームは何日もかけて,回数を重ねてクリアするタイプのものではない。一球入魂。1日で己の耐久力を測りながらクリアしていくものだ。というわけで,ついにその日を迎えた。超一流の,あの頃の私に戻るために……。

三流ミュージシャンの音ゲー配信
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 普段の「Apex Legends」配信のときより20倍近い数の視聴者。ゲスどもめ。そうまでして人の不幸を観たいのか貴様らは! 観たいよね。うん。俺なら観るもん。
 イメージトレーニングは十分済ませてきた。まずは前回諦めた6ステージめをクリアする。いい,なじむ。このキーボード,なじむぞ。7ステージから11ステージまでも,それなりに苦戦はしたが,だんだんとコツを掴んできたのもあり,非常にいいペースで各ステージをクリアしていった。
 私のミュージシャンとしての階級も,三流,二流,一流とその輝きを取り戻していった。そしてついに最終の12ステージ。これをクリアすれば俺も超一流へと返り咲ける! そう思うと鼓動はその躍動を増し,手にはじっとりと汗がにじんだ。
 様子がおかしい。
 今までのステージと明らかに次元が一つか二つくらい違う。一流と超一流の間に流れる川はこんなにも大きく荒れ狂っているのか? 狙い通りの場所で間違ってくれてありがとう♪ と言わんばかりの制作者の捻じ曲がった根性が具現化されたトラップ。同じようで微妙に違うパターンの羅列は私の記憶力を破壊していった。
 異変は最終ステージに1時間ほど振り回されていたときに起きた。目が……目がかすむ。譜面は二重に見え,画面の色彩はまるで刺さるような感覚。これは……老眼? このゲーム,俺から耳だけではなく目をも奪うというのか? 満身創痍。もはや私に残されたのは「執念」だけだった。
 5時間半もの時間をかけ,ついに,今度こそ,ラストステージをクリアできた。身体中を蝕んでいたドス黒い感情が泡のように消えていった。目に見える世界は前よりも輝いていた。憎しみや恨み,妬み,嫉み,そういった負の感情から解き放たれ,まるで羽でも生えたかのように軽くなった私の心に去来した思いは……。
 次は誰を地獄に落としてやろうか
 ただその思いだけだった。

断ち切れない負の連鎖

 旧態依然とした部分が少なからず残る音楽業界において,昔,先輩ミュージシャンから受けた仕打ちを,そのまま後輩ミュージシャンに繰り返す奴らも存在する。自分としてはそんな輩には折れることも従うこともなく,実力で駆逐してきたという自負はある。それが超一流を名乗る覚悟の裏付けでもあると思っている。
 音楽は愛だ。
 自分を大きく見せるための道具でもないし,誰かを不幸にするなんてもってのほかだ。愛こそ全てだ。全てだった。
 だが,私は闇堕ちをここに宣言する。
 ほかの一流ミュージシャン達が,苦悶の表情を浮かべながら三流ミュージシャンへと転落していく様を眺めつつ,唐揚げをコーラで流し込みたいのだ

超一流(暫定)ドラマーのFUYU
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 私のブラザーとも言えるドラマーがいる。彼の名前はFUYU。ニューヨークに生まれ育ち,その類いまれなるセンスとテクニックで
さまざまな音楽シーンで活躍し続け,拠点を日本に移してからはMISIAやEXILEといったアーティスト達のリズムを支えてきた。名実ともに超一流のFUYUにこのゲームの話をしたところ,彼は二つ返事で「面白そう! やるよ竜ちゃん!」と言った。
 バカめ。貴様の地獄行きは今確定したぞFUYU! 見せてくれ お前の顔が苦痛に歪む様を! 聞かせてくれ! お前の断末魔を! しんじ! 俺は人間をやめるぞおおおおおおお!!!!!!
 というわけで,「ADOFAI」配信FUYU編を首を長くして待っていてほしい。

「ADOFAI」が教えてくれたこと

 しかし,今回の件で学んだことはたくさんある。やはり皆すごい人のすごいところよりも,すごい人のクソダサいところを楽しんでくれるのだ。
 まぁ,自分で自分をすごい人なんて言うのもどうかと思うが,かれこれ何年もこういうキャラでやってきているので,今さら取り繕っても仕方ないだろう。しんじも今後の配信スタンスの可能性の一つとして「音ゲー」を提案してくれたのだと思う。
 常々,私が人々に説いている「格好つけることだけが格好いいわけではない」というのも,同じようなことなんだと思う。人に好かれる情けなさとは。人が守ってやりたくなる弱さとは。そういったことを,これからはじっくりと考えていくべきなのだろう。
 ほうら。やっぱりそうだ。守られてナンボじゃん!?
 つまり,世界の平和が俺を守るってわけ!
 結局俺,全部分かってたのかもしんない……。
 というわけで,弱くて情けないミートを今後ともよろしくお願いします。
 ありがとうしんじ! 行ってらっしゃいFUYU!

■■ミートたけし / 川村 竜(ベーシスト,作編曲家 ,ストリーマー)■■
ベーシストとして国内外各所でライブやコンサートで演奏活動をしつつ,配信活動も活発に行っているミートたけしこと川村 竜さん。現在は主にYouTubeチャンネル「ミートたけし-MEAT TAKESHI-」とTwitchチャンネル「ミートたけしの『太くてニューゲーム』」で,雑談配信をしたりゲーム配信をしたりと大忙しの様子です。



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🧠 編集部の感想:
この記事は、ミュージシャンが音ゲーに手を出さない方が良いという警告がユーモラスかつ真摯に表現されていて面白いです。音楽の才能やキャリアとは裏腹に、ゲームでの無惨な戦いが描かれる様子が、逆に親近感を覚えます。最後に、音楽とゲームの両方を楽しむ姿勢が印象的で、共感を呼ぶ内容でした。

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